Fランク冒険者の成り上がり～俺だけができる《ステータス操作》で最強へと至る～

第109話 フローネの職業

　名　前：フローネ（奴隷）

　年　齢：17

　職　業：料理人レベル10

　筋　力：15

　敏捷度：25＋10

　体　力：10

　魔　力：25＋10

　精神力：15＋10

　器用さ：30＋10

　運　　：20（－100）

　ステータスポイント：45

　スキルポイント：18

　取得ユニークスキル：無し

　取得スキル：『料理作成レベル4』『お菓子作成レベル2』

「これって……」

　俺が紙に書き出したステータスをガーネットはまじまじと見る。

「ガーネットの時と比べて結構レベルが上がってるんだな」

　最悪、レベル1と言うのも想定していたのだが、きちんと成長していたことに驚いた。

「でも、フローネさんは冒険者登録は初めてですよね？　護衛依頼中にモンスターを倒したという話は聞いてないのですけど？」

　ガーネットは首をかしげる。

「モンスターを倒すことだけがレベル上げの条件じゃないのかもな」

　俺たちが所持している『取得経験値増加』というスキルがある。

　このスキルはモンスターを倒した際に得られる『経験値』というものが増加するわけだが、この『経験値』を得る方法は別にモンスターを倒すだけではないのだろう。

『経験を積む』という言葉があるように、フローネを例に挙げるなら、彼女は毎日料理を作っており、休日も努力をしていた。

　自分の職業に沿った行動を日頃から行っていたので、結果としてレベルが上がっていたのではないかと推測する。

「それにしても、この『運』の横にある（-100）って何でしょうか？」

「俺は名前の横の（奴隷）が気になる」

　俺たちのステータス画面には存在していないので、この（-100）と（奴隷）は連動している可能性が高い。

　運に－補正がついているのはその影響なのだろうが、何とかしてあげたい。

「でも、良かったですよ。これだけステータスポイントがあれば、フローネさんも仕事で活躍できますよね」

　自分の屋敷だからこそ、ガーネットはフローネばかりを贔屓にするわけにはいかない。

　新参の奴隷が急に館の主人に気に入られている様子を見せると、他の者から嫉まれかねない。

　ガーネットも伯爵夫人から口を酸っぱくして言われていた。

「それで、どうステータスを振りましょうか？　家事全般は結構力が必要なのでそちらに振ります？」

　話を進めるガーネットに、

「その前に、彼女が持っている職業を見て欲しい」

　俺は別紙に書いておいた、彼女が転職可能な職業を見せた。

『錬金術士』『商人』『魔道士』『僧侶』

「私とは違って、前衛職がありませんね？」

「この『職業』という概念がどうなっているのかは検証できてないからわからないけど、彼女は紛れもなく後衛タイプみたいだよな」

「この『錬金術士』って、ティムさんや私も持って’いない職業ですよね？」

　錬金術士という職業はガーネットの『剣聖』と同じで物語にしか登場しない称号のようなものだったりする。

「伝説級の薬なんかを作ることができる役割で物語に登場していた気がする」

　物語の中盤などで病や呪いなどで倒れた剣聖やパラディン、勇者などの怪我を治す薬品を作り上げることができたはずだ。

「これ、やっぱり勝手にステータス操作するの良くないから、フローネと一度話をした方がいいと思うんだ」

「そうですね、彼女ならティムさんを裏切ることはないかと思いますし、その方が良いかと」

　彼女の人生を考えるならこちらでやってあげられることを開示して、本人と相談するのが一番だろう。

「でも、今は仕事中なので呼ぶのはまずいですし、メイド長が許す時間となると深夜になりますね」

「ああ、それで構わないから、俺の部屋に来るように伝えてもらえるか？」

　その言葉に、ガーネットは少々半眼になると俺を見てきた。

「それはいいですけど、その時間だと私も部屋に戻らなければいけないんですが……」

「ん。何か問題があるのか？」

「ティムさんは良く他人を勘違いさせる言い方をするので、誤解を与えないようにきちんとフローネさんに話してあげてくださいね？」

　顔を近付けてくるガーネットから圧力を感じる。

「あ、ああ。間違いなくちゃんと話をすることにするよ……」

　対等なパートナーになって以来、彼女との距離が縮まった気がする。

「そこまで言うなら信じます。どうか、彼女を幸せにしてあげてください。……私の時みたいに」

「えっ？　なんだって？」

　最後にボソリと呟いた声を聞き取れなかった。

「なんでもありません！　私は部屋に戻りますっ！」

　そう言うとガーネットは出て行った。