今更恥ずかしがっても3回もシてしまったのだから
「朝日くんって、カッコいいよね。誰にでも優しくて、それに一緒にいると楽しいし!」
「透矢ってあんだけハイスペックなのによく彼女いないよなぁ〜」
クラスの誰かが、彼の友達が言う。
当然だけど、透矢はアタシ以外にも友達はいて、アタシ以外にも好印象を抱いている人はいる。
隣の親友はいつか誰かのものになってしまう。
その事実に幾度となく、不安にさせられたか——
「アタシはもう親友って言葉じゃ満足できない身体になったの。突然告白されて混乱するのは分かる。それと同時に今になってやっとアタシの事を女として見てくれたことにムカつく。……アタシはもう止まらないよ? たとえ親友をやめてでもここで透矢の初めてを奪う。他の女になんかに奪わせない」
「依子……」
自分の気持ちをこんなにも伝えたのは初めてだ。鈍感な親友に、好きで堪らない異性に。
アタシが冗談で言っている事ではないと、察して透矢は姿勢を正す。
「と、とりあえず依子。その、おっぱいをしまってくれ」
「っ! あ、うん……」
アタシもアタシでいきなりおっぱいを曝け出すなんて……大胆なことをしたのもだ。それだけ余裕がなかったのだろう。
アタシがブラジャーを付け、ボタンを閉め終わったところで透矢は言う。
「その、まずは俺の事を好きだと言ってくれてありがとう。返事はすぐに出すべきだと思うんだけど……正直に言うと、わからない」
「……分からない?」
透矢は申し訳なさそうに視線を外し続ける。
「ああ、分からないんだ、自分の気持ちが。依子はさ、共通のゲームが好きで、本気を出せばめっちゃ料理ができて、変に気を使わず、素で接っする事ができる俺の唯一無二の親友だ。どんな友達よりも居心地がいいって感じる。……でも、その居心地の良さが、恋だがなんだか分からないんだ。……ごめん、こんな不甲斐ない親友……男で……」
これが透矢の本心。今の気持ちだ。
そう言ってくれて、助かった。流されてOKしたらぶん殴るところだった。
透矢の頬をそっと包み、お互いの唇をちゅぷりと合わせる。透矢が眼を白黒させるのをよそに、アタシは微笑む。
「い、依子……?」
「ありがとうね、正直に言ってくれて。それでこそ、透矢だよ。普段はふざけている事が多いけど、いざとなったら誰よりも真剣になってくれる……アタシの好きな人」
「依子……」
「でもね、アタシさっきも言ったけど親友じゃ満足できない身体になったの」
告白は保留。透矢の気持ちを尊重する。その覚悟はできていた。
でも、他の友達とは違う、特別なモノになりたい——
「だから……透矢がアタシの事、嫌いじゃなければ——」
あぐらをかいている透矢の太ももに乗るように片足を乗せる。
「っ!」
「……?」
……ん? 何か固いものが太ももに当たって……
「そ、そりゃのキスすればですね……」
恥ずかしそうにその部分を手で隠す透矢。だが、余計そこに視線がいってしまう。
「わ、悪い。嫌だよな……。すぐにここから出て——」
「そんな膨らんだ状態で帰るの?」
「ゔっ……。じゃあ、収まるまで待つしかない……」
これ以上は何も言うかとばかりに首を横にして、アタシと目線を合わせないようにしている。
女の子の前で大きくして、恥ずかしくて……加えてアタシに引かれたとでも思っているのだろうか。
こっちは全然、準備はできてるのに。
彼が自分で興奮してくれるのが、嬉しくて……足に擦れてそれだけで気持ちよくなっちゃう。
「ねぇ透矢……しよ?」
「っ!?」
自分でもこんな大胆な事を言うなんて、この時はドSスイッチでも入っていたのか。それとも告白して、気持ちを伝えてスッキリしたからか。
ぐぎぎ、と真っ赤な顔で食いしばる透矢。変なとこでほんと真面目だし。ここは素直に流されてほしい。
「まだお前は高2……じぇいけい……」
「赤ちゃんデキちゃうのが心配なの? それなら……」
ベッドの下からカゴを出す。その中に小箱があり——
「え、これって……コンドーム?」
「そうだけど」
「……」
「な、なにっ。べ、別に今時の女子なら一つや二つ持ってるし……!」
また何か言おうとする透矢に馬乗りになる。
ビリっとゴムの袋を破く。
「じゃあ……シちゃおっか?」
ふあああ〜〜〜〜〜〜〜ッッ!! も、もう死ぬ! 恥ずかしすぎて死ぬ〜〜ッ!!
「上がったぞーって、なに足バタバタさせてるんだよ、依子」
「……な、なんでもないしっ」
はてなマークを浮かべながら透矢が隣に座った。
なんか距離が近い気がして、恥ずかしい。……ゼロ距離はもう体験したのに。
「その、透矢……」
「なんです、依子?」
「そのさ、ヤッちゃった訳じゃないですか」
「はい、ヤっちゃった訳ですね。しかも3回も」
「か、かか回数言うなし! ……ばかっ!」
ペシっと腕を叩くと、彼はいつものように大袈裟にリアクション。このやり取りはなんか落ち着く……じゃなくて!
「私たち、本当にこれからどうする……?」
「それは……」
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