第16戦記 黒い凶星
少年を引き付けるため囮となる、杏花・麻里奈・萌。
明日美は一発限りのダークバリオン弾に仲間と少年の命運を乗せて、慎重に狙いを定めている。
【ネオ新宿区 都心近郊】
杏花「速すぎる‼︎」
萌「目が回る‼︎」
麻里奈「プラズマパルスさえ当たれば‼︎」
少年のパンツァーカイルは素早く、並のパイロットの反応速度をはるかに超えており、なかなか狙いが定まらない。
明日美「照準が定まらない‼︎ 集中よ…、集中…‼︎」
直虎「明日美…、お願い…‼︎」
富士山「全てはその一発にかかっている…‼︎」
直虎と富士山が息を飲み、明日美を見守るその時だった…。黒い人影が近くのビルの屋上に現れた。
ミア「……………」
十字軍兵A「
十字軍兵B「黒い凶星のお出ましだぜ‼︎」
富士山「何っ…‼︎」
直虎「黒い凶星…⁉︎何て最悪なタイミング…‼︎」
ミア「見つけた…、実験体…。」
ミアはGトルーパーズと少年を見下ろしていた。
萌「黒い凶星?」
麻里奈「物騒な二つ名でござるな」
杏花「直虎、アイツ何者なの⁉︎」
直虎「あちこちで宇宙連邦政府軍と交戦している神出鬼没・正体不明のスーパーエリート兵士よ‼︎
奴は機甲十字軍のエリート特殊部隊、ハーケンローゼスの中でもエリート中のエリートである13人の兵士、ハーケンローゼス13人衆の一人だわ‼︎」
杏花「ハーケンローゼス13人衆⁉︎」
麻里奈「神メン13とは関係なさそうでござるな。」
萌「関係あったらヤバイでしょ…」
直虎「そして奴はその見た目とジンクスから、黒い凶星と呼ばれて敵味方から恐れられているの‼︎ 私が知っている情報はそれぐらいだわ‼︎」
明日美「厄介な敵が現れたわね…‼︎」
最終隊員A「Gトルーパーズ、奴は我らに任せろ‼︎ 君たちは少年を頼む‼︎」
G・T「OK‼︎」
最終隊員B「来い、黒い凶星‼︎」
最終隊員C「大和魂を見せる時は今だ‼︎ かかれー‼︎」
ミア「この程度の相手…、アーマード・ギアは必要ない…。白兵戦で戦ってあげる…」
ミアは日本刀「
最終隊員A「くぅぅぅ…‼︎」
ミア「………」
最終隊員A「バカな…‼︎ 生身の人間が日本刀でアーマード・ギア相手に鍔迫り合いをできるだと⁉︎ 奴は何者なんだ⁉︎」
そして何度か刃を交えた後、ミアは防人を一刀両断し、地面に着地した。
最終隊員A「うわぁぁぁ…‼︎ 脱出する‼︎」
ミア「………」
爆炎を背にして立っているミアの姿はまるで漆黒の阿修羅天のようであった。
直虎「黒い凶星…、何という恐ろしい姿…」
富士山「鬼神の如き強さだ‼︎」
最終隊員B「怯むなー‼︎ 大和魂を奴に見せつけろー‼︎」
十字軍兵A「おおっと、我らの相手も忘れてもらっては困る‼︎」
最終隊員C「これでも食らえ‼︎」
十字軍兵A「フン…、命中精度がなっていないな‼︎ プラズマライフルとはこう使うものだ‼︎」
機甲十字軍の兵士は防人の攻撃を軽々とかわすと、パンツァーカイルのプラズマライフルを防人に向かって撃ち込んだ。
最終隊員C「うわぁぁぁ‼︎ や、やられた‼︎」
十字軍兵A「見たか、機甲十字軍の強さを‼︎ そこら辺の勢力の一般兵とは格が違うのだ‼︎」
最終隊員B「強い、機甲十字軍はそこらの一般兵とは一味違う‼︎ 舐めてかかるな‼︎」
隊員たちはミアと機甲十字軍の兵士たちに苦戦しながらも、明日美がダークバリオン弾を撃ち込むための時間を稼いだ。
一方、Gトルーパーズも少年と死闘を繰り広げていた。
バスター2・バスター3・バスター4は損傷していたが、少年のパンツァーカイルも、三人の大健闘によりかなり損傷していた。
少年「くっ……………‼︎」
少年は大出力のプラズマライフルを杏花のバスター2に向けて放ったが、杏花はギリギリのところで回避した。
杏花「危なかった…。これはお返しよ、プラズマナーックル‼︎」
杏花は隙を突いて思い切り少年のパンツァーカイルの頭部を殴りつけた。
すると、少年のパンツァーカイルの頭部は吹っ飛び、機体は後ろのビルに激突した。
