(四)-2

「お話があります」

 低く、強い口調だった。この口調は、何か抗議があるときの言い方だった。

 「ともかく席で話そうよ」と益田は自分の席に向かうと、吉見さんも自分の席に向かった。そしてお互い椅子に腰掛けた。

「なんでこんな給料なんですか」

「え、お給料? ちょっとアップできたでしょ」

「私のではありません」

「ああ、田端さんの」

「計算すると、二回のボーナス含めて年収一千万円になりますよ。これ、代表の倍額以上じゃないですか」


(続く)

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