第43話 プールで彼女と✕✕✕
決して派手なわけではない黒色の水着。
だけど白肌の燈子さんが身に付けているからなのか、それとも単純に水着姿の燈子さんだからなのか、それはわからないけどめちゃくちゃエロい……。
「ええ、似合ってますよ」
ちゃんと言えた、が視線を下げてしまった。
「ちゃんと目を見て褒めてほしいのだけど?」
下げた先から見上げるように、燈子さんに見つめられる。
ナイトプールの明かりに照らされた豊満な胸は、燈子さんが動くと微かに揺れる。
「もしかして、照れてる?」
「別に」
「そうよね。いつもはこの布で隠していない私の裸を、まじまじと見てるものね」
水着の紐を指先で弾く燈子さん。
それを言われると、何も言葉を返せない。
「ほら、行きましょう」
手を掴まれ、プールサイドへ。
幻想的な明かりに照らされた水の中へ足先を入れる。
「意外と温かいのね」
「ですね」
こういう雰囲気のあるナイトプールで泳ぐ人はあまりいないんだろう。
燈子さんに手を握られ、歩いて人の少ない場所へ移動する。
「お酒も飲めるみたいだけど、飲む?」
「燈子さんは?」
「んー、ここではいいかな」
「じゃあ自分も。まあ、正直また酔って寝ちゃったら大変ですからね」
「寝ちゃったらまた私が部屋まで連れて帰ってあげるから安心して」
「それは遠慮しておきます」
プールサイドに背中を付けると、燈子さんは隣に立つ。
視線の先に映ったのは、一組もカップルだった。
「あらあら、こんなところで発情しちゃって」
プールサイドに背を付けた男性に抱き着き、足を絡める女性。
それを見ている燈子さんは、どこか楽し気だった。
「部屋に戻ってしてくればいいのに。ねえ?」
「ねえ、と言われても」
「もしかして、こういう場でするからいいのかしら?」
「人に見られて興奮する、みたいな人もいますからね」
「恵くんも?」
「俺は違いますよ」
さすがにそういう性癖はない。
ない、が。男なら一度は体験してみたいシチュエーションではあるかもしれない。
「本当……?」
そう言って、燈子さんは俺の前に立つ。
俺の首へと腕を絡ませ、肌を密着させる。
「燈子さん……?」
「あのカップルと同じ。どうせ、私たちのことなんて誰も見てないわよ」
耳元で囁きながら、燈子さんの身体が微かに浮く。
ぷかって。そして下半身を密着させるように、さっきまで視界に入っていたカップルみたいに俺に抱き着いてくる。
「ねえ」
「……なんでしょう」
「なんか、硬いのが当たってるんだけど?」
「気のせいです」
「勃ってる?」
「……」
生暖かい水に全身を包まれ、胸元には柔らかい感触が当たり、下半身も重なっている。
これで生理現象を抑えろという方が無理だろう。
そして燈子さんには見えないだろうが、俺たちの方を見ている人たちが数名いる。
「重たくない?」
「重たくはないですが、できれば離れてほしいです」
「それは無理よ。この体位、私が好きなのよく知ってるでしょ?」
「……」
「照れちゃって。どうせ誰も聞いてないし見てないんだからいいでしょ」
「いや、見られてますけど」
「ほんと?」
「はい、本当です」
「あらら、恥ずかしい。でも止めない」
「……」
絡めた脚が、また一段と力が増す。
「プールなんて、いつ以来かしら」
「学生のときに行かなかったんですか?」
「ええ。プールも、海にだって行った覚えなかったかな」
「そうなんですか」
そういえば、大学生の頃の燈子さんは知ってるけど、中学とか高校の話はあまり聞いたことがないな。
「高校生のときとか、たくさん誘われたんじゃないんですか?」
「プールとか海?」
「ええ」
「……まあ、誘われたかな。その時からおっぱい大きかったから、それを見るのが目的の男子とかにね」
「……」
「ピクッて硬いのが反応した。恵くんも大好きだものね、これ」
「……」
「もう、都合が悪いことはすぐだんまり。……だけどさっき言ったように、誘われても行かなかったのよ」
「どうしてですか?」
何の考えもなく聞いた。
そしたら燈子さんも、何の躊躇いもなく答えてくれた。
「学生の頃の私って、ものすごく体が弱かったのよ」
「え……?」
それは初耳だった。
「学校に通う日数よりも、入院している日数の方が多かったんじゃないかな。それこそ、学生の頃の思い出なんて、病室のベットで本を読んでいたことぐらいかしら」
「……初めて、聞きました」
「だって初めて言ったもの、恵くんに」
明るく振る舞っているけど、入院ばかりの生活って楽しい思い出じゃないよな。
燈子さんはあまり暗い話をしないタイプの人で、こんなこと、普段なら絶対に言わないと思う。
それなのにどうして、燈子さんは話してくれたのだろうか。
「今は、もう大丈夫なんですか?」
そう問いかけると、燈子さんは俺を見てにっこりと微笑む。
「答えてあげてもいいけど、その前にエッチ……しよっか」
「は!?」
つい、大きな声が出てしまった。
燈子さんは笑っているけど、その表情はどこか、真剣な感じがした。
「どうせこのまましても、誰にも気づかれないかなって。ダメ?」
「いや、駄目に決まってるじゃないですか」
「とかいいながら、恵くんのここは欲しがってるみたいだけど?」
「──ッ!?」
重なった下半身を擦り合わせる燈子さん。
彼女は俺の耳に唇を付けながら、小さな声で懇願する。
「ねっ、お願い。いいでしょ……?」
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