第5話

 魔法関連は相変わらず覚えが早く、いくつかのスキルを習得した。


火魔法 …大小の火玉で攻撃できるようになった。小さい火玉は『火弾』で単体攻撃、大きい方は『ファイアボール』で範囲攻撃ができる。ただ範囲攻撃は死体の損壊が激しく1度試して以降使っていない。

 土魔法みたいに槍を生成しようと何度か試したが上手くいかなかった。


風魔法 …『風刃』を覚えた。ウインドカッターでないのはただの気分である。


氷結魔法…水の温度を下げるイメージで習得。『氷弾』『氷槍』で攻撃できるのだがMPの燃費が悪い。氷魔法と呼んでいる。

 手から氷の刃を伸ばすこともできたのだが収納から武器を出すほうが早いので使う機会はないだろう。


魔力操作…氷魔法を習得した時に覚えたみたいだ。効果などは不明。



 他にはようやく槍術を覚え、いくつかのスキルのレベルが上がった。




 情報収集の結果。


 この国の名前はベルガーナ王国。今いるバルーカより北に王都がある。


 この大陸の南は魔族の領域であり、ベルガーナ王国と西にあるアルタナ王国、東の商業国家コートダールで北への侵攻を企図している魔族から人族の領域を守護している。


 ベルガーナ王国の北には人族最大の軍事国家であるグラバラス帝国の広大な領土があり、南部3国を様々な形で援助している。


 北西には小国家群が乱立しており紛争が絶えない。長年大陸北西部が安定すれば人族の領域を南にかなり拡大できるであろうと言われているが、多数の少数民族の思惑が入り乱れてる北西部は大部分が高地で複雑な地形をしていることも相まって、安定化には200~300年は擁すると言われている。


 ちなみに人族には獣人も含まれており特に差別などはないらしい。

 身体能力に優れている獣人は兵士として優秀で貴族の中にも獣人が多数存在している。



 王国南西の要衝であるバルーカは現在対魔族の最前線ではない。3年ほど前にバルーカより南へ半日の距離の地点を確保しそこに砦を築いたのだ。砦には王国騎士団を中核としてバルーカの守備隊の半数とグラバラス帝国から援軍で来た騎士団の一部が駐屯し防衛している。

 現在行われている砦の拡張工事が完成すればバルーカから砦までの領土化も可能になるらしい。



 ステータスやスキルの存在を他の人も認識してるかはよくわからない。

 もし自分だけの固有能力だったら研究対象として拘束されかねないので聞き込み自体ができないでいる。


 税金は冒険者に関してはギルドで一括して払ってるそうだ。依頼報酬や素材の買い取り額から天引きされてるのだろう。

 商人は役所で納め農家は作物を物納するみたいだ。


 これらの情報のほとんどはギルド2階にある資料室(有料)で得られたものだ。

 元々は魔法関連の教材的なものを探したのだが、初心者向けの初歩的な資料しかなかった。

 ただ、飛行魔法というMPを消費して空を飛ぶドキドキ魔法の存在を知ったのが魔法関連における唯一の収穫だった。

 当然スキルツリーを探したが見つからず『滞空魔法』から派生するのではないかと睨んでいる。ポイントを使って獲得するか迷ったのだが、魔法関連ということで時々練習して様子を見ることにした。





 異世界における目標『年上ハーレム』計画に関して。


 不動産屋で聞いたところ壁外区の家賃は標準タイプの家(2~3部屋)で月6万~9万。2階もある4~5部屋タイプだと10万以上らしい。(実際には不動産屋という専門店はなく、商人が扱う商品の中の一つという位置付け)

 初回契約時に契約金が家賃2か月分と半年分の家賃をまとめて払う必要があるとのこと。

 商人や物件によっては契約金がなしとか家賃をまとめて払わなくていいとかあるが、そういうのは問題物件で必ずトラブルになるので気を付けるよう助言してくれた。



 奴隷商は城壁内に1件、壁外区に1件あるようだ。価格は10万台で買えるとか40~50万はするとかはっきりしない。闇奴隷商で格安で手に入れられると言った噂も聞いたが確たる情報は何もなかった。

