第13話 陣中見舞い
オレ達が現在生活を営んでいる場所で起こった“事件”―――それは少なからずオレと同居する者に深くない爪跡を残していった。
しかしこの“事件”は意外にも大陸各地に知れ渡る事となり、カーマイン候領の『総司令官』鬼“姫”と『副司令官』“剣”鬼が、現在の処アマルガムにて療養中―――然る後にブリガンティアへの反旗を翻す為に臥薪嘗胆している……と言う“噂”まで流される始末だった。
とまあこの事は
それにこれはオレも感じた事なのだが、どうやらヒューマンに肩入れする亜神族の存在がちらついてならなかったのだが―――…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
所変わって―――“ここ”は以前のお話しにも出た事のある……
「“学長”ぉ~~~“学長”どのぉ~~~!」
「なんんじゃい!騒々しい!!こんんのクソ忙しい時に、キサマはわしの手を止めようと画策するかあ~!!」
「いえいえそうではなくって―――今、外界の方では亜神族と魔王族とが戦争を始めたらしくてぇ~~~」
「のぉにぃい?!バカたれ、そぉういうことは早く言わんかあ!! 全く―――どこのどいつじゃあ……あれだけわしが『亜神族と魔王族とは仲良くせぇよぉ~喧嘩したら許さんからのぉ~~』と言うとったのにいい!ワシの言う事聞かんヤツはキツぅ~い
ワシは、現在の処『学校』の“学長”を務めておる『コルディア』と言う者じゃ、たった今“教頭”がしどろもどろで学長室に入って来るなり報告するのに、どうやらわしの教え子たちである亜神族と魔王族のバカたれ共が仲良く“
「ちゅーーーわけで“教頭”ぉ!あとの面倒臭い事はキサマに任せたあ~~~♪」
「あああっ?!学長ぉ~~~そんなご無体なあ~~~!!」
そう、その場所こそは以前のお話しにも出た事のある『学校』―――つまる処の亜神族と魔王族とがこれから
* * * * * * * * * * *
それはさておいて、今回の事で思う処となったオレは今回の当事者の一人でもあるヤロウ……カーマインの処を訪れていた。 オレとこいつとは学生時代こいつの方が学年が1つ上だったと言う事もあり、それとまた似たような性分なので例え学年が違った処で“先輩”“後輩”と言う間柄……と言う事もなく、割と馴れ馴れしく付き合っていた。
「よおう、何か派手に負けたらしいなあ。」(ニタニタ)
「何だお前か……オプシダン、それにしちゃ意気消沈しているヤツに掛ける言葉じゃないないなあ。」
「ま、妙に馴れ合いをして慰められるよりはいいだろうが。」
「それもそうだな。」
こいつは言うまでもなく“上級”の魔王だ、しかも“神”の言う事なら間違っていようがいまいが関係なく“妄信”“狂信”している危なっかしいブリガンティアと領地を接している―――度胸が据わっているヤツだと言えなくもない、ただそのお蔭もあって割りを食ってしまった者もいる、それが今回の“事件”に繋がっている―――と、言えなくもないのだが……
「それよりどうした、何か言いたい事でもあるんじゃないのか。」
「ああ、まあな……」
実は、オレは―――今回一人で来たわけではない、“もう一人”……今回の当事者の一人と言ってもいい―――
「お久しぶりです、カーマイン候様。」
「サツキか……話しは聞いている。」
「はい……」
そう―――この時オレは、元はこいつの配下である鬼“姫”のサツキさんを伴ってこいつの静養先を訪れていたのだ、それに今回の
それに……
