第4話

 ここは『地図』を取得してみる。うまく敵感知と連動してくれることを祈って……


 『地図』スキルは別ウィンドウで半径1キロほどが表示されるようだ。

 残念ながら敵感知とは別枠だった。

 ただ『地図』スキルから派生して次段に『地図強化』スキルがある。


「う~~ん」


 ここでLPを再度消費するのは悩む……


 ここは攻めるべきだ!

 敵感知だけではゴブリンのような僅かでも知能のある相手と戦闘をするには不安がある。

 昨日の防柵のとこで包囲網が敷かれてなかったのはたまたまだ。

 もしゴブリン側が数を揃えていたら包囲網を土槍を斉射しながら突破を試みることになってたはずだ。


 『地図強化』を取得すると『地図』が『地図(強化型)』に変化した。


 ウィンドウを見てみると敵の位置も表示されてる!


 表示範囲も増えてるようだ。


 LPを2P消費した甲斐があった。


 さっそく近くの敵に……


 カマキリかよ!


 土槍発射!


 外れる。


 土槍二連発射!


 なんとか1発胴体に当り倒せた。


 胴体が細い分当たりにくかった。




 その後は順調に狩り続けゴブリン2匹を槍で片付けた時にあることを思い付く。


 土魔法で囲いを作り、鉄棒を固定してその上にさっきのゴブリンを乗せる。

 枯れ木を集めて火を付けようと火魔法を試す。


 空気中の酸素を燃やすイメージで何度か試し無事着火、火魔法を習得するとそこから離れて身を隠す。


 西向きの緩やかな風は焼けたゴブリンの匂いを運んでるはずだ。


 しばらくすると、


 ドスッ!ドスッ!ドスッ!という音を響かせて大型のモンスターが現れた。


 あの豚顔、オークだ。


 3匹現れたオークはいい感じに焼けたゴブリンを食べ始めた。


 俺は草むらに隠れながら慎重に狙いを付けていく。


 土槍(回転)3連発射!


 回転を加えたタイプの土槍を実戦で初使用する。


 回転で威力と速度が上がった土槍はオークの体を貫通して森の中に消えていき大きな音を発生させた。

 おそらく木か何かに着弾したのだろう。


 急いでオーク3体を収納し草むらまで戻ってステータスを見る。



川端努 男性

人種 15歳

LV8


HP 51/51

MP 131/238


力  22

早さ 26

器用 31

魔力 70


LP 2P


スキル

異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv2・浄化魔法Lv1・火魔法Lv1・水魔法Lv1・土魔法Lv4・回復魔法Lv1・投擲Lv1・敵感知Lv1・地図(強化型)



 レベルが上がった。


 回転型の土槍の威力は素晴らしかった。

 通常の土槍の倍はMPを消費するだけある。

 ここはMP関連のスキルを取って継戦能力を伸ばすべきだろう。

 『MP回復強化』を取得する。そこから派生した『MP消費軽減』は次の取得候補にすべきだ。



 収納から昨日の屋台で買ったパンを取り出したがまだ熱々だった。

 収納の中は時間停止しているか限りなくそれに近い状態で確定だろう。


 昼にはまだ時間があるが朝が早かったので食事にする。


 昨日からかなりの数の兎を槍で倒してきたがまだスキルは覚えられない。

 投擲スキルは昨日の激戦の中だからこそ習得できたのだろうか?

 その一方で魔法関連はサクサクスキルをゲットできてる。

 『魔法の才能』様様だな。


 パンを3個食べて一息入れてから比較的近めにいる敵を倒していく。


 バッタと初遭遇したが即土槍で倒した。

 胴体にまともにぶち当たり死体を回収できなかったが仕方ない。

 だって犬に近い大きさで気持ち悪かったし。

 カマキリは平気だったがバッタのようなモロ昆虫は無理だ。

 ギルドでバッタの買い取り価格を聞いてみよう。値段によっては丁寧に倒さなければならない。


 昨日回収したゴブリンを使って再び焼肉のワナを仕掛ける。

 もしオークを誘き出すのに有効ならゴブリンの死体も集める必要が生じる。

 オーク肉は人気があるので買い取り価格が高いらしいのだ。


 !


