(四)

 二週間後、益田がいつも通り、通所者のお迎えの後に事務所に戻ってきた。

 吉見さんの向かいのデスクに目をやると、そこには誰もいなかった。

 そのデスクの主は、出勤初日に顔を見せた以外は事務所に出勤していなかった。そもそもいても仕事はなかった。いや、現場の仕事を手伝ってもらいたかったというのが、正直なところであった。

 益田が事務所に入るなり、音を立てて吉見さんが立ち上がった。そして、まだ事務所の入口にいる益田のところへやってきた。


(続く)

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