第23戦記 兵士たちの青春
翌朝7時。今日は悠理たちが天越学園へ入学する日。
これからどんな学校生活が待ち受けているのか、悠理たちはワクワクした気持ちで一杯だった。
【立花直虎のマンション】
直虎「みんな、朝よ‼︎ 早く起きなさい‼︎」
直虎は悠理たちより少し早く起きていた。髪のセットやメイク、仕事へ行く準備も済ませてテレビでニュースを見ている。
悠理「ふあー、おはようございます…」
麻里奈「んーっ…、今日はいい天気でござるな」
萌「むにゃむにゃ…、まだ眠い…」
悠理は眠い目を擦りながら起床した。麻里奈は昨日はぐっすりと眠れたのか気持ちよさそうだ。萌はまだ布団から出てこない。
直虎「萌、早く起きなさい‼︎ 早くしないと遅刻するわよ」
萌「だって…、まだ眠いもん…。むにゃむにゃ…」
直虎「もう…、しょうがないわね…。あっ…‼︎ テレビに「
萌「はっ………⁉︎ 松田潤也くん♡ えっ…、どこどこどこどこどこどこ…⁉︎」
萌は勢いよく布団から起き上がりテレビにかじりついた。
直虎「おはよう、萌♡ 残念ね…、さっきまで映ってたわ。もうちょっと早く起きてたらねー」
直虎(フフフ…、萌が爽やか王子様系イケメンアイドルが好きなのも調査済みよ…)
萌「なんだ…、残念…。もう一回寝よう…」
直虎「あっ…、コラ‼︎ せっかく起きたのに寝るな‼︎」
「ガチャ…」
杏花がドアを開けて部屋へ戻って来た。早朝からランニングをしていたようだ。
杏花「ふーーーっ…。おはよう‼︎ みんな起きるの遅いわね、私は6時に起きてストレッチと筋トレとランニングしてたわ」
悠理「杏花は早起きだね」
麻里奈「さすがアスリート、健康的でござるな」
杏花「毎日の日課だからね」
直虎「じゃ、私はそろそろ出かけるわ。みんな、登校前には必ず最終チェックと鍵閉めするのよ」
悠理・杏花・麻里奈・萌「いってらっしゃーい‼︎」
直虎は部屋を出て仕事に出かけた。
杏花「さて、私たちも早く朝ご飯食べて支度して、制服に着替えて登校しますか‼︎
ほら、萌も早く起きるのよ‼︎」
萌「う〜〜〜ん…、分かったからそんなに身体を揺らさないで…」
悠理たちは朝食を軽く済ませると支度をして制服に着替えた。
悠理「へえー…、これが制服っていうのか…」
杏花「けっこうオシャレでいい感じゃない」
麻里奈「ステージ衣装の制服とは、着心地が別格でござるな」
萌「可愛い…」
制服はブレザーで男子はネクタイにチェックの入ったズボン、女子は蝶ネクタイにチェックの入ったスカートだった。みんな、制服のデザインを気に入ったようだ。
悠理「戸締りは大丈夫だよ」
麻里奈「ガス栓も閉まっているでござる」
萌「電気消すねー」
杏花「よし、準備万端ね。行きましょう‼︎」
準備が整った悠理たちは直虎の部屋の鍵を閉め、天越学園へと登校した。
初めての学校生活でみんな、胸をワクワクさせていた。
【天越学園】
天越学園へ向かう悠理たち。学園周辺の道路は登校中の男子生徒や女子生徒たちで賑わっている。
女子生徒A「おはよう‼︎」
女子生徒B「あっ、おはよう‼︎」
男子生徒A「あ〜…、昨日は「
男子生徒B「そう落ち込むなよ。俺たちの青春はまだまだこれからじゃねえか」
女子生徒C「昨日は大変だったねー」
女子生徒D「そうそう、アーマード・ギアの襲撃があったり、魔光牙が出てきたりで避難勧告が出てたもんね。何とかなってよかったね」
麻里奈「青春でござるな。拙者もあの女子たちのように青春を謳歌したいでござる」
杏花「はしゃぎすぎないでよ、麻里奈。私たち有名人だからパパラッチなんかに見つかったり、熱烈なファンに追い回されたら大変よ」
萌「確かにそれは面倒…」
悠理「パパラッチ? ファン? 何それ…?」
杏花「悠理には関係ないことよ。さっ…、アンタは私たちより前を歩きなさい‼︎」
悠理「ああっ…、ちょっと…⁉︎」
道ゆく男子生徒や女子生徒たちが何気ない会話をしているのをよそ目に歩き、悠理たちは校門にたどり着いた。
麻里奈「とうちゃーっく♡」
