第49話 『スキル鑑定』
「おっ、やっと商人レベル40になったな」
街に戻ってから二週間が経過した。
俺は相変わらずダンジョンの五層に籠り、ドロップアイテムのポーションをがぶ飲みして最小限の休憩で狩りをしているのだが、その甲斐があってかようやく商人のレベルが目標に到達した。
「これで何のスキルも得られなかったら立ち直れないかも……」
ここまでの狩りは苦難に満ちていたため、弱気な言葉が自然とでる。
別にモンスターの強さが飛びぬけていて苦戦したわけではないし、ドロップボックスの中身に不満があったわけでもない。
ただ、これまでのレベル上げと違い、35を超えたあたりから必要な経験値が大幅に増えたようで丸一日集中して狩りをしてもレベルが1つも上がらなかったのだ。
どれだけ頑張っても1つたりとも動かぬ数字に、実は商人のレベルの上限は35なのではないかと不安にもなった。
そんな苦労を乗り越えてようやくたどり着いたのだから期待も高まるというもの。
俺は緊張しながら『取得可能スキル』を覗く。
「よっしゃっ!」
すると、取得可能スキルに1つ新しいスキルが増えていた。
『スキル鑑定』
「商人らしく新しい鑑定スキルか、効果は名前の通りなのかな?」
いずれにせよ取得しないという選択肢はない。
ここまで頑張ったのだから取得するべきだろう。
「取得にスキルポイント50か……早速使ってみるか」
溜めていたスキルポイントが237から187へと減少する。俺は早速スキルを使ってみることにした。
どうやらこのスキルは俺のステータス画面に表示されているスキルを指定して使うものらしい。俺は『指定スキル効果解除』を指定してみた。
・『指定スキル効果解除』⇒『指定スキル効果倍』で指定したスキルの効果を解除することができる。1日に解除できるスキルは1つまで、解除後『指定スキル効果倍』で別なスキルを選択することが可能。
「おおっ!」
どうやら予想通りのようだ。このスキルはそれぞれのスキル効果を説明してくれるらしい。
『指定スキル効果解除』はいずれ取得するつもりではあったが、現段階で躊躇していたスキルだ。こうして効果がはっきりしたことで計画が立てやすくなる。
「1日に1つまで解除することが出来て、他のスキルをセットできる。つまり5日あれば全く違うスキルを指定することで戦闘力を上げたりすることもできるってことだな?」
『取得増加系』スキルを外してでも戦力を上げたい場合『スピードアップ』や『スタミナアップ』を効果倍にすれば相当な戦力アップをすることができる。
そうすればもっと強力なモンスターすら一蹴することも可能になるだろう。
「これまでは漠然と体感で効果を認識していただけだからな、この機会に全部調べてみるか」
俺は各スキルを調べ始めた。
【見習い冒険者】
・『取得経験値増加』⇒スキルレベルに応じて取得経験値が増加する。レベル1増加率100%・レベル2増加率200%・レベル3増加率300%・レベル4増加率400%・レベル5増加率500%
・『取得スキルポイント増加』⇒スキルレベルに応じてレベルアップ時の取得SP(スキルポイント)が増加する。レベル1取得SP+1・レベル2取得SP+2・レベル3取得SP+3・レベル4取得SP+4・レベル5取得SP+5
・『取得ステータスポイント増加』⇒スキルレベルに応じてレベルアップ時の取得ST(ステータスポイント)が増加する。レベル1取得ST+1・レベル2取得ST+2・レベル3取得ST+3・レベル4取得ST+4・レベル5取得ST+5
・『指定スキル効果倍』⇒指定したスキルの効力が倍になる。スキルレベルに応じて指定できる数が増える。(最大5スキルまで)
・『指定スキル効果解除』⇒『指定スキル効果倍』で指定したスキルの効果を解除することができる。1日に解除できるスキルは1つまで、解除後『指定スキル効果倍』で別なスキルを選択することが可能。
【戦士】
・『剣術』⇒スキルレベルに応じて剣を使った時の攻撃力が上昇する。スキル【1】110%【2】120%【3】130%【4】140%【5】150%【6】160%【7】170%【8】180%【9】190%【10】300%
・『パリィ』⇒剣を使った時、相手の攻撃を受け流すことが出来る。相手の筋力とスキルレベルに応じて成功率が変化する。
