第8話
結局250体以上遺体を収納した。
「土塁で攻撃参加してもいいですか?」
多くの遺体を収納してなんとしても魔物共に一矢報いてやらねば気が済まない。
「おまえは負傷者を乗せる馬車に乗って街に戻ってもらいたいのだが」
ここで戻されるなんて冗談じゃない!
「このまま戻ると魔力が無駄になります!」
近くで色々指示を出してた中年の騎士が割り込み、
「どの道馬車は負傷者で一杯だ、とっとと攻撃に参加しろ」
「了解しました。ツトム来い」
土塁に向かうと3匹ほどゴブリンが襲ってきた。
槍で倒す。
見ると土塁の右側が崩されて破れており、騎士達が近接防御している。
大型種を倒すので手一杯でゴブリンが抜けてきている。
地図(強化型)に右側面から迫ってくる20ほどの赤点が表示されてる。
敵が来る方向に移動すると、
「お、おい、どこへ?!」
赤点の正体はゴブリンでショットガンで一掃する。
「……」
しかし、さっきからギリアスが何もしていない。
別にゴブリン程度は任せてくれて構わないのだが、それなら自分は土塁から1本でも多く弓を射るべきなのではないだろうか?
もうギリアスはいいや。
崩されたところを抜けてきた別のゴブリンとギリアスが戦ってるのを放置して土塁に登って敵を見渡す。
雲霞の如くとまでは言えないだろうが、数千の魔物が押し寄せて来る光景はファンタジー映画を軽く凌ぐ迫力がある。
敵の密度の高そうな場所にファイアボールを撃ち込む。
オークが10体以上吹っ飛ぶ。
素材の回収は気にしなくていいので倒すことのみに集中できるのはいい。
周囲の魔術士とタイミングを併せてファイアボールを発射する。
もっと派手に魔法を連射したいがさすがに目立つな。
違う種類の魔法を同時に使えないだろうか?
ファイアボールの発射の時に使い慣れた土槍を発射してみる。
失敗した。
それからファイアボールを撃つ毎に土槍の同時発射を試しているのだが全て失敗している。
成功する感じがしないので同時発射はやめてファイアボールの威力を上げてみる。
さきほどよりも大きな火玉が飛んで行く。
着弾時に威力が広範囲に広がるようなイメージも加えて発射する。
さらに敵を倒せるようになりどんどん撃ち込む。
ドゴーーーーーーン!!!!
凄まじい爆音が響き渡った。
なんだ?
周囲を見渡すと右から土煙が上がっている。
「あのオーガを倒せ!」
「オーガはもう1体いるぞ!」
「魔法で狙え!」
「待て、あのオーガには」
押し寄せてる魔物の後方にオークより一回り大きい黒い魔物が岩を持とうとしている。
あれがオーガ……
そのオーガに向けて冒険者が魔法攻撃しようとするのを騎士が止めようとしていた。
騎士の制止も間に合わず火や土の魔法攻撃がオーガに向かう。
「やったか!」
いかん、そのセリフは失敗フラグだ。
魔法攻撃がオーガに着弾する手前で盾のようなもので防がれた。
オーガの手前にいる猿みたいな魔物が盾を展開してオーガを守ってるみたいだ。
「オーガが持った岩を狙え!」
なんとしても投石は防ぎたい指示だ。
違う種類の魔法を同時に使うのは無理だが、ファイアボールを撃った直後に撃ってみるか。
気持ちファイアボールを早めに撃ち、即2体のオーガに向けて土槍(回転)4連を発射する。
猿もどきがシールドを展開、さぁ勝負だ。
土槍(回転)がシールドと猿もどきを貫通してオーガに着弾する!
