世話焼きのエミリオ
一方リュードは。
「どうか安らかにお眠りください。」
慰霊碑に花を供え、その前で手を合わせて死者への祈りを捧げていた。
祈り終わるとリュードは足速にその場を去った。
墓参りを終え、雨に濡れながら駐屯所に帰る。
遅くなったことに詫びを入れながらエミリオのいる執務室に入った。
「すまない、遅くなった。」
「隊長!おかえりなさい…ってなんでそんなにびしょびしょなんですか!」
「ああ、途中で雨に降られて。少し着替えてくる。」
「は?何言ってるんですか。着替えてくるで済むレベルじゃないでしょ!ほら、お風呂入ってきてください!」
「いや、しかし。」
「しかしじゃないです!行きますよ!!!」
そういいながらリュードの背中をぐいぐいと押し、無理やり風呂場に連れて行くエミリオ。
その道中でエミリオが口を開く。
「というか、制服の上着どこですか?一緒に洗濯しないと…。」
リュードは制服をしっかりと着て出ていったはずである。
「あ。」
リュードはその存在を今しがた思い出したようだ。
「貸した。」
エミリオはその答えに苦笑しながら応える。確かに、寒そうな人がいたらリュードならやりかねない。
「ええ?貸した?またですか、もおおー。いくら隊長が頑丈でも、隊長が風邪引いちゃいますよ?それで今度はどなたに貸したんですか?」
「エレーナ様に。」
驚きのあまり思わず立ち止まるエミリオ。
「は!?!?また!?!?!?というかいつお会いになったんです?」
「先程、墓地でお会いした。」
「え、ちょっと待ってください。もしかして、隊長が遅くなった理由ってエレーナ様関係あったりします?」
「ああ、まあ。お一人だったようだからな。」
「それで、エレーナ様送って帰ってきたんですか。」
「そうしようと思ったが、迎えの方がいらしたからお任せして帰ってきた。」
「なんとなく状況は想像できました…。はあ。なんかもうあれです、あれ。巡り合わせが凄すぎて…。まあエレーナ様なら大丈夫そうですね。明後日あたりに郵送してくださるでしょ。」
また歩き出すエミリオとリュード。
「手間を掛けさせてしまって申し訳ないな。」
「仕方ないですよ、それしか隊長に返す方法がないんですし。」
「そうか。」
そんなことを話していると風呂場に着いた。
「あ、僕隊長の着替え持ってくるんで、鍵貸してくれません?もちろん他の物には絶対触りません!」
「ありがとう。」
ぽんっとエミリオに鍵を渡すリュード。
鍵を受け取ったエミリオは急いでリュードの部屋へと向かった。
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