第20戦記 謎
ジェネバスターを起動させ、魔光牙の大群を撃退したGトルーパーズたち。
そのジェネバスター起動の余波は、闇の世界に住む者たちにも届いていた。
【第三ターミナル・コア 深部】
ターミナル・コアでは、戦線から帰還したミアと兵士たちがDr.エビルと謁見していた。
十字軍兵「第13機甲師団、ただいま帰還いたしました‼︎」
Dr.エビル「ご苦労………」
ミア「Dr.エビル、実験体を逃した…」
Dr.エビル「よい…、すでに次の手は打ってある。それに、生身ではジェネバスターには勝てまい」
ミア「波動氣神ジェネバスターか…」
Dr.エビル「ミア…、次はお前もあれに乗って戦え」
ミア「「
Dr.エビル「それからだ…、一度各地に散らばった13人衆たちを招集する」
科学者「13人衆全員をですか…? あの曲者たちが素直に集まってくれるといいですが…」
Dr.エビル「そうだ、13人衆たちと連絡を取りターミナル・コアへと招集するのだ」
十字軍兵「
Dr.エビル「フフフ…、湯川…、愚かな男よ。貴様はまだ知るまい………」
【ブラディアル大聖堂】
実験体の覚醒とジェネバスターの起動によって、ブラディスト教団も動き出そうとしていた。
B・D教団員「ブラドス様、光の子が…」
ブラドス「フフフ…、ついに光の子が現れたか。だが…、鍵はまだその使命に目覚めきっていないようだ。
じきに闇の子も現れるであろう。二つの器が揃ったその時が儀式の日だ‼︎
我らの手で審判の日を、この腐りきった世界へと到来させようではないか‼︎」
【最終自衛隊総司令部】
最終自衛隊総司令部へ帰還したGトルーパーズと隊員たち。Gトルーパーズは初陣から激戦に次ぐ激戦で疲れ果てていた。
直虎「みんな、お疲れさん‼︎」
杏花「はぁ〜…、もうクタクタ…」
萌「もう歩けない…」
明日美「早く家に帰ってゆっくりお風呂に浸かりたい…」
杏花「アンタたちは疲れてないの…?」
最終隊員A「俺たちは毎日の訓練で身体が慣れているからな」
最終隊員B「だけど、俺たちはバイオフィードバックシステムまでは、まだ扱えない。その点、お前たちはバイオフィードバックシステムのレベル5を扱えて、初陣であれだけの戦果を挙げたのだから大したもんさ」
最終隊員C「俺なんか、バイオフィードバックシステムのレベル4をテストした日には、全身が筋肉痛で3日は身体が言うことを聞かなかったぜ」
杏花「とにかく慣れろってことね…」
麻里奈「直虎殿…、この疲れもバイオフィードバックシステムを使用した者のさだめでござるか…?」
直虎「バイオフィードバックシステムは人間の五感をフルに刺激して眠っているパワーを引き出すシステムだからね。
だけど彼らの言う通り、初陣であれだけの戦果を出したあなたたちは本当に素晴らしい素質とパワーを秘めているわ‼︎ これからも期待してるわよ♡」
少年「あぁ………⁉︎」
杏花「あっ…‼︎」
麻里奈「少年っ…‼︎」
明日美「大丈夫…⁉︎」
少年はふらつきながら倒れたが、明日美はそれを受け止めた。どうやら激しい疲労により眠ってしまったようだ。
萌「疲れて眠ったんじゃない…?」
直虎「無理もないわね…。ダークバリオン弾をまともに受けて気絶したあと、緊急手術と応急処置で休む暇もなく戦ったんだもの。ゆっくりと寝かせてあげましょう」
杏花「一時はどうなるかと思ったけど、ある意味最大の功労者でもあるからね」
麻里奈「ムフフ…、男たちの視線が集まっているのを感じるでござる…。拙者も明日美殿の膝枕で寝てみたいでぜよ…」
萌「確かに…、いい夢見れそう…」
最終隊員A「いいなぁ…、華園明日美の膝枕…」
最終隊員B「俺も疲れ切ったふりして倒れてみよっかな〜…」
直虎「ムッ…‼︎ アンタたちはまだ仕事が残ってるでしょ‼︎」
最終隊員たち「は、はい…、すみません‼︎」
直虎は明日美を色眼鏡で見ていた隊員たちに近づき睨みつけた。
少年「……………」
明日美(ウフ…♡ 透き通るような白い綺麗な肌…、可愛い寝顔…♡)
