幕間

 パカパカと馬が歩き出す音がする。


「して、お嬢様。その上着は…?旦那様からお借りしたのですか?」


「上着…?ああ!これ!お父様じゃないわ、リュード様が貸してくださったの。返し忘れてしまったわ…。どうしよう、ハンナ。明日は晴れるかしら…。騎士団の制服だと思うから出来るだけ早くお返ししたいんだけど…。」


「お嬢様。落ち着いてください。明日晴れたら、一番に洗濯して一番日当たりの良い場所にお干ししましょう。」


「そうね、ありがとうハンナ。ねえ、お礼にハンカチなんて贈ったら迷惑かしら…。前に葡萄酒は送ってしまったし…。あ、でもそれより先にお手紙を書かないとよね。」


「うふふ。そうですね、お嬢様。」


「?私何かおかしいこと言ったかしら。」


「いえいえ。私のことはお気になさらず。ふふふ。」


「ちょっともう、気になるじゃない!ハンナ!」

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