鈍感だから襲ってみることにした

 口に柔らかいもの……あれ、依子の顔が間近に……


「!?」


 理解するのに時間がかかった。が、ようやく理解した。

 

 慌てて後ろに下がる。

 

「い、いいい依子!?」


 今の俺の顔は真っ赤なのだろう。当たり前だ。キスされたから。


「ふーん、さすがの透矢もキスは恥ずかしいんだ」

「さすがのって………そ、そのためにキスしたのか?」

「は?」


 思いっきり睨まれてしまった。


「おお、怒ってます?」

「怒っているに決まってんでしょ、このクソ鈍感っ。なんでキスしたのにまだ意識しないかなー」


 続いて盛大なため息。

 俺の頭は今、色々とパニックだ。


「あのね、目の前にいるのは親友もとい、女なんだよ?」

「わ、わかってますとも?」

「全然わかってないし……。あーもういい。分からせるから」


 良い香りが鼻孔を通り抜けたと思えば、視界いっぱいに白いYシャツが写った。


「ぶふっ!?」


 そう、俺は依子に抱きつかれたのだ。そしてそのまま押し倒される。


 視界が明るくなった。依子のおっぱいが離れたのだろう。


「依子さん!?」


 あろう事か、シャツのボタンを脱ぎ始めた。


 鮮やかなピンク色のブラジャーが露わになる。さらにそのブラジャーまで外し、ついには生のおっぱい。依子の巨乳は垂れることなくツンと上を向いており、乳首がぷっくりと膨らんでいた。


「依子さん!? 胸がっ!? おっぱい見えてますからっ!」

「……見せてるんだし」


 なに、そのどこかで聞いたことがある台詞!?


 慌てて顔を背けて離れようとするが、依子は逃がさないとばかりに体重をかけ、両手で俺の顔を掴み、こちらを向かせる。


「女の子がここまでしてるのに気づかないとか……クズ通り越して最低だよ?」


 その言葉にゴクリと唾を飲む。

 恐る恐る聞いてみることにした。


「その、俺の事……好きなんですか?」

「ええ、そうですよ。アタシは透矢の事が好きなのっ。なのに、アンタときたらアタシの気も知らないで他の男紹介しやがって!!」


 キレ気味で言われる。


 依子が俺の事が好き……。

 自分の耳を疑った。


 だって、そうだろ?

 女友達とは言え、密かに人気を誇る美少女が俺の事を好き。


 どんなご都合主義だよ。

 

 ずっと俺を異性として好きでいてくれた。

 その事実は凄く嬉しかった。

 けれど……それ以外の感情が分からない。

 

 そんな混乱する俺を察してか、依子はあまり多くを語らず、


「アタシはアンタのその鈍感がムカつくから今から襲う」

「襲う!?」


 いや、語らなすぎだろ!?


「アタシはもう親友って言葉じゃ満足できない身体になったの。突然告白されて混乱するのは分かる。それと同時に今になってやっとアタシの事を女として見てくれたことにムカつく。……アタシはもう止まらないよ? たとえ親友をやめてでもここで透矢の初めてを奪う。他の女になんかに奪わせない」

「依子……」


 そんなに俺のことを……。


 そんな依子の気持ちを受け、俺はというと——

 



「お風呂上がったよ……って、なにベッドの上でゴロゴロしてんの?」


 ああああああああああ、ヤっちまった事実は変わんねぇんだよなぁぁぁぁ!!!


「や、その、なんか恥ずくて……」

「ふ、ふーん……」


 依子も同じく白皙の頬を紅潮させて目を泳がせる。


 そのままお互い無言。


 チラッと依子の格好を見ると、比較的ラフな格好で、水に滴る髪が色っぽい。


 もう3回もヤったのだから、今更恥じることなどないだろうにドキッとしてしまう。


「透矢もお風呂入って。それから話しよう。アタシたちの今後について」

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