第21話 骨川財閥
骨川財閥、それは日本に数十個存在する財閥の一つである、骨川財閥は戦前から武器などの製造で財を築き、現在では幾つもの産業に進出し成功をおさめてきた。
しかしその表の顔とは違い裏社会では『黒い財閥』、『死の商人』と噂が
そもそもこの
そんな国の管轄下から見離された土地を骨川財閥は
「ふ〜ん、なるほどね……この情報だけじゃまだなんとも言えないわね、確かに暗黒白虎組との共闘は取り付けたし、私達……白愛会の
〜〜前日〜〜
茜との会話を終えて電話を切った直後、直ぐに紅はスマホを取り出すと連絡先から『
小林 薫は桜野中学校の二年生、小林財閥の一人娘の令嬢であり、白愛会の諜報部隊リーダーも務めている、性格は我が儘で甘えん坊な所がある一方、好きなものに対しての執着心と集中力は計り知れない、容姿はオレンジ色の髪を二つに分けたおさげに、少し冷めた目をして、体型はスレンダーなAカップながら全体的に気品と品格を漂わせた少女である。
「あっ、もしもし薫? 今は大丈夫かしら?」
『はい……まぁ大丈夫ですが、なんですか紅さん、こんな遅くに……』
薫は就寝前だったのか少し眠たそうな声で電話に出た、それもそうだろうもう既に時間は深夜を迎えていたのだから。
「あぁ、もしかして寝てたかしら? ごめんなさい、対した用じゃないんだけど、前々からあなた達に骨川財閥に関する情報収集を頼んでいたじゃない、その資料を途中でいいから明日にでも用意しといて貰えない?」
紅はこんな夜中に電話を掛けた事に申し訳なさそうに要件だけを手短に話した。
『骨川……あぁ、まだ途中ですがある程度の情報なら揃ってはいますよ、ただ骨川財閥のセキュリティは我が諜報部隊でもなかなか侵入出来なくて、機密情報までは入手困難なんですよ、だから表面的な情報ぐらいしか渡せませんがそれでもよろしいですか?』
薫は少しづつ目が覚めてきたのか、寝ぼけた声から徐々に歯切れのいい物言いに変わった。
「えぇ、それで構わないわよ、ちょっと今のこの街の現状を知りたいだけだったから」
『そうですか…………あ、あの……つかぬ事をお聞きしますが、もしかしてそれって白様への報復の為なんでしょうか? それならば私たち諜報部隊も
最近の事件の事もあり、薫は少し長い間を置いてから聞きづらそうに自らの勝手な憶測を紅に尋ね、黒戸 白への報復を期待した。
「えっ!? あっ……あぁ、そうじゃないのよ、ごめんなさい。 ただ今後の事を考えて色々と今の桜島市の勢力関係を知りたかっただけなの」
紅は少し前の茜との共闘の話は伏せ、白を慕う後輩達がやはり報復を期待し、まだ動かないでいる事に申し訳ない気持ちを感じ謝る。
『そ、そ、そうですか……私の方こそすいません、紅さんが白様の報復に動くのかとつい……紅さん……私は……私はあの白様を滅多刺しにした糞野郎を……久須 竜也を同じ様に滅多刺しにしてボコボコに……じゃないと腹の虫が治おさまらないくらいに……ハァ、ハァ、ハァ』
薫は紅の言葉に落胆し、白の事を考えると久須に対する殺意が沸々(ふつふつ)と湧き上がってきていた。
「あなたのその気持ちは嬉しいは、私だってお兄ちゃんの報復はしたいのよ、でもねまだ動かないでほしい……骨川の……骨川財閥の全貌も分かっていない状況ではリスクが高いの、白を大切に思う気持ちと同じで私には白愛会……あなた達の事も大切なの、だから私が軽はずみに報復なんて指示を簡単には言えないのよ、だからお願い勝手な行動だけはしないで
紅は興奮する薫とは対照的に冷静に優しく可愛い後輩を思い
『……わ、分かりました、取り敢えず明日にも骨川の資料をお渡しします、では失礼します……おやすみなさい』
薫はどこか納得出来ない所もありつつも感情を抑え、諜報部隊リーダーとしての対応を優先した。
「えぇ、分かってくれて嬉しいわありがとう、それと夜遅くに電話してごめんなさい、おやすみ薫」
紅も薫が納得してるとは思っていなかったが、感謝の言葉を伝え電話を切った。
思えばこの電話が白愛会トップを務める紅の考えと、白を思う白愛会メンバーの考えの亀裂が生じた瞬間だったのかも知れない。
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