第11話 「妖精メパーはオトメリッサどもの動向が気になっている」
「めええええええぱあああああああああああああッ!」
「メぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」
影子はボクを縦へ横へともみくちゃに伸ばしてきやがった。
「敵の本拠地にいきなり乗り込むアホがいるかああああああいッ!」
「メ! だって、アイツらが勝手に……」
「問答無用ッ!」
「メェェェェェェェ!」
メメメメメメメ! 痛いメ!
もみくちゃにする手がどんどん激しくなっていったメ!
「……で、それからどうなったの!?」
やっとこさ影子の八つ当たりが止まったメ。マジで痛かったメ。
「メ……、それが……」
ボクは昨日の出来事の続きを話すことにしたメ――。
「さて、どこから入ればいいのか……」
どうやら真面目に本拠地に乗り込むつもりらしいメ。馬鹿なのかコイツらは、と言いたかったところだけど黙っておくことにしたメ。
「あそこじゃない?」
翼が岩壁のほうを指さしたメ。その方向には確かに大きな穴があったメ。
「……あんな目立つ場所に入り口を作る奴があるか」
海が冷静にツッコミを入れた。同感だメ……。
「ん~、分かんないよ。とりあえず入ってみて……」と翼が意気揚々と入ろうとすると、「あ、やっぱここ入り口っぽい。けど、入れないよ」
「どういうこと?」
翼は穴の前で虚空を何度も撫でている。何しているんだメ?
「分かった、これは特殊な光線バリアだ」
――メ?
何言っているか分からないメ。特に何も見えないけど……。
と、ボクが戸惑っていると、他の皆も洞窟の表面を何度も擦っているメ。その姿はさながらパントマイム大会でも始まったかのようだメ。
「本当だ、これは特殊な光線バリアだ」
「そうだな、特殊な光線バリアだ」
「ですね、特殊な光線バリアみたいです」
「うむ。間違いなく特殊な光線バリアだな!」
お前ら、特殊な光線バリアって何だメ……。ていうか、何故分かるメ……。
やがて、全員飽きたのか入り口から数歩離れたメ。一体何の時間だったメ……。
「別の入り口探そっか」
「だな」
淡々としているメ……。
それにしても別の入り口って、どこにあるんだろうメ? ボクたちは周囲を見渡した。
「翼さん、あそこ……」
葉が何かを見つけたようで、岩壁の上の方を指さした。
数メートルほど上の崖に大きくぽっかりと空いた穴が開いているメ。こっちほどの大きさではないけど、人一人ぐらいなら入れないことはなさそうに見えるメ。だけど……。
「あんな高い場所、どうやって行けばいいメ?」
ボクなら飛んで行けるけど、オトメリッサの連中が行けなきゃ意味がないメ。
と、思っていると自分たちの足下におあつらえ向きと言わんばかりにロープが落ちていることに気が付いたメ。なんというご都合主義な展開だメ……。
「よし、じゃあ僕が上まで登ってこのロープを引っ張るよ」
「いや、お前はどうやって登るんだよ」
「任せて」
意気揚々とロープを手にする翼。どうするつもりだメ……。
ボクたちが不安そうに見ているのを余所に、翼はニッと口元を歪めて不敵な笑みをこぼしたメ。
翼はそのまま背後に下がり、ふぅ、と深呼吸をしたメ。そして、目を見開いた後、一気に崖へと向かって助走をつけて――、
「……えっ?」
ボクも他のオトメリッサたちも、唖然としたメ。
翼は数メートルはあるかという崖を、いとも簡単に跳びあがりやがったメ。勿論、まだ変身はしていないメ……。
「よし、それじゃあロープを垂らすね」
崖の上でしゃがみながら、ボクたちのほうを見下ろしてにこやかに笑う翼。
「な……」
「何者なんだ、アイツ……」
ボクたちは目の前の出来事に呆気に取られつつも、ボクたちは素直に崖の上に登ることにしたメ。
幸い、こちらの入り口には光線バリアは張っておらず、すんなり内部に入れたメ。中は薄暗くて、ジメっとしていたけど、奥に進むにつれてどんどんひんやりしていたメ。これぞダンジョンって感じでボクたちはなんだかワクワクしてきたメ。
「そろそろ敵とか出てきてくれないかな~」
「油断するなよ、桃瀬」
「ちょっと怖くなってきた……」
「はっはっは! これぐらいで怖がっていてはまだまだだぞ!」
……やっぱ緊張感ないメ。自分も人のこと言えた義理じゃないけど。
どんどん奥に進んで行く。道は泥くさくて狭いけど、なんとか通っていけるぐらいの道だメ。
しばらくすると、奥に光が灯っているのが見えてきたメ。
「やった、多分あそこがゴールだ!」
意気揚々と走っていく翼。ゴールって、それが意味するものって……。
「おい、桃瀬!」
「あ、先走るのは危険かと……」
他の皆が止めようと駆け足で追いかけていく。そして、全員が光のある場所まで辿り着いたメ……。
そこは大広間だったメ。入り口ほどジメジメとはしていないけど、洞窟特有の苔や土の匂いが充満した空間に、何故か天井に明かりが灯っているメ。ていうか、これ、LEDの蛍光灯じゃ……。
と、冷静に分析していると、
「シャドロウ……」
「え、何? この声……」
地面から何かくぐもった女の声が聞こえてきたメ。
それと同時に、地面の土が盛り上がっていく。それは段々、人間のサイズへと巨大化していき、女の姿へ変わっていった。
「シャドロウ……」
「シャドロウ……」
「シャドロウ……」
それも、一体だけじゃなかったメ。次から次に、それらは無機質な顔の女性の姿へと変貌していったメ。
「何、これ?」
「うわ、きめえぇぇぇぇッ!」
これは……。
「ドロオトメ、だメ……」
一応ボクのデータには載っている。闇乙女族が造り出した、量産型の戦闘用クリーチャーだメ。
「ええい、とっととコイツらを片付けるぞ!」
「うぅ、やっぱり変身するの?」
「ふははは、やっと戦いが始まるようだな!」
そう言って――、
皆は一斉にブレスレットを掲げたメ。
「オトメリッサチャージ・レディーゴーッ!」
それぞれのブレスレットから淡い光が溢れ出していったメ。
そして、身体がどんどん柔らかく、胸もそれぞれに合った大きさに形成させていったメ。
爪は黄色い光が消えると、上下に分かれたセパレート状の衣装を纏ったツインテール少女に――。
海は青い光が消えると、白と水色のスカートが付いたレオタード状の衣装を纏ったサイドテールの少女に――。
葉は緑色の光が消えると、緑色のチューブトップ状の衣装にストールを羽織ったポニーテールの少女に――。
兜は黒い光が消えると、黒いチャイナドレス状の服を着たショートヘアの少女に――。
そして、翼はピンクの光が消えると、白とピンクのセーラー服状の衣装を着たロングヘアの少女に――。
それぞれ変身していったメ。
「未来への翼、オトメリッサ・ウィング!」
「悪を切り裂く爪、オトメリッサ・ファング!」
「溢れる知識の海、オトメリッサ・マリン!」
「癒しの草花、オトメリッサ・リーフ!」
「力の甲虫、オトメリッサ・インセクト!」
「魔法少女、オトメリッサ! 参上!」
「奪われた漢気――」
「取り戻させていただきます!」
全員の名乗り口上と共に、オトメリッサどもが姿を現したメ。
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