少年「……………」
少年は起き上がると、ミサイルランチャーを超高速で全弾発射した。
麻里奈「ECMの舞、チャフの舞‼︎」
麻里奈はECMを発動させた後にチャフを散布し、少年のパンツァーカイルの動きを一時的に封じた。
麻里奈「そして、剣の舞‼︎」
続いて麻里奈はプラズマサーベルを取り出した。
麻里奈「斬る‼︎」
麻里奈はジャンプすると乱れ斬りでミサイルランチャーの弾を全弾空中で斬り払い、武士が刀を収めるポーズをして着地した。
麻里奈「にゃはん♡ また、つまらぬものを斬ってしまった…‼︎ な〜んて…」
少年「……………。…っ⁉︎」
明日美が自分に狙いを定めているのを発見した少年は、バスター5の方へ向かった。
明日美「来るわ…‼︎」
萌「そっちは今、通行止めだよ。プラズマホーミングミサイル、発射‼︎」
バスター4から大量のプラズマホーミングミサイルが発射され、少年のパンツァーカイルを追尾して全弾命中させた。
少年のパンツァーカイルの右腕部分は破壊され、脚部にも損傷を負って跪いた。
杏花「チャンス…‼︎ 麻里奈、萌、今よ‼︎」
麻里奈・萌「OK‼︎」
杏花「どぉりゃあー‼︎ プラズマコレダー‼︎」
麻里奈「ほぁたぁー‼︎ 電子拳法、電磁パルス拳‼︎」
萌「えいっ‼︎ 零距離プラズマガトリングガン‼︎」
バスター2・バスター3・バスター4の同時攻撃が三方向から命中し、少年のパンツァーカイルは、バスター2の電撃・バスター3の電磁パルスにより動きを封じられた。
萌はバスター4を機体ごとぶつけて、自慢の重装甲で少年のパンツァーカイルを押さえつけた。
少年「ぐ…、あぁ………。」
杏花「明日美、今よ‼︎ コクピットにダークバリオン弾を撃ち込んで‼︎」
麻里奈「明日美殿‼︎ 電磁パルス拳が効いている内に‼︎」
萌「明日美ちゃん‼︎ 早く‼︎」
明日美「ゆ…、指が…………‼︎ 何を戸惑っているの…、私…⁉︎」
明日美の心の中には、少し戸惑いがあった。ダークバリオン弾を撃ち込めば自分や仲間は助かる。だが、少年はもしかしたら死んでしまうのではないかと。
直虎「どうしたの、明日美⁉︎ 早く撃って‼︎」
富士山「華園隊員‼︎ 仲間たちが作ってくれた時間を無駄にしてはならん‼︎」
明日美「だけど…、もしかしたら…、あの子は、あの子の命は…。」
最終隊員D「うわぁぁぁ‼︎」
最終隊員E「おのれ、機甲十字軍…‼︎」
十字軍兵C「貴様らでは我らに勝てん‼︎」
防人や飛燕が次々と機甲十字軍に撃墜されていく。
最終隊員F「黒い凶星めっ‼︎」
ミア「遅いっ…‼︎」
隊員が防人のプラズマランサーをミアに向かって振りかざすと、ミアはジャンプして回避し、防人を踏み台にしてさらに大きくジャンプした。
最終隊員F「防人をジャンプ台にするとは…‼︎」
最終隊員G「何て跳躍力なんだ…‼︎ うわぁぁぁ‼︎」
ミア「……………」
そして、ミアはその勢いで飛燕を一刀両断し、撃墜した。
杏花「これだけ機体が損傷しているのに…、まだこんな力が出るの…⁉︎」
麻里奈「電磁パルス拳も…、長くは持たんでござる…‼︎」
萌「このままじゃ、あたしたちが先にダウンしちゃう…‼︎」
少年の激しい抵抗により、三人の機体はオーバーヒートしそうになっていた。
直虎「明日美、早く‼︎」
明日美「やっぱり私には…、あの子を撃つなんて…、できないっ…‼︎ あの子が死んでしまったら…、あの子が死んでしまったらどうなるの…⁉︎」
直虎「何を言ってるの、明日美‼︎ 彼だってGトルーパーズの一員なのよ‼︎ みんなの最後の希望であるGトルーパーズが、こんなところでくたばる訳ないじゃない‼︎」
明日美「はっ…⁉︎」
直虎「仲間が道を踏み外しそうになったら、それを糺すのも仲間の役目よ‼︎ 優しく甘やかすことばかりが思いやりじゃないわ、明日美‼︎」
明日美「そうだわ…、もし本当にあの子がGトルーパーズの一員なら…、こんなところで死ぬはずがない…‼︎」
最終隊員H「うわぁぁぁ‼︎」