・『手当』⇒使用することで怪我を治すことが出来る。【治癒効果極小】
・『挑発』⇒使用することで相手を怒らせて自分に攻撃を集中させることが出来る。レベル差に応じて成功率が変化する。
・『コンセントレーション』⇒使用することで一時的に『筋力』『敏捷度』『体力』を上昇させることができる。スキル【1】+5【2】+10【3】+15【4】+20【5】+25【6】+30【7】+35【8】+40【9】+45【10】+50
・『シールドバッシュ』⇒盾装備時に使用可能。防御しながら相手を攻撃することが出来る。威力はスキルレベルと相手の体力に応じて変化する。
・『格闘術』⇒スキルレベルに応じて身体を使った時の攻撃力が上昇する。スキル【1】110%【2】120%【3】130%【4】140%【5】150%【6】160%【7】170%【8】180%【9】190%【10】300%
【斥候】
・『短剣術』⇒スキルレベルに応じて短剣を使った時の攻撃力が上昇する。スキル【1】110%【2】120%【3】130%【4】140%【5】150%【6】160%【7】170%【8】180%【9】190%【10】300%
・『罠感知』⇒スキルレベルに応じて『罠設置』された罠を見破ることが出来る。相手の『罠設置』スキルが高いほど高レベルのスキルが必要となる。
・『罠解除』⇒スキルレベルに応じて『罠設置』された罠を解除することが出来る。相手の『罠設置』スキルが高いほど高レベルのスキルが必要となる。
・『解体』⇒モンスターを上手に解体することが出来るようになる。
・『後方回避』⇒使用することで後方回避を行い相手の攻撃を避けることができる。相手の敏捷度とスキルレベルに応じて成功率が変化する。
・『暗器術』⇒スキルレベルに応じて暗器を使った時の攻撃力が上昇する。スキル【1】110%【2】120%【3】130%【4】140%【5】150%【6】160%【7】170%【8】180%【9】190%【10】300%
・『魔法罠感知』⇒スキルレベルに応じて『魔法罠設置』された罠を見破ることが出来る。相手の『魔法罠設置』スキルが高いほど高レベルのスキルが必要となる。
・『罠設置』⇒使用することで罠を設置することが出来る。スキルレベルが高いほど『罠解除』されにくくなる。
・『バックスタブ』⇒相手に気付かれず背後から襲いかかることで高ダメージを与えることが出来る。スキル【1】150%【2】200%【3】250%【4】300%【5】350%【6】400%【7】450%【8】500%【9】550%【10】600%
【魔道士】
・『杖術』⇒スキルレベルに応じて杖を使った時の攻撃力が上昇する。スキル【1】110%【2】120%【3】130%【4】140%【5】150%【6】160%【7】170%【8】180%【9】190%【10】300%
・『ファイアアロー』⇒スキルレベルに応じて火矢の本数を増やし1本あたりの攻撃力もアップする。スキル【1】110%【2】120%【3】130%【4】140%【5】150%【6】160%【7】170%【8】180%【9】190%【10】300%
・『アイスアロー』⇒スキルレベルに応じて氷矢の本数を増やし1本あたりの攻撃力もアップする。スキル【1】110%【2】120%【3】130%【4】140%【5】150%【6】160%【7】170%【8】180%【9】190%【10】300%
・『ウインドアロー』⇒スキルレベルに応じて風矢の本数を増やし1本あたりの攻撃力もアップする。スキル【1】110%【2】120%【3】130%【4】140%【5】150%【6】160%【7】170%【8】180%【9】190%【10】300%
・『ロックシュート』⇒スキルレベルに応じて岩塊の数を増やし1個あたりの攻撃力もアップする。スキル【1】110%【2】120%【3】130%【4】140%【5】150%【6】160%【7】170%【8】180%【9】190%【10】300%
・『瞑想』⇒使用することで魔力の回復を早めることが出来る。(スキルレベルに応じて回復量が変化する)
・『ウォール』⇒それぞれの属性の壁を作ることが出来る。