明日美は少年を膝に抱え、少年の寝顔を見ながらニッコリと笑みを浮かべていた。
直虎「あっ…、長官‼︎」
富士山「君たち、素晴らしい活躍だ‼︎ 立花司令と他のみんなもよく頑張ってくれた。私は誇らしいぞ‼︎」
G・T「ありがとうございます‼︎」
直虎・最終隊員たち「お褒めにいただき光栄です‼︎」
直虎「ところで、博士との連絡は…?」
富士山「それが、まだ連絡がつかんのだ」
直虎「博士…」
湯川の行方を心配する直虎たちの横で少年はぐっすりと眠っていた。
少年「……………」
萌「ねぇ…、ところでこの子の名前って何だろう?」
杏花「そういえばまだ聞いてなかったわね」
麻里奈「うーむ…、織田信長…、豊臣秀吉…、はたまた坂本龍馬とか?」
明日美「可愛いから、きっと素敵な名前よ」
オペレーター「長官、湯川博士から入電です」
富士山「すぐ行く‼︎」
Gトルーパーズ・直虎・富士山・隊員たちは司令室へ向かった。
富士山「おおっ…、博士‼︎」
直虎「博士、無事だったのですね…⁉︎」
湯川「実験体が覚醒した時に攻撃を受け、少し気を失ってしまったが、何とか大丈夫だ。心配をかけてすまなかった。
実験体には、逃げられてしまった。申し訳ない…」
直虎「それならご心配なく‼︎ 実験体の少年は我々が無事に確保し、ジェネバスターの起動にも成功しました‼︎」
湯川「そうか…、それはよかった………。はっ………⁉︎」
少年「……………」
湯川が少年に目を向けた瞬間、表情が驚きの表情に変わった。
直虎「博士…⁉︎ どうしました…⁉︎」
湯川「バカな…⁉︎ そこにいる少年は、私が覚醒させた少年…、「プロトZ」ではないっ‼︎」
全員「ええっ…⁉︎」
直虎「でも、この少年はバスター1とGSCがピッタリ一致したのですよ‼︎」
湯川「バスター1のGSCが一致する少年は、プロトZだけのはずだ…‼︎」
麻里奈「そのGSCが何者かに書き換えられたとか…」
湯川「あり得んっ…‼︎ GSCは遺伝子コードよりも複雑で緻密に入り組まれたコードだ‼︎ それを書き換えるなど…‼︎」
杏花「じゃあ一体何者なの…⁉︎」
萌「どっかの組織が送り込んだスパイ…、とか…?」
明日美「そんなのまだ分からないわ‼︎ 決めつけるのはかわいそうよ‼︎」
杏花「明日美、アンタその少年が可愛いからって油断してんじゃないの⁉︎」
明日美「そんなんじゃないわ…‼︎ ただ、敵だと決めつけるのは早いかなって…。」
湯川「実験体はプロトZだけではなかったのか…⁉︎」
辺りに疑惑と不安が交錯して走る中、少年は眠り続けている。明日美は内心、少年を疑惑から庇ってあげたい様子だった。
富士山「博士…、我々はこの少年をどうすれば…⁉︎」
湯川「……………」
辺りは静まり返った。だがその時、直虎が勢いよく声を切り出した。
直虎「博士‼︎この少年は我々最終自衛隊が預かります‼︎」
湯川「何っ…‼︎」
直虎「今の我々には彼が必要です‼︎」
富士山「しかし立花司令、もしものことがあったら…」
直虎「その時は私が全責任を負います‼︎」
直虎の強い眼差しと口調に富士山は何も言い返せなかった。
直虎「我々だけではありません‼︎ 世界が彼を必要としているのです‼︎」
明日美「立花司令…」
直虎「確かに、ここにいる少年は博士の言う実験体ではありません。ですが、彼はもう立派な最終自衛隊の兵士、Gトルーパーズの一員です‼︎」
萌「ふむふむ…」
直虎「バスター1とGSCが一致して反応したこと、ジェネバスターの起動を成功させて魔光牙を退けたこと、それらが何よりの証明です‼︎」
杏花「直虎…、アンタ…」
直虎「ただの戦力としてではありません‼︎ 一人の人間として彼を守ってあげたいという思いもあります‼︎
ですから、私が責任を持ってこの少年の面倒を見させていただきます‼︎
どうでしょうか、博士…?」
湯川「うむ…、立花司令がそこまで言うなら、その少年のことは任せることにしよう」
直虎「ありがとうございます‼︎」
麻里奈「直虎殿、感服いたしましたぞ‼︎」