最終隊員F「人間一人に次々とアーマード・ギアが撃墜されるなんて‼︎ 奴は本当に人間か⁉︎」
十字軍兵C「うわぁぁぁ‼︎」
十字軍兵D「くっ…、やったな‼︎」
最終隊員B「大和魂を見くびるな、機甲十字軍‼︎」
ミアによって次々と防人が一刀両断されていく中、隊員たちも奮闘し、機甲十字軍のパンツァーカイルと接戦を繰り広げた。
直虎「明日美‼︎ 迷ってる場合じゃないわ、早くっ‼︎ ああっ…………⁉︎ 黒い凶星が来るわ‼︎」
ミア「実験体は、機甲十字軍がもらう…‼︎」
杏花「明日美、早く‼︎」
麻里奈「もう、電磁パルス拳も限界でござる…‼︎」
萌「ダメ、押さえきれないっ…‼︎」
明日美「みんなが作ってくれた時間…、無駄にはしないっ‼︎」
「ガチャ…」
明日美は少年のパンツァーカイルのコクピットに向けて再度、慎重に狙いを定めた。
ミア「はぁっ‼︎」
ミアも少年のパンツァーカイルに向かってジャンプした。
直虎「明日美‼︎」
富士山「華園隊員‼︎」
杏花「明日美‼︎」
麻里奈「明日美殿‼︎」
萌「明日美ちゃん‼︎」
仲間たちが明日美の名を叫んだ瞬間、明日美は少年のパンツァーカイルをロックした。
明日美「ターゲットロック…‼︎ ダークバリオン弾、発射‼︎」
明日美がバスター5のプラズマスナイパーライフルの引き金を引くと、ダークバリオン弾は少年のパンツァーカイルのコクピットを目がけて真っ直ぐに飛んだ。
少年「うおぉぉぉぉ………‼︎」
杏花・麻里奈・萌「きゃあぁぁぁ‼︎」
少年はパンツァーカイルから衝撃波を放ち、バスター2、バスター3、バスター4を振り払った。
直虎(お願い…)
明日美(当たって…‼︎)
少年「…⁉︎ くっ…‼︎」
一瞬避けられそうになったが、ダークバリオン弾は見事、少年のパンツァーカイルのコクピットに命中した。
直虎「やったわ…‼︎」
少年「ぐ…、ぐおぉ…、あぁぁ………」
極小重力場から放たれる重力波で少年のパンツァーカイルは重力崩壊を起こし、《少年》》は地面に両手をついてもがき苦しんだ。
ミア「まずい…‼︎ くぅっ…‼︎」
ミアは刀で重力波の衝撃を防ぎ、一時退避した。
富士山「回収班、回収急げ‼︎ 医療班、緊急手術の準備を‼︎」
杏花「少し疲れたわね…」
麻里奈「もう少しでオーバーヒートするところだったでござる…」
萌「このまま、ゆっくり休みたい…」
明日美「はぁ…。あとは、あの子の回復力を信じるだけね…」
Gトルーパーズは、少し疲れた様子で息をついた。
少年「ぐあぁ…、あぁぁ………、はぁ…、はぁ…、あぁぁぁぁ…‼︎あぁぁぁぁぁ……………。」
少年は重力波を全身から波動を放ちかき消すと、その場で気を失いバタリと倒れた。
ミア「今だ…、はぁっ‼︎」
機を伺っていたミアは、少年に向かってジャンプした。
明日美「そうはさせないわっ‼︎」
明日美はバスター5のプラズマダガーを取り出し、ミアの黒村正を受け止めた。
ミア「くっ…、邪魔をする気か…⁉︎」
明日美「あの子は渡さないわよ…‼︎」
少年にダークバリオン弾を命中させ、静止させることに成功したGトルーパーズ。
そこへ機を伺っていたミアが少年を回収しようと突然乱入、明日美はそれを阻止せんと立ち向かった。
すれ違えば誰もが思わず二度見するような、二人の美女の熱い戦いが今、始まる。
【次回予告】
ナレーション:
富士山です。ここに出させていただくのは初めてですな。
いやはや、最近の若い女性というのはみんな強いな‼︎ 男性陣の出る幕がないほどだ‼︎
特に華園隊員‼︎ 彼女は銃の扱いだけではなく、ナイフの扱いも超一流だ‼︎ 才色兼備とは、彼女のためにあるような言葉だな‼︎
黒い凶星の日本刀と華園隊員のナイフ、はたして勝つのはどちらか‼︎
火花散らす女同士の戦いに目が離せん‼︎
次回、宇宙創戦記XTENTION‼︎
【第17戦記 女の戦い】
と言う話らしいぞ‼︎ 私も楽しみだ‼︎
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