第52話 「闇乙女族どもはまだ何か企んでいる」

 良い子のみんなアアアアアアアアアッ!

 お久しメリッサァアアアアアア!


 メタ視点用に創られたものの、なかなか出番のタイミングが見つからなくて早くも作者に忘れられているメターちゃんだよぉ!


 ……。


 え、自分で言ってて虚しくならないか、だって?

 うん、すっごい虚しいよ!

 ぶっちゃけ作者のことぶん殴りたいぐらい!


 でもでもぉ、そうも言っていられないよねぇ。

 思い出したかのように二章ラストを締めくくる役目を貰っちゃった! 

 せっかくの出番だし、しっかりやらないとね!


 で、本題に入ろっか!

 オトメリッサちゃんたちは無事、仲直りできたみたい。まぁ、まだモヤモヤするところはたくさん残っているんだけど……。ひとまずは安心、ってとこ?

 みんなで仲良く喧嘩した後の仲直り、そして土手に座り込んで美味しそうにパイを食べ合う(美味しいかどうかは知らないけど)。うーん、青春だねぇ!


 と、彼らがそんなことをやっている同じ時間――。

 ここはどこかにある、暗いお部屋。

「チッ、やっと調子が戻ってきたぜ」

 青いパーカーの少女は、肩をぐるんぐるんと回しながら呟いたわ。

「ふっ、やっと戻ってきたか。随分と長かったな」

「キシキシキシ、えらい目にあったな、全く。けど、こっからは手加減しねぇぜ。次は絶対に負けないぜ、オトメリッサにも、てめぇにも、な」

 青いパーカーの少女、サファイラは黄色い全身鎧の女、トパーラに力強く言い放ったの。

「ふっ、いいだろう。約束通り、お前が動けなかった間は私からは何も動いていない」

「へっ、そんじゃ勝負再開ってわけだな」と言いかけたところで、「ちょっと待て、今『私から』って言ったか? ってことは他に誰か動いた奴でもいんのか?」

「いや、それがな……」

「僭越ながら、私が出動させていただきましたの」

 そう言って奥から現れたのは、白いワンピースの少女、パールラ。

 彼女の姿を見るなり、サファイラは苦い顔を浮かべたわ。

「てめぇ、あたいらの邪魔をしようって魂胆か?」

「いいえぇ、安心なさって欲しいですの。あなた方のお邪魔にならないように、私は“時間”を集める方向に勤しんでいましたの」

 チッ、と舌打ちをして、サファイラはそっぽを向いたわ。

「ま、いっか。んで、てめぇのその“時間”とやらは集まったのか?」

「うーん、それが……」パールラは首を傾げて、「やはり思った以上にオトメリッサさんは強敵でしたの。思うように集まらなくて……」

「ふん」サファイラは鼻を鳴らして、「役に立たねぇな」

「面目ありませんの。でも、少しばかり面白いことになりそうですの」

「……面白いこと、だと?」

 トパーラが尋ねると、パールラはにやり、と不敵に微笑んだわ。

「ええ、少々準備が必要になりますけど、きっと漢気も時間も大量に集めてあげますの」

 サファイラはため息を吐いて、

「おいおい、ナメてんのか!? 時間を集めるのに時間を掛けるとか……」

「そんな悠長なことを言っている暇があるとでも思っているのか?」

「あら? それをあなた方が言える立場ですの? まだまだ漢気も足りないし、集めきれていない心もたくさんありますの。なのに何か月もお休みしているとか、闇乙女族としての自覚に欠けていますの」

 挑発的なパールラの態度に、サファイラもトパーラもムッと顔を顰めたわ。

「んだとてめぇッ!」

「よせ、サファイラ。コイツの挑発に乗るな」

 サファイラはまた舌打ちをして、

「わーったよ。だったらしっかりと挽回してやんよ。んで、てめぇに目に物を言わせてやっからな!」

「貴様に舐められっぱなしも癪だからな。次こそは……、オトメリッサたちを倒して見せる」

 パールラはふふっ、とほくそ笑んで、

「あ、そうですの。まだ『憎しみ』の心は集めていませんでしたっけ?」

「あ、あぁ。そいつはまだ集めてねぇ」

「言い訳がましいが、人間の憎しみなど取るに足らない代物だ。大抵逆恨みや小さな恨みばかりで、心の底から誰かを本気で憎むという領域に至っていない」

「そうですの……」パールラは少し考え込んで、「だったら、それを集める役目もわたくしに任せていただけませんの?」

 パールラの提案に、サファイラとトパーラは首を傾げたわ。

「おい、一体どういうつもりだ?」

「貴様が感情集めに申し出るなど、どういう風の吹き回しだ?」

「うふふ、ちょっとだけ」にっこりと、妖しくパールラは微笑んで、「当てがありますの。誰よりもドス黒い憎しみを抱きそうな方に、ね」

「なんだぞりゃ? そんな心が腐った奴がいるのか?」

「いいえぇ。心は実に優しい方、ですの。でも……」パールラは傍らに置いてあった植物の鉢を手に取り、「根っこの部分を腐らせてしまえば、こちらのもの、ですの」

「どういうことだ?」

「クスクス……、まぁわたくしにお任せください、ですの」

 妖しく笑うパールラ。

 そんな彼女の態度にサファイラは視線を逸らして、

「だったらそいつは任せてやんよ。けど……」

「何度も言うが、我々の邪魔だけはするな」

「重々承知していますの」

 ホントか、とサファイラは首を横に振って、

「そういや、アイツはどこにいやがんだ?」

「アイツ、ですの?」

 二人が尋ねると、トパーラは頭を抱えたわ。

「奴はまた街へ繰り出した」

「……またか」

「またですの」

 サファイラもパールラも一緒に頭を抱えて、

「アメジラの奴、心底“アレ”にご執心みたいだな。自分の役目もほっぽらかしているぐらいだ」

「……ふぅん、ですの」

 パールラは興味なさそうに淡々と返事をしたわ。

「おかげで私たちの仕事が増えて仕方がない。まぁ、その分漢気も集められるからいいのだがな」

「けどよぉ、お前らは絶対に忘れんなよ。あたいらの役目」

「あぁ」

「分かっていますの」

 三人は互いに目を向け合っていたわ。

「あたいらは、『あのお方』の復活を何としても成し遂げなければなんねぇ。そのためには時間も感情も、そして漢気もたくさん捧げなけりゃなんねぇってことだ」

「オトメリッサなどに邪魔されてなるものか」

「クスクス、これは今まで以上に気合を入れなければならないようですの」

「だから、次こそは……、絶対に、勝つ!」

 サファイラが強気に言い放って、トパーラとパールラはうん、と頷いたわ。


 ――なんだろう?

 どんどん嫌な予感が広がっていくわ。

 オトメリッサたちの戦いは、これから更に大変なことになっていきそう……。


 一体全体、どうなっちゃうのおおおおおおおおおおおッ!?


 と、いうわけで……。


 魔法少女オトメリッサどもは漢気を取り戻したい!

 第二章、これにてしゅうりょおおおおおおおおおおおおおおッ!


 第三章もお楽しみにね!


「……」


「…………」


「………………」


「忘れかけていたころに登場しやがったああああああああああああああああああああああああああッ!」

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