直虎「どもども。私も一兵卒時代はよくこんな風に上官に反抗して大目玉を食らったわ。ところで、博士はこれからどうされるのですか?」
湯川「私はプロトZを探すよ。機甲十字軍に渡す訳にはいかんからな」
直虎「そうですか…、くれぐれもお気をつけて」
湯川との通信を終えると、隊員たちは持ち場へ戻った。
杏花「直虎、私たちはこれから何すればいいの?」
直虎「そうね、Gトルーパーズと戦闘班は激戦続きだったし、敵も今は来そうにないからしばらくは自由時間ね。基地内の施設は自由に使っていいわよ」
杏花「本当⁉︎ ありがとう‼︎ じゃあ私はプールとエクササイズでリラックスしてこよーっと‼︎」
麻里奈「拙者はカラオケルームで歌と振り付けの練習をするでござる‼︎」
萌「あたしは休憩室で小説の続きを書くー」
最終隊員D「さて、俺たちは…」
最終隊員E「俺はツンデレ巨乳スイマー、杏花・E・ティアーの水着を…」
最終隊員F「俺は清純的個性派巨乳アイドル、皇麻里奈を…」
最終隊員G「俺は萌系美少女作家、雪月萌を…」
最終隊員D「俺はグラマラスなお色気グラドル美女、華園明日美を…」
最終隊員たち「立花司令にバレないようにこ〜っそりと…、グフフフフ………‼︎」
「ドガガガガガガガーーーン‼︎」
隊員たちはカメラを持ってこっそり移動しようとしたが、後ろでこっそりと聞いていた直虎に殴られた。
最終隊員たち「イテテテテ…」
最終隊員D「い、いたんですか立花司令…」
直虎「いっぺん死んでみるか、ワレェ…⁉︎」
最終隊員D「ハハハ…、冗談ですよ冗談…」
直虎「さてと…、私は少年をホスピタルルームのベッドへ連れて行くか」
明日美「あの…、立花司令」
直虎「何?」
明日美「私も彼に付き添ってもいいですか?」
直虎「いいけど、どうして?」
明日美「あの時は仕方がなかったとは言え、その子を傷つけたのは私です。だから、せめて側にはいてあげたいんです」
直虎「そっ…、じゃあ、あとはあなたに任せるわね」
明日美「あっ…、ちょっと…」
直虎「そんな遠慮なさらずに。二人で上手くやってね〜♡」
明日美「そんなんじゃありません‼︎ もう………」
直虎は少年を明日美に任せて去っていった。
直虎「本当に…、心配症なんだから…」
明日美は少年をホスピタルルームのベッドへ運んだ。
明日美「よいしょっと…。さあ、もう大丈夫よ。
はあ…、可愛い♡ 私って可愛い男の子を見ると、つい母性本能をくすぐられて放っておけなくなっちゃうのよね♡」
少年「……………」
明日美は少年を見つめていた。
明日美「はっ…、そうだわ‼︎ 私もここで読みかけの本でも読んじゃおーっと‼︎」
明日美は本を取りに行くとすぐにホスピタルルームのベッドへ戻り、少年を見守りながら読みかけの本を読み始めた。
–少年の夢の中–
少年はまた夢を見ていた。そこはあの時と同じ、何もない真っ白な世界だった。
どこからともなく、また謎の声が聞こえてきた。
「プロトY…、プロトY…‼︎」
少年「誰だ…⁉︎」
「プロトY…、プロトY…‼︎」
直虎の説得により疑惑を晴らし、改めて最終自衛隊の一員として迎え入れられた少年。戦いに疲れ果て眠る少年の夢の中で、彼をプロトYと呼ぶ人物は何者なのだろうか?
湯川が覚醒させたプロトZとの関係性、プロトZに代わりバスター1を起動させられた理由は?
それらの謎が解き明かされるのは、まだ先の話になりそうだ。
【次回予告】
ナレーション:ヘレル・サタン・ルシファー
超帝ヘレルだ…。そう言えば分かろう…。
あの少年、どうやら記憶も名前もないらしいな。どこで生まれ、今までどうやって生きてきたのか…。
だが、そんな少年にも名前が与えられるようだ。
私には関係ないが、少し興味深い話ではあるな。
次回、宇宙創戦記XTENTION‼︎
【第21戦記 大和悠理】
と言う話であるそうだ。私を退屈させるでないぞ…。
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