#2

 大勢のたのもしい鉱山の男たちがにぎやかに暮らしていたまちは、今ではしぼんでしまったかのようでした。

 それでもかつて頼もしかった男たちは昔通ったように気のいい店主の飲み屋の卓に顔を揃えたり、まちの片隅で懐かしむように目をすぼめたりしています。


 まちの石畳は人の歩く量によってゆるい曲線にへこんでいました。昔はたくさんの人が歩いたからです。まちの商店街にあたるところには、人と一緒にひとむかし、ふたむかしは前のブリキで出来たようなロボットが働いています。

 都会から切り離されたこのまちは、あまり新しいものは入って来ません。そして、このまちの人たちはほとんどみんな、物持ちが大変よかったのです。

 黄色の太陽がてっぺんにあるので、影は足元でまあるくちいさく塊のようになりました。道の横に並んで立っている街燈は頭をたれて、居眠りをしています。鈍く黒光りする街燈は、ところどころ色がはげていてずっと前から立ち続けていることがわかります。


 街燈に沿っていくと、赤い煉瓦で出来た色々な家が見えてきます。そのまま街燈の案内で先へ行くと、牛を飼う農家の家も見えてきます。あまり小さな子の声は聞こえてきません。たまに聞こえても、おじいさんやおばあさんを訪ねてきた子供の楽しげな声がほとんどです。

 シェードはそんなあたりの家に、おじいさんとおばあさんと暮らしていました。昔にこのまちへやってきた学者のおじいさんとおばあさんは、都会へ帰るだとかはすっかり考えていなくてあっという間にこのまちが好きになったとか。

 おじいさんとおばあさんの子供たちは都会にいます。最近会っていません。シェードももちろん会っていません。おじいさんとおばあさんとシェードは、子供たちが好きでしたしまた来てくれる事を願っていました。


とりあえず、まちの案内はここまで。

それではまたいつか。

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