第22話 純粋の水魔法
「お前は悪魔にどうやってやられたんだ?」
「何かしらの魔法で全身が蝕まれていくようで気持ち悪かったです
でも咄嗟に水魔法で体を包んだおかげか、何とか致命傷で済んだみたいですね!」
「それってもしかしてこんな魔法じゃないですか?」
蝕んでいく魔法に覚えがあり、僕は闇属性の短剣を手に取った。
剣から溢れ出す闇のオーラが全身に渡っていく。
「そうそれ!その
「それが闇魔法ってやつか」
3人で話していると、遠くから赤色の何かが走ってきているように見えた。
「なんかおじさんが猛スピードでこっちに向かってきてません?」
「なんだあのクソジジイ」
「たしかゴブリンの亜種のー、変質の魔物です」
「ユーマ、あいつを殺ってみろ」
「はい!」
ものすごい速さだが、昨日のゴブリンたちで少し目が慣れていた。
僕は2人より前に立ち、タイミングを見計らって左から右へ剣を大きく振る。
直撃を狙った一振だったが、気持ちが前に出すぎて思っていたより早く振ってしまった。
「血をくれぇぇぇ」
振った所より奥にいた赤いおじさんは闇の波動によって灰となって消えていく。
僕は剣を振り切った体勢で少しの間固まっていた。
恥ずかしい...
「おー!すごい」
「これが闇属性の力か
よし、先に進むぞ」
「ちょっと待ってください
ミナさんはどうするんですか?」
「ユーマが連れてこい」
「え!?」
「私なら大丈夫です」
ミナの付けている2つの髪留めから水が流れ出る。
「なら行くぞ」
ジガン先輩が先に飛び出した。
それに続くように僕も風魔法で飛び、ミナは波を作り出してその波に乗って進んだ。
「ちょっ、ちょっと待って~!」
ミナが後ろから大きな声で呼んでいた。
僕はスピードを落として後ろへ振り向く。
「はぁ、速すぎるよ~!」
ミナはだいぶ後ろから追ってきていた。
ジガン先輩は遠くでこちらを見ている。
「ごめ~ん、やっぱり手伝って~!」
着地してミナを待つ。
風魔法の使い方にだいぶ慣れてきたが、どうイメージすれば一緒に飛ぶことができるのだろう。
「もう無理ー」
ミナは疲れ果てた様子で僕のところにきた。
「ミナさん手に捕まってください」
僕は右手をミナの方へ伸ばす。
「ありがと~」
「いや、両手じゃなくて片手で大丈夫ですよ!?」
「あ、ごめんね」
「いやー、右手じゃなくて左手で」
「ああ」
「お前ら握手会開いてないでさっさと行くぞ!!」
この世界に握手会なんてものがあるのか!?
「じゃあミナさん、飛びますよ」
体を押し上げる力と進行方向へ押し出す力を意識して、2人で飛べるようにイメージする。
「わー!飛んでるー!」
無駄に広範囲すぎて供給が間に合わない。
このペースじゃさっきのミナと同じ速度かそれより遅い。
これは、仕方ないよな。
「ミナさん、こっちに」
ミナの手を優しく引っ張って、僕の背中の方に引き寄せた。
「背中に捕まって!」
「分かった!」
「ちょっ、フードを掴まないで
おんぶですよ?おんぶ!」
つづく
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