「ヤヨイには、本当に気の毒な事をしたと思っている。 あいつはいずれお前の後任を―――と思っていたところだったんだが……なあ。」
「はい……」
「それにオレも最初は、いつものあいつらの侵攻騒ぎ―――くらいにしか思っちゃいなかった。 だから今回もお前達2人を前線へと派遣し、早急に終わらせようとしたもんだったんだが……」
「私の方も―――思えば……あの時の攻めが単調だった事に気付くべきでした。 その結果目の前の事に釘付けとなり、よもや後方にある私達の郷里が襲われているなんて思いも寄りませんでした。 その事に深い反省の色を示した処、あるお方から『そこは君が心配する処ではない』―――そう言われたのです。」
「ふむ……まあ確かにお前は良くやってくれた、その事に助言してくれた者の方が正しいだろうな。 それにお前達の郷里が襲われヤヨイが攫われたのは完全なオレの落ち度だったんだ、すまねえ―――」
「いえ、お顔をお上げくださいカーマイン候!現場に立つ者の使命としてそこまで注意を払わなくてはならなかったのです!」
「(……)まあ、そう言う事にしておこう。 このまま変に罪の擦り付け合いをするってのもおかしなもんだからなあ。」
このオレでも認めるコイツの才能―――それは良く他人の言う事に耳を傾けるってところだ。 そしてそれなりに適切な返しも出来る、今もまだ例の事が尾を引いているのかサツキさんは自分にこそ過失があるような事を言っていたけれども、そいつは違うんだ―――と諭してくれたヤツがいる、まあ誰とは言いたくないんだが……
「それにしても、サツキに適切な助言をくれたヤツって誰なんだ? もしかしてオプシダン―――お前なのか。」
「違うよ……グラナティスのヤツさ。」
「(な?!)グラ……あいつか――――」
「ああ、そうだ、あいつだ。」
「じゃあ……ナニか?いま前線で暴れ回ってる―――ちゅうのは……」
「間違いなく、あいつの……『プレイアデス』だな。 それにあいつ、色々と指示出してたからなあ~~~」
「なんでお前がそんな事知ってるんだ?」
「だってなあ、オレが引退してアマルガムに移住したのはお前も知った所だろうが、そこにサツキさんを始めとして『プレイアデス』の2人も居ついちゃってんだよお~!」
「なにィ?!おま……っ―――世の男子がそれを知ったら誰しもが羨むと言う夢のハーレム生活だ、とぉ?!くうぅぅぅ…おのれえうらやまけしからんヤツめぇ、だがサツキ、よくやった!それで本命は誰なんだ?」
「アホかお前は!一体何を聞いとったんじゃい! オレはね、引退して数百年はゆったり、まったり、のんびり暮らしたいの!なのにグラナティスのヤツと来たらオレをも巻き込んだ壮大な(悪)夢の様な計画してやがってぇ~~……」
「ン?お前、グラナティスとも一緒に住んでんのか? そう言えばあいつ……身体つきだけはお前の好みだったからなあ~」(ニヤニヤニヤソ)
「ええええっ!オ、オプシダン様はやはり!!?」
「アホかお前は!!そんな過去の事を
「あ…ああ―――そう……だった、な、すまん。」
元の主上であるカーマイン候から『よくやった』と褒められたのも束の間、私も知らないこの方々の学生時代の一場面を覗いた気がしました。 その中でもやはり、オプシダン様はグラナティス公の事を気にされていた様子―――(まあ……あの方の豊満な身体つき目的と言うのは、どうかとしましても) しかし……ですが、グラナティス公の“実態”と言うのを知ったお蔭で“下火”となったのは、もしかして私にもまだチャンスは残されているのですかねえ?(それと気になるのは、カーマイン候様も同様みたい……なのですが??)
