(二)-14

「天下り(あまくだり)、ですか」

「世間ではそう呼ばれていますけど、再就職先の斡旋とご認識頂ければ」

「しかし、そんなお金……」

「ええ。だから助成金を申請されるのですよね」

「ちょっと待って下さい。私たちは利用者の方のことを思ってこそ……」

「それは、受け入れられないということでよろしいですか。では、この話はなかったことに……」

 そういうと大塚は立ち上がって事務所の奥に行こうとした。

「ちょっと待って下さい」

 益田は慌てて大塚を引き留めようとした。

 そのとき、事務所の入口が開く音がした。振り向くと、ダブルのスーツを着た恰幅の良い高齢の男性が、スーツ姿の男性を二人連れて入ってきた。

「先生、お帰りなさい」

 大塚が高齢の男性に言った。

「こちらは」

 低いがよく通る声で男性が言った。


(続く)

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