2体のオーガが倒れると、
「うおおおおおお!」
「オーガを倒したあああ」
「やったあああ」
大きな歓声が起こった。
特に騎士団の喜びようが凄い。
自分も周囲に合わせる感じで喜ぶ。
まぁ実際自分の土槍(回転)が勝ったのは嬉しいしな。
…
……
…………
その後魔物の攻撃は潮が引くようになくなった。
それから騎士団の隊長らしき人に遺体を収納してることを告げ、先ほどまでの戦闘で犠牲になった遺体を追加で収納し、戦ってる最中に新たにバルーカから来て待機していた馬車に負傷者と共に乗せてもらった。
ステータスを確認してみる。
川端努 男性
人種 15歳
LV17
HP 141/141
MP 387/1085
力 43
早さ 55
器用 61
魔力 195
LP 14P
スキル
異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv4・浄化魔法Lv4・火魔法Lv4・風魔法Lv2・水魔法Lv1・氷結魔法Lv4・土魔法Lv4・回復魔法Lv3・魔力操作Lv2・MP回復強化Lv3・MP消費軽減Lv3・身体強化Lv1・槍術Lv1・投擲Lv1・敵感知Lv3・地図(強化型)・時刻
レベルが2上がりいくつかのスキルレベルも上がっている。
ポイントを消費して『身体強化』のレベルを上げる。
もう少し大胆にポイントを使うべきだろうか?
レベルが上がり辛くなるのは間違いないのだからポイントは温存すべきなのだが、それで死んでしまっては本末転倒である。たくさん収納している遺体の惨状を思い出す。
あのオーガの投石から身を守るには……オーガを守っていた猿もどきを思い出しマジックシールドの練習をしてみる。
馬車の中なので小さい盾を出すイメージで何度も試してスキルを習得する。『マジックシールド』では長いので『魔盾』と呼称する。
それから離れた場所に魔盾を出せるよう練習したり、何枚も重ねて魔盾を出していく。最優先で練習して瞬時に展開できるようにしなければならない。
MPが30切ったところで練習を止め、休憩してるとバルーカに着いた。
馬車は南門から進み城内の中央で左折する。
北西区画の内壁内に入り停車した。
負傷者を降ろすのを手伝い、指示出してる人に遺体を収納してることを伝えると、部下らしき人に近くの大きな建物に連れて行かれた。建物の中の大きな部屋でここに遺体を出すように言われる。
ギルドの解体場で魔物の死体を出す時みたいにドサッと出す訳にはいかず、1体1体丁寧に出し布を被せてると、
「布はこちらで被せるので遺体を並べてくれ」
と言われたので遺体を出していく。
「ご苦労だったな、帰っていいぞ」
作業が終わり北門へ歩いて行く。
気付けば17時を過ぎており西の空が夕焼けで赤く染まっている。
途中で見つけたパン屋でパンを大量に買い込み壁外ギルドへ向かう。
ギルドで王都行の護衛依頼がないか7等級の依頼票が貼られている掲示板を探していると、明日の朝発の依頼を見つけた。
依頼者はルドリー商会、集合場所は壁外区北西にある倉庫の入り口で募集人員は4人、チェックが3つ入っており残り1人の募集と思われる。報酬は見習いが8,000ルクで行程は4日間だ。
何気に初依頼だなーと思いながら受付に依頼票を持っていく。
受付のお姉さん(登録した時とは別の人で可愛い系)に集合時刻を聞くと、朝発の場合は日の出から1刻が目安らしい。
この世界の時間は曖昧だ。まぁ初依頼だし早めに行こう。
見習いだったせいかお姉さんに装備や食料と水を用意するよう念を押された。
大丈夫ですと言ってギルドを出たところで野営の準備を何もしてないのに気付く。
うん、お姉さんに感謝だ。
雑貨屋で寝袋と毛布を買い、午前中に大人買いしたシチューの為のお玉と皿とスプーンも2セット購入。
雨具も探したのだがそういった物はなく古着屋で外套を買うよう勧められそのようにした。
所持金563,620ルク→504,120ルク
翌朝指定された場所で合流し出発する。
ルドリー商会の荷馬車が4台に護衛が4人。
他の3人は男女2人のPTに獣人(犬か狼)で、手ぶらなのを見て自分達の荷物も収納してくれるよう頼まれた。
金でも取ろうかと思ったが、どうせ大した金額にはならんので了承する。
男女2人は6等級で獣人は7等級であった。
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