・『バースト』⇒それぞれの属性と組み合わせることで高威力の魔法を使うことが出来る。スキルレベルに応じて攻撃力もアップする。スキル【1】130%【2】160%【3】190%【4】220%【5】250%【6】280%【7】310%【8】340%【9】370%【10】400%
・『魔力集中』⇒使用することで次に使った魔法の威力を増幅させることが出来る。スキル【1】150%【2】200%【3】250%【4】300%【5】350%【6】400%【7】450%【8】500%【9】550%【10】600%
【僧侶】
・『棍術』⇒スキルレベルに応じて棍を使った時の攻撃力が上昇する。スキル【1】110%【2】120%【3】130%【4】140%【5】150%【6】160%【7】170%【8】180%【9】190%【10】300%
・『ヒーリング』⇒使用することで怪我を癒すことが出来る。効果に関しては『精神力』とスキルレベルに応じて変化する。【治癒効果小】
・『キュア』⇒使用することで解毒することが出来る。効果に関しては『精神力』とスキルレベルに応じて変化する。
・『祝福』⇒使用することで一時的に『精神力』を増加させることが出来る。スキル【1】+1【2】+2【3】+3【4】+4【5】+5【6】+6【7】+7【8】+8【9】+9【10】+10
・『ハイヒーリング』⇒使用することで怪我を癒すことが出来る。効果に関しては『精神力』とスキルレベルに応じて変化する。【治癒効果中】
・『セイフティーウォール』⇒使用することで透明な壁を張ることが出来る。
・『スピードアップ』⇒使用することで一時的に『敏捷度』を上昇させることが出来る。スキルレベルに応じて上昇値と継続時間が変化する。スキル【1】+10【2】+20【3】+30【4】+40【5】+50【6】+60【7】+70【8】+80【9】+90【10】+100
・『スタミナアップ』⇒使用することで一時的に『体力』を上昇させることが出来る。スキルレベルに応じて上昇値と継続時間が変化する。スキル【1】+10【2】+20【3】+30【4】+40【5】+50【6】+60【7】+70【8】+80【9】+90【10】+100
【遊び人】
・『眠る』⇒眠ることで体力を回復させます。
・『寒いジョーク』⇒使用することで周囲から冷たい目で見られるようになります。
・『ものまね』⇒使用することで周囲から変人を見る目で見られるようになります。
・『食べる』⇒食べることで体力を回復させます。
・『深く眠る』⇒体力が一割を切ると強制発動、その場で深く眠り短時間で体力を回復させることが出来ます。
【商人】
・『アイテム鑑定』⇒使用することでアイテムの鑑定を行うことが出来る。スキルレベルに応じてレアアイテムの鑑定も行うことが出来る。
・『武器修理』⇒使用することで耐久度を回復させることが出来る。スキルレベルと武器のレア度に応じて回復量が変化する。
・『防具修理』⇒使用することで耐久度を回復させることが出来る。スキルレベルと防具のレア度に応じて回復量が変化する。
・『アイテムボックス』⇒スキル『アイテムボックス』を開くことが出来る。スキルレベルに応じで出せるアイテムボックスの数が変化する。
・『アイテムドロップ率増加』⇒⇒スキルレベルに応じて倒した相手がドロップボックスを落とす確率が増加する。スキル【1】+1%【2】+2%【3】+3%【4】+4%【5】+5%
・『スキル鑑定』⇒スキルを鑑定することが出来る。
「これは本当に便利だな、これだけ情報があれば次に何のスキルを取得した方が良いかハッキリする」
今後取得する順番を検討することが出来るだろう。
「それにしても……【遊び人】はなんだこれ?」
ほとんどのスキルがまったく役に立たない。それどころか『深く眠る』は俺にとっては致命的なスキルだった。
もし仮に取得していたらダンジョンで狩りをしていたどこかのタイミングで眠りに落ちてそのままモンスターに殺されていた可能性もある。
「危なかった……」
不要そうなスキルや効果がピンとこないスキルを取得しないようにしていて正解だった。今後も慎重な立ち回りをしなければならないと肝が冷えた。
「とりあえず、明日は休暇だからどのスキルを優先するかゆっくりと考えてみるか」
俺はスキル一覧をメモすると考えるのが楽しみになった。
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