第14話 オーガとエルフ
現在の処オレは、直近にあったヒューマン(ブリガンティアの【勇者】)との戦争に敗れ、戦後処理で領地を
「な、なあんでこんな処にコルディア先生があ~?いるんだったら、それならそうと何故教えてくれなかったんだあーーーカーマインにオプシダン!」
「いやあーーーそんな事を言われても、なあ?カーマイン。」
「ああそうだぜ、しかもオレなんか別荘壊された上に、コルディアちゃんに“踏みつけ”されたんだからなあ。」
「君のそうした趣味の話しをしてるんじゃないよ、ああ~~~もう、何でこんな事になったのやら……」
などと、恨めしそうな怨み言を“上目遣い”でチラ見してくるグラナティス、ああ一言言っておいてやるが、今こいつが“上目遣い”なのは別にオレ等に“媚びて”るワケじゃないからな。
まあ~~~ーーー簡単に説明してやると……
「なーーーんか五月蝿い“椅子”じゃの!“椅子”は決して喋ったりせんのんじゃがの!!」(ペチペチ)
「痛い痛い、あ゛あ゛~~~ン赦して下さいよう、コルディア先生~~~」
前回の締めでは『その後この場所に『終末の炎』が落ちたのは言うまでもない―――』などと物騒な表現があったが、特段そうしたモノはなく……禁句(『ばばあ』)を口にしたグラナティスが四つん這いとなり、その上にロリばばあが腰を下ろしている―――という構図になっている。(しかも恨み節炸裂させているグラナティスの尻を“ペチペチ”と叩いて)
まあ……グラナティスの擁護をしてやるわけではないが、ミセス・コルディアの事を生徒だったオレ達のほとんどは『ばばあ』『ロリばばあ』『妖しい方の幼女』だとか(陰で“コソコソ”)言ってはいたんだが、それは勿論ご本人様を前にして言っているわけではなく、だからばばあも自分の事をそう呼ばれている事には気付いてはいたみたいで―――なのでオレ達(オレとカーマインね)が危うく口にしそうになった時でも疑惑を投げかけてきたワケなのだ。 それを実際に……しかも割とはっきりと口にしてしまったが為に、グラナティスにきつぅ~い罰が与えられていると言う訳だ。
「それにしても奇遇じゃの~~ワシの教え子共が揃いも揃っておると言うのは、同窓会かなんかかの?」
「違いますよ、最近こいつ(カーマイン)の領地がヒューマンの【勇者】に負けた事によって、少しばかり減っちまったもんだから元気づけてやろうと思ってさ。」
「けどまあ、減ったとしても本当に僅かだったからな―――“陣中見舞い”てのもおかしな話さ。」
「わ、私はそのう~~~オ、オプシダンがカーマインを訪れると言う事を聞いて、それで~~~ーーー」(もごもご)
「ん!?何を言うとるんじゃ、風呂の中で泡を出す様な“ぶつぶつ”と言わんと、もちっとはっきりとした事を言わんかあ。」(ペチペチ)
「ここに突撃したら偶然装ってオプシダンに会えるかと思って来たんですう!」
あ゛~~~やっぱりお前、そう言う目的―――
「やっぱりそう言う目的だったんですね。」(じーーー)
って、サツキさん?!やめたげて―――まるで汚物を見るかのような目。
「ふ、ふん!私もオプシダンだけだったら、男同士の友情と言う事もあるから控えておこう―――という気にもなったものさ、しかし……サツキが一緒に―――と言う事だったら意味が少々違ってくる。」
「……。」
「以前の“主”であるカーマインの下に訪れるだけだったらまだ看過しよう、しかし……サツキ、君はもし私が来なかったらオプシダンと付き合うと言う許可を正式に取り付ける気ではなかったのかい!?」
「未だ“お肉の椅子”の分際で―――しかし私の手を読んでいたのは流石と申しておきましょうか。」
「(え゛っ……おいおい、このイベントにそんな深慮遠謀が仕組まされていたのか?!)」
「(しばらく見ない内に成長したもんだよなあ~~~と言うより、あのグラナティスと五分で渡り合えてるってのは―――ちょっとオレとしては心配している。)」
「お! お? お゛お゛お゛~~~?? なんぞおもろかしい事になってきとるの!!そこなオーガの娘も“黒曜”のガキの事を好いとうとかあ~~いやいやそう言えば“柘榴”の小娘も学生時代に恋愛相談を受けたもんよの~~ウンウン。」
「コ、コルディア先生~~それ、他言無用の約束ぅぅーーー」
「おお、おおーーー悪かった、スマンスマン。」(ゲヒャヒャヒャ)
う~~~ん、グラナティスのヤツは