けれどもお蔭でヤヨイを失った私の気持ちも少しは紛れました、こうした“バカ”な話しで最近落ち込んでいる私を元気づける為……オプシダン様は私を伴われたのですよね。
しかし―――事態はこれだけで収まる事はなく…
「まあそれはそれとしてだなあ、お前なんかおかしいとは思わんか?」
「ああん?ああ―――まあな……オレ達が相手としているブリガンティアだけならまだとして、ヴィリロスが相手しているヴェルノアもどこか呼応しているかのような動きを見せた―――まあヴィリロスのヤツのところは心配するだけ無駄ってなもんだが、オレの処はご覧の通り……って事さ。 それにだ、こいつはひょっとすると―――」
「ああ、実はその事についてお前にも聞きたい事があってな、だからわざわざ―――」
するとその時―――天空より
「の゛じゃ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ーーーーーー!!」 「どぶろぉお゛お゛!?」 「聞きにきたんだがあ゛あ゛?!」
えっ? 何か……ちいさな物体が、カーマイン候の顔面――――「直撃ぃい~? あ、あのっーーーカーマイン候!?」
「痛たたた……痛いのぉ~~~着地する座標がほんのちぃとばかしズレただけで、随分と違う処に堕ちてしもうたぞい。」
「ん・なっーーーば……先生ぇ?何だあんたがこんなとこに?」
「ん~~~?なんぞい、そこに居るのはオプシダンではないか、それよりもキサマ……今ワシの事を『ばばあ』と呼ぼうとせんかったかえ?」
「え゛っ?そらぁ~~また何の空耳でえ?」(滝汗脂汗)
「お前の~~~どこの世界にこんなにちゃあみぃで魅力爆発系のれでいが存在しとると思うのじゃあ~?のう、お前もそう思うじゃーーーーお前一体誰ぞ?」
「あっ、あの……わ、私はオ、オプシダン様と清い交際をしたいと思っているサツキと申しますう~~~。」
な゛……サツキさん?あんたひょっとして混乱してない?なんかすんげえこと口走っちゃってるけど……けど、まあそれも仕方ないか―――日常のシチュエーションでいきなり天空から『見かけは幼くても言葉遣いがババむさい妖(幼)女』が堕ちてきたらそりゃあパニくるわな、しかしーーーだ、この御年8000歳を超える御大が、こんな処に何が目的で??いや―――それよりも……だ。
「あのー--先生、そろそろ退いてやらないとカーマインのヤツ死にますよ。」
「んなあーにい?さっきから妙な居心地がしとると思うとったが、お前ワシのきゅうとな足の下でなにをしとるのじゃ?」
「(いや、なにをしてるかって言われても、あんたが急に天空から降って湧いて来たんだろうが。)」
「(……というか、破天荒そのものですよね。)」
いきなり……(いやホントいきなり)唐突な登場の仕方で
しかもこのお人の足の下に敷かれた憐れなヤツ(カーマイン候)……葬儀はこのオレが盛大に取り計らってやるからな。
しかし、ヤツは生きていた―――
「あ゛~~~ホント何が起きやがったんだか……一昨年亡くなった親父が広い川の向こう岸で手を振っていやがったから、危うくそっちに行きそうになっちまったぜ。」
あ゛ーーーつまり死にそうになっちゃったんですね、判ります。 アレは下手したら死んじゃうところでしたから……
「なっはっははっは面白い事を言いおるの~~~」
「(げ)ばば………じゃなくて先生?」
「ん゛~~~~?キサマもぷりちーなわしを捕まえて『ばばあ』と言おうとしたの?」
「いやっはははは、冗談キツいぜ―――大体コルディアちゃんはオレ達学生の永遠のアイドル……だったじゃないですかあ~~~~なあ?オプシダン!」
げ、このバカ、なんでオレに振るんだ!このばあさん怒らせたらそれこそ、お前んとこ何百年も草木が生えないようになるぞ?!
しかし―――で、ある。 人と言うものは例え煽てられようが自分に対しての好評価に悪い顔なんて出来るはずもなく……
「おお~~~ほうじゃろ、ほうじゃろぉ~~~、ん゛ーーーしかしじゃなあ“だった”は余計じゃぞ、ワシはこう見えてもまだ現役のぴっちぴちのアイドルなんじゃからな! のおーーーーほほほほ!」
ア゛ーーーーソウデスヨネーーーー取り敢えず面倒臭いんでそう言う事にしときましょう。
だがしかし―――天から降ってきた
「カーマイン!息災であったかあーーーおっ、そこにいるのはオプシダンではないかあ~~♡ いやあ偶然………だ、な………………なぜばばあがこんな処にィ!?」
その後この場所に『終末の炎』が落ちたのは言うまでもない―――(一部誇張表現アリ)
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