第30話 大いなる存在
「てかユーマはリーラさんに買い取られた奴隷だろ?
それも知らなかったのか?」
「え?
奴隷ってそんなわけ」
いやリーラはそういう設定にしてるのか?
否定せず乗っかるべきなのか??
なんも聞かされてないぞ...
「違うのか?
じゃあどうやって村に入ったんだよ
お前
「いやーそうでした
僕はリーラさんの奴隷です」
「ええ!?ユーマくんって奴隷だったの!?
なんかごめんね気を使ってあげられてなくて」
「奴隷だということは別に隠さなくたっていい
珍しいもんでもないからな
まあ、ご愁傷様」
なんだこの嫌な気分...。
「とりあえず
言っとくけどメアラさんなら心配しなくても無事だと思うぞ
夢咲村にいないのだとしたら別の村にいるはずだからな」
「そっか!!
別の村にいる可能性があったんだ!!」
「...!」
...確かにそれがあった。
他にも人間の村があることは昨日聞いた気がするけど忘れてた。
まず生きてるか死んでるか
「おいその可能性の方が高、いやその可能性しかないだろ」
「ずっと、お姉ちゃんが美しすぎて魔物たちが結婚するなんて言い出して、誰が相応しいかって争ったりして、それで勝ち残った魔物が俺のものだなんて勝手なこと言って連れ去って、あられもない姿にさせられてあんなそんなこんなされてるって思い込んでた
そっかー元気にしてるといいな」
「それはちょっと考えすぎでは...??」
「メアラさんに限っては悪い方向の可能性はないに等しい
なぜなら誰よりも心が強くて頭もいいからな
大体メアラさんが魔物に気を許すわけないだろ
お前がメアラさんとどんな関係だか知らんが全然分かってないな
メアラさんは警戒心を怠らずあらゆる可能性を考え対策する人であり万が一の不測の事態にも迅速に対応できる正義感に満ち溢れた人なんだよ
それからメアラさんはなー━━━━━━━━━」
2人がどれだけメアラという人を尊敬しているかが伝わってきてすごい人なのがよく分かった。
僕たちは周りに崩れた建物と魔物の焼死体で溢れてる中を歩いていく。
「メアラさんに初めて会ったのは9年前
その頃魔物の襲撃が度々あって勇者や他の防衛隊によって村は守られていたものの被害から免れることはできず、街は崩落し人は減る一方だった
そのとき村のアナウンスで戦える人たち全員に招集がかけられたんだけど
そこでメアラさんに初めて会ったんだよ」
「私はそのとき小さな部屋に引きこもってた...」
「メアラさんは防衛隊の隊列などが描かれた大きな紙を見せながら作戦の説明をして、村に被害が及ばない方法を示してみせた
そして訓練を入念に行った後にまた魔物が攻めてきた
が、作戦通りに行動するといつもより極限に少ない被害で済むことができたんだ
それからというものたまに招集がかけられ魔物の行動パターンと対策を示してもらって、魔物は変わらず襲撃に来るにも関わらず被害はほとんどなくなったんだよ
いつからかメアラさんは司令塔の勇者と呼ばれるようになってたな」
「1人の力でそこまで戦況を変えるなんてすごい...!
一体どんな作戦だったんですか?」
「お姉ちゃんはそんなすごい人だったんだ!
私全然知らなかった」
「作戦内容はまあ一旦置いておいて
ここからが1番重要なところだぞ!」
つづく
勇者になることを誓うが人を守れない @ts_tennessine
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