「魔放使いロキア」

ヒロロ✑

第1話 起爆

「何だ? 魔方陣なんて無いじゃないか」

「ヨハン、ち、違う」

 魔力感知能力に長けたウールが遮って忠告する。

「アイツの魔方陣は、デカ過ぎて分からないだけだ、俺達の遥か外側に強力な魔力を感じる」

 ウールは更に顔をひきつらせた。その遥か遠い魔力の波動が、急速に自分達を中心に縮小している事実に。

 ヨハンを見捨てて逃げたウールは蹴躓いて奇声を上げた。

「無駄だ。魔針で膝の皿を割った、もう逃げれない。キッチリ回収させてもらおうか。ふんッ」

 ロキアが裂帛の気合いを入れた瞬間、凄まじい速度で縮小した魔方陣が二人を包む。

「回収完了」

「過払いではないかねロキア・エルジュ君」

 ロキアの背後を取った者から一気に殺意と魔力が彼を包む。

 思わず跳躍して声の主を見ると、赤銅色の鎧を来た偉丈夫が佇んでいた。

「誰だ」

「我が名は魔導騎士オーレイン。まあ雇われただけだから、名前だけで良いだろう?」

 背後を取られたのは、師父シャーウッド・ハイスミス以来だった。

 ロキアの顔が険しく変わる。

 お互いの魔力が瀬踏みしながら、間合いを詰める。

 この波動、コイツ、出来る。

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「魔放使いロキア」 ヒロロ✑ @yoshihana_myouzen

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