 敵感知に反応あり地図(強化型)に森からこちらに移動してくる赤点が表示されてる。


 その数7体。


 ちと多いか?


 回転型の土槍ならいけるだろう。

 さっきはオーバーキルだったので槍を少し小さめに調整して慎重に狙って…


 土槍(回転)4連発射!


 全弾ヒット!


 残った3体がこちらに向かってくるが土槍(回転)3連発射する。


 武器の棍棒で防ごうとした個体があったが多少土槍(回転)の軌道がズレた程度でそのまま胸にヒットして倒した。


 素早く回収して草むらに戻り土魔法で簡単なベンチを造り腰掛ける。



川端努 男性

人種 15歳

LV9


HP 58/58

MP 121/289


力  24

早さ 28

器用 34

魔力 80


LP 1P


スキル

異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv2・浄化魔法Lv1・火魔法Lv1・水魔法Lv1・土魔法Lv4・回復魔法Lv1・MP回復強化Lv1・MP消費軽減Lv1・投擲Lv1・敵感知Lv1・地図(強化型)



 レベルアップしたので『MP消費軽減』を取得した。


 午前の狩りの成果は、


オーク  10体

カマキリ  2匹

兎    21匹

犬     3匹


 そこそこの値段になりそうなので1度ギルドに売りに行くことにする。



 ギルドの解体場の買い取り係に聞いたところ、

 オークは状態によって価格が上下するが、良い状態なら5,000ルク。

 カマキリは羽と鎌が揃ってるなら3,000ルク。

 バッタは500ルクでの買い取りみたいだ。


 今回はカマキリ+兎+犬で20,850ルク。

 オークは43,120ルク。


 所持金5,510ルク→69,480ルク


「ちょっといいかな?」


 ギルドから出ようとしたところで声を掛けられた。


「なんでしょう?」


「僕の名前はターク。今収納魔法使いを探していてね、どうだろう?ウチのパーティーに入らないかい?」


 20歳ぐらいの背の高い剣士風の男だ。特に悪い感じや不審な点はなさそうだ。


「自分はツトムです。まだ見習いなのですいません」


「こちらとしては君が見習いでも何も問題ないよ?」


「タークさんのようなランクが上のパーティーに自分のほうが参加し辛いのです」


「そんなものかな? 仕方ないね」


「せっかく誘って頂いたのにすいません」


「気にしないでね」


 ギルドから出てしばらく歩く。


「ふぅ~」


 パーティー勧誘か。

 『ランクが上のパーティーには参加し辛い』本当のことだが建前だ。

 異世界に来てまで他人の下で働くつもりはない。

 ソロのほうが稼げるだろうし。


 懐が温かくなったので買い物に行く。


 古着屋でシャツ・スボン・ベルト・ハーフコート

 服屋で新品の下着と靴下それぞれ2セット

 靴屋で靴

 防具屋で動きやすい軽めの革の防具と小さめの木の盾

 雑貨屋で紙と鉛筆に手持ちのよりさらに大きい水筒×2

 屋台で昨日買ったパン(肉パンと言うらしい)を更に買い込み、果汁水を扱う屋台に頼んで大きい水筒2本に入れて売ってもらった。


 総計28,800ルク


 所持金69,480ルク→40,680ルク




……


…………



 それから5日間、狩り8割・情報収集2割みたいな感じで活動した。


 まずは狩りの結果から。


川端努 男性

人種 15歳

LV14


HP 109/109

MP 711/752


力  35

早さ 47

器用 50

魔力 154


LP 9P


スキル

異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv4・浄化魔法Lv3・火魔法Lv3・風魔法Lv2・水魔法Lv1・氷結魔法Lv4・土魔法Lv4・回復魔法Lv2・魔力操作Lv1・MP回復強化Lv2・MP消費軽減Lv2・身体強化Lv1・槍術Lv1・投擲Lv1・敵感知Lv2・地図(強化型)



 所持金40,680ルク→464,220ルク


 レベルが5つ上がった。しかもLV10からレベルアップする毎にもらえるLPが2になった。これは大きい。

 ポイントで『身体強化』を獲得した以外は手つかずのままだ。

 LV12あたりから明確に次のレベルアップまで時間を要するようになり、昨日の狩りではレベルは上がらなかった。

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