第23話 ハニートラップ ※神宮寺視点
※神宮寺視点
年齢は20代前半といったところだろう。
茶色の巻き髪を左肩から垂らした髪型で、どこかのキャバクラでナンバー3ぐらいはとれそうな顔。
身長は160ほどと高いが、おそらくハイヒールの靴を履いているからで、正確には150ほどだろう。
着ている黒のドレスの値段はそこそこのものだろう。持っているバッグはブランド物じゃないから、そこまで金を持っていないだろうな。
「なるほど、配信者として始めたばかりなのか……」
手に持ったグラスを口に付けながら、視線を女の身体に向ける。
ドレス越しにもわかるくびれた身体。だが、がっつり開けている胸元から谷間が見え、大きくて瑞々しい純白のおっぱいがそそられる。
それに尻も……ははっ、なかなかの物を持っているな。
「そうなんですぅ。ずっと配信者に憧れてて、この前から始めたんですけど、ぜんっぜん伸びなくてぇ……」
「まあ、リスナーを増やすのは難しいからね」
この馬鹿っぽい喋り方なら、下心丸出しの馬鹿な男連中に好かれそうだがな。
まあ、まだ始めたばかりだから、男の吊り方もわからないんだろ。もったいない、いいものを持っているというのに……。
「だけど聞きましたよ、神宮寺さんは最初から人気だったってぇ」
「え、まあね。ははっ」
最初から人気なんてなかったよ、このアホ女。
俺だってリスナーがいない時はあったさ。だがお前らみたいにのほほんと生きてたんじゃなくて、頭を使ってリスナーを増やしたんだっての。俺に話しかける前にそれぐらい勉強しろよ。
──まどかの兄貴の情報をあいつから聞き出し、大勢からヘイトを集めている最高の瞬間で暴露した。
その一件で俺は、暴露系配信者でも有名な存在になった。
だがそれはきっかけに過ぎず、ネタが勝手にバンバン舞い込んでくるわけじゃない。
増えだしたリスナーから誰々を裁いてほしいとか頼まれるが、はっきり言って相手が小物で、数字が全然とれなかった。
数字をとるには、大物のスキャンダルを暴露して、誰が見てもわかるような”ざまあ”をしないといけない。
だから俺は、数字をとれる仕組みを作った。
まずは金に困ってる未成年の馬鹿女。
社会人だと金に靡かないが、こいつらは金を渡せばなんだってやってくれる馬鹿女たちで、未成年だとバイト感覚で引き受けてくれる。
そんな奴らに数万を渡して、有名配信者に接触させる。
もちろん一発でセックスすればいいが、無理ならいろんな女を特攻させる。
純粋そうな女。ギャルっぽい女。身体がエロい女。そいつの好みに合った女を使ったハニートラップを使ってスキャンダルを作る。
そうしてできあがったのが『有名配信者、未成年とホテルで淫行!』という最高級のスキャンダルだ。
──が、そこで暴露はしない。
そいつには新たな仕事道具を作る役目になってもらう。
その有名配信者に「暴露しないでやる。それともっといい女を抱かせてやる」と話を持ち掛ける。
罠に掛けられたと分かっていても、既成事実を握られている奴らは従うしかない。
最初は嫌がっていた奴らも、弱みを握られ、なおかつ女を抱かせてもらって少しずつ罠に嵌っていることを忘れて従順になっていく。
要するに──共犯者に引きずり込むんだ。
誰もが知っているような超大物の有名配信者だったらハニートラップに引っかかっても俺に協力しなかっただろうが、中堅クラスの配信者で、何より”今まで女と付き合ったことがなさそう”な奴らなら、共犯者に引きずり込むのは簡単だ。
それにもし共犯に引きずり込めそうになければ、暴露して金に変換すればいい。
そして、金を渡せば俺にとって都合のいい女になってくれる馬鹿な奴らと、多くのリスナーを抱えた中堅クラスの有名配信者たちを集める。
──そして、有名配信者とコラボさせた無名だった配信者たちには、これから作る俺の会社に所属してもらう。
「そういえば神宮寺さんってぇ、配信者を集めた会社を設立するんですよね?」
「ああ、そうだよ。君も入ってくれるよね?」
「はい、もちろんですぅ! でも、いいんですかぁ……? 私みたいな無名配信者なんかが、神宮寺さんの会社に所属させてもらってぇ」
「もちろんだよ。君みたいに、右も左も分からない手探り状態の配信者はこの世にいっぱいいるんだ。そんな者たちを導いていける、そんな存在になりたいんだ」