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そんな話しとは一転し―――いま私達3人…私リルーファと姉のアリーシャ、キサラギさんとで下級の地竜討伐に来ている。 このクエストはアマルガムにある冒険者ギルド発行のAランクのもので、この地に居ついてまだ間もない私達が受けられたと言うのもコツコツと実績を積み重ねてきた一つの成果と言っていいだろう、それにもうこの界隈では“私達”の事は知れ渡っている―――そう、湖畔の豪邸に住むオプシダンさんと同居している者達として…それに私も姉ちゃんもキサラギさんも今ではAランク冒険者となっている為、こうした高ランクのクエストも受ける事が出来たのだが……
「あの地竜―――クエストの内容では“下級”との事だったが……“上級”の間違いじゃないのか?」
「いや―――だとしてもこの一帯の(モンストール)分布に変化があるのは否めない、もしかするとだが……」
「あの地竜が喰っちゃった―――と言う事なら判らないでもない……と?」
「うむ、まあなんにしても見つけたからには始末しないといけない、覚悟は決めているな。」
「勿論だ―――それに受けたからには遂行しなければならない……クエストだの任務だのと言うヤツは、な。」
「姉~ちゃーん、それワーカー・ホリック臭い、それに今は私達の生活費もかかってるんだからさあ、もう少し肩の力抜きなってよ。」
今現在私達は“PT”と言うものを組んでいる、リーダーは“剣”鬼であるキサラギさん、まあこの人はオーガだし私達より早くAランク到達した事も……なんだけど、やはり種属的印象―――と言っていいのかな、やはりエルフ種である私達は周りの冒険者達から見ても軽く見られがちなのだ。 まあねーーーエルフって見た目からしてやんわりしてるし、ふやふやしてるし、なよなよして視えるからなあ……
けれどそれは“一般的”なイメージでしかない、現に私が所属しているプレイアデスには複数のエルフ種が在籍している。
『ダーク・エルフ』は“闇”属性を持っていて、森エルフよりは攻撃系統のパラメータに優れている。
『森エルフ』は世間一般で言われている処のエルフで、実に平均的なパラメーターを有している。
『ハーフ・エルフ』はその名の通り、エルフと他の種との交わりで産まれたエルフ、パラメーターはやや平均より劣っている……
そして“もう一つ”―――これが私と姉ちゃんの種なんだけど……ね。
つまり何が言いたいのかと言うと、エルフは戦闘は不得手なのではないか―――という、そう言う印象……
「もう間もなく会敵―――警戒を」
「いいか、前もって話した通り私が牽制しヤツの気を惹く―――そこを…」
「私が追撃―――リルーファは支援……だったな。」
最初の頃は『大丈夫なのだろうか』と言う不安があったが中々どうして―――
以前カーマイン候の下で“剣゜”鬼として仕えていた私の相棒とは鬼“姫”であるサツキだった、彼女はオーガではあるが実戦闘向きではなく、いわゆる後方の帷幕より案や策を練る軍師役―――つまり支援要員でもあるのだ。 ただ、ヒューマンはブリガンティアの【勇者】に敗れた折、私達は一時的に役目を離れこんな処で逆襲の烽火を立ち上げるべくの準備をしているのだが……
話しを戻すとして、そのサツキにも匹敵する支援要員がいたお蔭で現在の処このクエストも優位に動けているのだが……
「敵は中々硬い―――ならば! “イザナギ”の伎〈天つ風〉」
「(怯んだ!そして僅かに隙が…)なら…これでどうだっ! 〈セバレート・ブレイカー〉」
私の……“イザナギ”に匹敵する武技―――!なるほど……プレイアデスと言う集団に所属しているのは伊達ではないようだ……
だ、が―――で、ある……
ここまでならば『割とよくある事』―――で済ませられたと思う。 だが、この後―――この私でさえ目を疑いたくなるような光景が……!!?
「くうぅっ……私の武技でもこいつの防御力を突破できないか!!」
「(特有のリアクション……!)いかん―――至急防御態勢を!反撃が来るぞ!!」
「―――いや、まだ大丈夫……何とかなるよ。」
「なに?!リルーファ……何を言っ―――お前……一体なんだ、その“構え”は!」
「ええ……っと、“こう”?―――だっけ??」
“何”だ、それは―――“何”だ?それは―――!!
