(二)-12

「何か見返りはありますか」

 夕方、益田は川居町内にある東議員の事務所にやってきていた。梅田に仲介してもらい、アポを取ったのだ。デイサービスの利用者を送った後なので、時刻は一九時に近かった。

 そして「介護利用者促進支援法の助成金を受けたいのですが」と益田が話すと、その秘書を名乗る大塚亜希雄という細身の三〇代くらいの若い男性がそう鋭く質問してきた。

 まさか、そんなことを言われるとは思わなかったので「見返りが必要なのですか?」と思わず応えた。

「ええ。先生も忙しい方ですから。時間を割くのであれば、それに見合った料金を頂くのは当たり前ではありませんか」


(続く)

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