(二)-11

 益田はしばらくその場をうごけなかった。まさか、そんなことになっていようとは、誰が想像できたであろうか。

 しかし、国会議員の電話番号なんて全く知らない。……どうしようか。

 一応頭の中で知り合いに国会議員を知っていそうな人がいないか、考えてみた。

 そのときにふと小学校からの友人で地元の町議会議員をしている梅田天真てんまのことを思い出した。小学校中学校では同じクラスにはなったことがなく、お互いに顔見知り程度であった。その後、大人になってから再会し、たびたび飲みに行く間柄になった。益田自身、法人を運営する代表の立場ということもあり、選挙での投票をお願いされることもあった。

 そんな梅田であれば、国会議員の先生とのつながりもあるかもしれない。

 益田はベンチから立ち上がり、役場の建物の外に出た。そして携帯電話を取り出し、梅田に電話をかけた。


(続く)

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