さながら私は驚嘆するしかなかった、それというのも今リルーファが取っている“構え”とは私がよく知ったモノだったから、そう……私達オーガが培ってきた“イザナギ”の伎―――それがなぜ他種属……それもエルフが出来ているのだ?
ふう……我が妹ながら、よく出来ていると言わざるを得ないな。 それに、キサラギも驚きを隠せないと言った処―――か…まあ、知らなければそうせざるを得ないと言った処か、しかし私は驚かない―――驚く必要が無い、なぜならそれが―――…
「なぜ……?エルフのリルーファが、オーガの伎である“イザナギ”の構えが出来ているのだ!」
「“出来る”からだよ―――キサラギ、リルーファだけが出来るから、出来る事をしているだけの話しだ。」
「な、何のことを言っている?アリーシャ……何のことを―――」
「あれは、我が妹リルーファが所有している
「(
「そう言う事だ。 ≪読み込み《ラーニング》≫……リルーファは己が目で視たモノを“吸収”し、自分のモノとして使える事が出来る、斯く言う私は≪
そう、エルフのリルーファが構え、そこから放ったのは紛れもなく先程私が披露してみせた〈天つ風〉そのものだった。
私が牽制する為に放った〈天つ風〉は、牽制用に放ったこともあり威力もそうないものだった、それにアリーシャの武技が優れているのは私とよく組んでクエストをこなしていた事もあったから知っていたのだが……そんなアリーシャの武技も通じず、反撃を仕掛けてきた地竜の大きく開いた
* * * * * * * * * * *
「ふい~~~中々
「大した奴だよ、リルーファは。」
「ふふふ、何しろ私自慢の“妹”だからなっ!」
「それよりさあ~汗掻いちゃったからお風呂入って帰ろうよ。」(何気にスルー)
「あ……ああ、そう……だな。」
「最近―――リルーファが冷たいのは気の所為だろうか……気の所為だよな?」(ののじ ののじ)
まあーーー今を見ての様に、リルーファには少し変わったところがある、それはまあ姉妹間?と言う事もあるのだろうが、付き纏ってくる姉を相手にしない―――(まあその逆もまた然りなところもあるのだろうが…)そこは流石に私の方も“冷たい”と感じざるを得ないのだ。
しかし―――だ、しかしである、寧ろリルーファが少し変わってる……いや、変わっているのが判るのはこれからだったのだ。
そう、Aランクのクエストをクリアした―――のはいいのだが、今リルーファが言っていたように私達は汗だくだ、なのであの家に帰るまでギルド内に設置されている風呂に入ろうという事になってきたのだ、まあ私としても汗だくで帰るのは本意ではない、いや寧ろ汗だくのまま帰ったとして身体が冷えて風邪を引いてしまうと言う事にもなり兼ねなかったから取り敢えずリルーファの案を採用したのだ。
だが……で、ある―――風呂に入るにはまず裸にならないといけない、これは世間の常識と言えるだろう、そこまでは何の抵抗もない―――まあ『女風呂』に男が
「あ、あのぉ~~~リルーファ?なにをそう“じろじろ”と―――は、恥ずかしいでわないか…」
「うんーーーけど……キサラギさんてやっぱり私が思ってた通り―――いい筋肉してるぅ~♡」
「(は)はあ??なななななにを言って―――」
「わあぁ~~~お腹周りの腹筋て、『エイツ・ブロォック』に割れてるぅぅ~~♡」
「ちょ…ちょっと―――おい!アリーシャ、これは一体どうなっている!!」
「……えっ?ああーーーそうだな。(棒)」
「『ああーーーそうだな』じゃなくて!お前の妹はどうなっているんだ!!」
「あのぅ……私、一日に一回筋肉見ないと死んでしまうんですぅーーー」(よわよわ)
「えっ?あっ、そ、そうーーーなのか??」
「まあバレてしまっては仕方がない、私の妹は『(筋)肉フェチ』なのだよ、私も以前は付き纏われていたものだったが……それが、あれはそう―――半月も以上前からそうした“付き纏い”は無くなったのだ…」(哀愁)
「は、半月以上前??それってもしかしなくっても、私達がオプシダン殿やお前達と会った“あの時”……」
「姉ちゃんもさあ~~~エルフの中では割と筋肉質な方なんだけど、キサラギさん一目見た時から『あっ、私の好みこっちだ』って思うようになっちゃってえ~~~乗り換えました♡」
「リルーファに公然で振られてしまうとは~~~寂しい限りだ…………」(シクシク)
「そう言う話しをしているんじゃなあーーーい!誰か助けを呼んでくれええ~~~!!」(泣き言)
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