 壁外区の奴隷商は北西の城壁向かいの角の建物みたいで、初日の狩りで行った際に目にしているはずだ。


 所持金も増えたので今日は朝から少し狩りを行い、初日にクズ鉄を買った鍛冶屋で武器(槍)を買った後で壁外区の奴隷商に行こうと思う。

 家を借りるにはまだ厳しいが今の稼ぎなら上のランクの宿屋に泊まることが可能なのでタイプの女性がいれば購入もアリである。



 ここ6日間通っている北西の森手前で狩りをしたが、昨日までよりオークの数が多くホクホクだ。レベルアップしたこともあり少しだけの予定を延長して昼過ぎまで狩りに勤しんだ。

 帰り際にオークの集落でもあるのかと森に最大限近付いたのだが、地図(強化型)には赤点(敵)がまばらにあるだけだった。



川端努 男性

人種 15歳

LV15


HP 120/120

MP 522/866


力  38

早さ 49

器用 53

魔力 168


LP 11P


スキル

異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv4・浄化魔法Lv3・火魔法Lv3・風魔法Lv2・水魔法Lv1・氷結魔法Lv4・土魔法Lv4・回復魔法Lv2・魔力操作Lv1・MP回復強化Lv2・MP消費軽減Lv2・身体強化Lv1・槍術Lv1・投擲Lv1・敵感知Lv2・地図(強化型)




 予定を変更してこのまま南下し奴隷商に向かう。

 MPもさほど消費していないので防柵の内側ではなく外側を移動する。

 各種魔物を蹴散らしながら進んで行くと、森から10以上の赤点がこちらに迫ってきた。

 初日の指揮官ゴブリンの部隊だろうか?


 途中左右の集団に分かれてこちらを包囲しようとする動きを見せるのだが『地図(強化型)』の前には無力である。


 まず右の集団のほうに移動して土槍4連を発射。ゴブリンなら土槍より低い威力でも倒せそうなので、残りには土弾を連射して倒す。

 すかさず左の集団に向かい、土弾を20発ほど広範囲に射出してみる。1体だけ範囲外で倒せなかったが良い感触である。最後は槍で倒して死体を回収していく。

 土弾による範囲攻撃はショットガンと呼称しよう。




「情報通りならここのはずだが……」


 角の建物には看板が無いし店的な感じがしない。

 なんだか初めて風俗店に入るみたいなドキドキ感を覚えながら、とりあえず入ってみる。

 ドアを開けるとドアの内側に付いてる鈴が鳴り、


「いらっしゃいませ」


 と、中年の小太りな男が奥から出てきた。


「ここで奴隷を扱っていると聞いて来たのですが」


「はい、当店は国から正式に認可を頂いてる奴隷店でございます」


 情報通りで良かった、店の看板ぐらい出してもいいのに。


「本日はどのような奴隷をお求めでしょうか?」


「女の奴隷が欲しいのだが価格はいかほどだろうか?」


「女奴隷は容姿によって価格が変わりますので一概には言えませんが、20万~30万ルクあたりの奴隷がよく売れる傾向にありますな」


 所持金は46万ルクある。買える!


「20代後半から30代の女奴隷を見たいのだが?」


「……かしこまりました。こちらにどうぞ」


 奥にある個室に通され奥の椅子に座る。あの間は若い奴隷を求めると思っていたな。残念!『年上ハーレム』計画完遂への意志は固いのだ!!


「今連れてきますのでしばらくお待ちください」


 ドキドキ……ドキドキ……


「お待たせしました」


 奴隷商の後から6人の女性が入ってきた。

 全員普通の感じというかモロ主婦って人もいる。30代を希望するなら当然のことではあるが。

 異世界モノで奴隷が良く着る貫頭衣というのを着ているのだが、特にスタイルの良い人もいない。

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