杏花「ここが天越学園ね‼︎」
萌「庭も広いし綺麗だし、いいところじゃん‼︎」
四人は天越学園の花や緑にあふれる広い敷地や美しい校舎の外観に見とれていた。校舎の上部には横断幕が掲げられており、そこには「
悠理「ところで、学校って何をするところなんだろう…?」
杏花・麻里奈・萌「ええっ…⁉︎」
悠理の思いもよらぬ発言に三人は一瞬度肝を抜かれた。
杏花「アンタ、ホントに世の中の常識とか何も知らないのね‼︎ 今までどうやって生きてきたのかしら⁉︎」
麻里奈「学校は将来社会に出た時に必要な学問や知識、教養を身に付けるところでござるよ」
萌「ざっくりまとめるとそんな感じだね…」
悠理「まだまだ知らないことだらけだけど、楽しそうなところだね‼︎」
杏花「まあ…、少しずつ覚えてくれればいいわ。とりあえず、校舎の中へ入りましょう‼︎」
4人は校舎の中へと入り学園長室へと向かい、学園長である「
※天野八千代=以下、天野と略。
天野「えー…、以上の4名が新たに我が天越学園へご入学されました。みなさん、盛大な拍手でお迎えしましょう‼︎」
盛大な拍手の中には、所々黄色い声援もあった。
それもそのはずで、悠理を除く三人は有名人で熱烈なファンも多いからである。
男子生徒たち「まり〜なぁぁぁぁぁ…、愛してるよぉぉぉ‼︎」
男子生徒たち「杏花ちゃーん、俺は君が好きだぁぁぁぁぁ‼︎」
男子生徒たち「萌ちゃん、萌萌〜〜〜‼︎」
昇太「うぉぉぉぉぉぉぉ…‼︎ ゆ、夢のようだ‼︎ まり〜なと萌ちゃんと同じ学校になれるなんて…‼︎」
亜里沙「まさか……」
玲「噂をしてたら本当に来ちゃった…」
陸翔「でも、本当に入学して来るか? フツー…」
浩樹「き…、き…、杏花・E・ティアー………、可憐だ………‼︎」
悠理「みんな…、すごい人気だね…」
麻里奈「無論‼︎」
杏花「黄色い声援は有名税ってことで受け取ってやるわ‼︎」
萌「毎日忙しくならないといいけど…」
拓哉「あっ…⁉︎ アイツはまさか、あの時の…⁉︎」
学園中の生徒たちが杏花・麻里奈・萌に注目する中、拓哉は一人悠理をじっと睨みつけていた。入学式を終えると休み時間になり、4人は自由行動を取った。
野球部員「杏花ちゃん、今彼氏はいるの⁉︎」
サッカー部員「連絡先教えてよ‼︎」
バスケ部員「今度、俺とデートしようぜ‼︎」
男子テニス部員「ずるいぞ、僕が先だ‼︎」
杏花「ダーメッ、今は忙しいの‼︎ それに私、今好きな人がいるの」
運動部員たち「そんなぁ…」
オタクA「まり〜な氏、拙者、今度のミニライブ絶対行くぜよ‼︎」
オタクB「某も、某も‼︎」
オタクC「彼氏がいるという噂、本当でござるか⁉︎」
オタクD「お好きなタイプは、お好きなタイプは⁉︎」
麻里奈「石田三成のような
オタクたち「な…、何じゃそりゃぁっ…⁉︎」
女子生徒E「萌ちゃんの作品、いつも読んでるよ‼︎」
女子生徒F「私、実は大ファンなの‼︎」
男子生徒C「僕たち、作家志望で先生に憧れているんです‼︎」
男子生徒D「僕を弟子にしてください‼︎ 萌♡凛先生っ‼︎」
萌「ペンネームの「凛」の前にはちゃんと「ッ」を付けんかいっ‼︎‼︎‼︎」
男子生徒D「ひぃぃぃぃぃ…‼︎ ご、ごめんなさーい‼︎」
杏花の周りには野球部やサッカー部の男子たちが、麻里奈の周りにはオタクたちが、萌の周りには文学少年・少女が集まっていた。三人ともすごい人気ぶりで人だかりができており、休み時間どころではなかった。
そんな三人とは対照的に、悠理は一人で休み時間を満喫していた。
悠理「はぁ…、心地いい空気だな…」
拓哉「……………っ‼︎」
悠理「だ…、誰…⁉︎」
拓哉「探したぜ…‼︎ おい新入生…、ちょっとこっちへ来い‼︎ お前に話がある‼︎」
悠理「うわぁ…⁉︎ ちょっと…、離してよっ‼︎」
拓哉「いいから来い‼︎」
拓哉は悠理を引っ張って体育館の裏の方へ連れて行った。
杏花「はぁ…、せっかくの休み時間なのに逆に疲れちゃうわ…」
麻里奈「人気者は辛いでござるなぁ…」
