(二)-16
「益田さん、こちらとしてもご協力したい気持ちはあるんですよ。やはり多くの人のための補助金ですからね。あなた方はサービスの利用者の皆さんのために働いている。大変立派でいらっしゃる。でもあなた方が提供しているサービスの範囲を、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、一人分だけでいいんです、増やして頂けませんかね。いわば人助け、といいますか」
東は話ながら笑顔を崩さず、スーツの内ポケットからセンスを取り出して開き、顔を仰ぎ始めた。
「今回退官する職員も、お子さんが受験を控えているそうなんですよ。ここで退職してしまうと、一家路頭に迷ってしまうんですよ。彼のお子さんにも、あなたに助け船を出してもらえると、大変ありがたいんですよね。ほらよく言うでしょう、人という字は人と人が支え合っているって、アレですよ」
「で、ですが……」
(続く)
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