(二)-10

「名前は知っているけど……」

「東議員はこの法案の成立にも関わっておられたんですわ。まだ大臣ポストはもろうたことないんですけどね、民自党内では重鎮中の重鎮になりつつある人ですわ。まず、その人に会わないと。この補助金、結構ライバル多いさかい。そうやって優先順位を上げてもらわんと、まあまず不採用。しかし、東議員からの口添えがあれば、役場の審査なんて一発ですわ」

 すると、受付窓口の発券機の番号が呼ばれた。

「あ、呼ばれとる。ではお先に」

 大久保は立ち上がっていそいそと窓口へと向かっていった。


(続く)

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