萌「そう言えば、悠理くんは何してるんだろう?」
男子生徒E「大変だーーー‼︎ 体育館裏で北村拓哉が新入生の大和悠理を殴ってるぞーーー‼︎」
杏花・麻里奈・萌「ええっ⁉︎」
杏花「アイツ…、世話が焼けるわね…」
麻里奈「とにかく行くでござる‼︎」
萌「うんっ‼︎」
玲「みんな、拓哉がっ…‼︎」
陸翔・浩樹・昇太・亜里沙「うんっ‼︎」
杏花たちと陸翔たちは悠理と拓哉の元へ急いだ。
「バキィィィッ………‼︎」
悠理は拓哉に思い切り頬を殴られ地面に倒れた。
悠理「どうして…⁉︎ どうして、君は僕を殴るの…⁉︎ 僕が一体何をしたって言うんだ…⁉︎」
逆上した拓哉は悠理の胸ぐらを掴んだ。
拓哉「テメェェェェェェ‼︎ まだとぼけるか⁉︎ 自分の胸に手を当てて聞いてみやがれ‼︎」
悠理「……………⁉︎」
拓哉「思い出してみろ…、昨日のことをよ‼︎」
悠理「昨日のこと………⁉︎」
−北村拓哉の回想シーン−
それはGトルーパーズと最終自衛隊の隊員たちが出撃する少し前のことだった。
機甲暴力団、流星組の流山たちの星俠が街に現れ、新中野区全域に避難勧告が出た時、暴走状態にあった実験体の少年こと悠理は新中野区にいた。
亜里沙と玲は少し遅れて避難場所に向かっている。
機甲警察A「押さないで‼︎ 順番に並んで‼︎」
機甲警察B「みなさん、落ち着いて避難してください‼︎」
玲「亜里沙っ‼︎ もうすぐだよ‼︎」
亜里沙「うんっ‼︎」
拓哉「おーい、亜里沙、玲‼︎ こっちだ‼︎」
亜里沙「拓哉っ‼︎」
悠理「……………」
拓哉・亜里沙・玲「はっ…⁉︎」
そこに、悠理が無言のままでフッと現れた。冷たい目つきと表情で機甲警察たちの方を見ている。
機甲警察C「な…、何だ⁉︎ あの少年は⁉︎」
悠理「……………」
悠理は右手をサッと出して機甲警察たちの方へ向けた。
機甲警察D「おい、止まれ‼︎ 大人しくこちらの指示に従え‼︎」
機甲警察たちは悠理にプラズマガンを向けて威嚇した。だが、悠理は止まる様子はなく右手をグッと握り、機甲警察のパトカーを破壊した。
悠理「……………」
機甲警察D「ばっ…、化物か…⁉︎」
機甲警察C「構わんっ、撃て、撃てーーー‼︎」
機甲警察たちは一斉にプラズマガンを発砲した。悠理はそのプラズマガンの弾を全て空中で静止させ、跳ね返した。
機甲警察たち「う、うわぁぁぁぁ‼︎」
悠理が跳ね返したプラズマガンの弾がビルの壁に命中し、ビルの壁が崩れ落ちた。
拓哉「あっ…、危ないっ…‼︎」
亜里沙・玲「きゃぁぁぁぁぁっ…‼︎」
亜里沙と玲に崩れ落ちたビルの破片が降り注いだ。
拓哉「亜里沙、玲‼︎」
玲「私は大丈夫‼︎ でも…、亜里沙がっ…‼︎」
拓哉「………っ⁉︎」
亜里沙は崩れ落ちたビルの破片で足にケガを負っていた。拓哉は走って亜里沙の元へ近づいた。
拓哉「亜里沙ぁっ‼︎」
機甲警察A「コラッ、君っ…‼︎ 危ないからここにいなさいっ‼︎」
拓哉「亜里沙‼︎ 大丈夫か⁉︎」
亜里沙「うん、何とか歩ける…」
悠理「……………」
拓哉「………っ、くっ………‼︎ あの野郎っ…‼︎」
悠理は拓哉をじっと見つめたあと、ネオ新宿区の方へ飛び去った。
拓哉が悠理を憎む理由、それは暴走状態にあった悠理が不本意で亜里沙にケガをさせてしまったからだった。
入学早々、トラブルに巻き込まれる悠理の今後の学校生活はどうなってしまうのか?
【次回予告】
ナレーション:
ワシが星川辰夫だ。名前ぐらいどっかで聞いたことあるだろう?
あの場はなんとか丸く収まったみたいだが、あの大和悠理とか言うガキ、相当落ち込んどるようだな。
お前男だろが、そんぐらいで落ち込んでどうするじゃ‼︎ と言いたいところだが、人間誰しも泣きたい時くらいはある。
気が済むまで落ち込んだら、立ち直って漢気見せてみぃ‼︎
次回、宇宙創戦記XTENTION‼︎
【第24戦記 傷心】
と言う話らしいな。ワシもちょっと楽しみだ。
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