「神宮寺さん……」
今は無名でも、有名配信者とコラボさせればそこそこの数字は稼げる。そうして稼いだ金を、設立した会社でマネジメントとして何割か奪えばいい。
まあ、初期投資のいらない投資だ。
それに運が良ければ有名配信者の仲間入りして、今度はコラボする側になるかもしれない。
それにもし伸びなかったとしても、暴露ネタを持ってきたり作ってきたりさせればいい、前のぽんたんゲームズとかいう奴みたいに。
なにより女なら、その利用価値は男とは段違いだ。
どちらにせよ、有名無名問わず配信者を集めていけば、俺の影響力はどんどん配信者界隈で大きくなっていく。
そんな俺の周りには、これからもっと多くの人が寄ってくるだろう。
「……っと、少し臭い話をしちゃったかな。お酒でも取りに──」
「あっ、私が持ってきますから待っていてください」
女はそう言うと、ドリンクコーナーへと向かう。
いい尻が左右に揺れると、なんだか犯りたくなってくる。
「それに、あの女に似てるんだよな……」
俺が唯一堕とせなかった女──奈子メイ。
優しくしてやったっていうのに俺を振りやがった女。そしてあろうことか、あのストーカー野郎と付き合いやがった。
あんな屈辱的な仕打ち、初めてだ。
だが、その屈辱ももうすぐ晴れる。
あの女の過去を握り、それをネタに脅す。
”情報によれば”、既にあのストーカー野郎とは別れたらしい。であれば今は強がって無視してるが、そろそろ堕ちるだろう。
土下座させながら「あなたの女にしてください」って言わせて、何度も何度も犯してやる。
なんならハメ撮りして、あのストーカー野郎に動画を送ってもいいかもな。
「神宮寺さん?」
そして飽きたら捨ててやる。
元アイドルで、VTuberの
……いや、その前にここにいる奴らに回してもいいかもな。もっといい思いをさせてやらねえと、裏切る奴が出てくるかもしれねえ。
いや、裏切りはないか。
その為にこのパーティーにも、誰かが招待した奴しか来れない招待制にしてるんだ。
怪しい奴は、ここにはいねえ。
「おーい、神宮寺さん!?」
ふと、声をかけられた。
いや、女が戻ってきていたのか。
「あ、ああ、ごめん、ボーっとしてて」
「もしかして酔ってますかぁ? お酒、せっかく持ってきたんですけど、呑めないですかぁ?」
「いやいや、全然余裕だから」
女が持ってきたお酒を一口。
うっ、なんだこのめちゃくちゃアルコールのきつい酒。
俺がさっきまで呑んでた酒とは比べものにならねえ、それに変な味がするし。
「あれ、もしかして口に合わなかったですかぁ? 神宮寺さんなら、それぐらいのお酒余裕だと思ったんですけどぉ」
「ははっ、余裕に決まってるだろ」
グッと一気に呑むと、女は大喜びで手を叩く。
うわ、一気に気持ち悪くなった。早いところ帰るか……。
「さすが神宮寺さん。はい、もう一杯」
「え……?」
マジかよ。
だが断るわけには……。
それに、なんだかムラムラしてきた。奈子メイのことを思い出したからか。
今日はこの女で我慢するか。
「それじゃあ、もし俺がこれを呑んだら……今夜、付き合ってくれるかい?」
「今夜ですかぁ……? ふふ、どうしよっかなぁ」
はっ、どうしようかなとか言いながら乗り気じゃなねえかこの女。
俺は渡された酒を一気に呑む。
すると再び、女は笑顔で俺に酒を渡してきた。
♦
「──おら、とっとと股を開けよ!」
「いやっ、止めてください!」
「ああ? てめえから誘ったんだろうが!? いいから股を開いて懇願しろや! 神宮寺様の大きくて硬いアレを挿れてくださいって!」
「いや、いやですっ! 離してください!」
「ちっ、そういうことかよ……。金か? 金が目的か? どんだけ金が欲しいんだよ、この貧乏人が。十万か? 二十万か? お前ぐらいの顔と身体の女なら、十万が相場だな。拾えよ、おらっ!」
──パラパラ。
「そんな、神宮寺さんはいい人だと思ってたのに……」
「ああ? いい人だろ。お前みたいなアレをしゃぶるぐらいしか取り柄のない女に、こうしてお小遣いをやるって言ってんだからよ。おら、いいから早く犯らせれよ!」
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