研究の進捗
リュードの瞳を真っ直ぐに見つめ、衝撃的なことを告げた。
「…それはどうしてでしょうか。」
「私が山賊たちが使っていた薬の研究をお手伝いしているのはご存知だと思います。」
「ええ。」
「段々と解析を進めていくうちに、山賊たちの使われたであろう薬の試作品のようなものが何個か出来たのです。」
何かを思い出したのか膝の上でぎゅっと手を握り締めるエレーナ。
「そうしましたら。これは国家の危機であるから早く人に使って確認したほうが良いと、ジェイド騎士団長が仰いまして。本当に山賊たちが使っていたような効果が出るのか、本当にこれが山賊たちが使っていたものなのか、それを早く確かめたほうが良いと。」
エレーナはここまで一気に喋ると、深呼吸をして今度はゆっくり話し始めた。
「ですが、その試作品は安全性が確認されていないのです。リュード様は山賊の方達のその後をご存知でしょうか。」
「いいえ。」
「捕まったその後、全員廃人のようになり、2週間以内に息を引き取ったそうです。」
「……存じ上げませんでした。」
宮殿での秘匿事項だったのかもしれない。さもすればリュードは知る由もない。
「薬が直接関係しているかどうかは分かりませんが、少なくとも何かしらの影響はあるでしょう。それに私たちが再現した試作品も…。良くも悪くも人の体に大きな影響のあるものばかり使っているんです。人に使って、安全なはずがないのです。」
なぜか涙目になりながらそう訴えるエレーナ。
「………エレーナ様?」
「最初の話に戻りますね。ジェイド騎士団長が、”早く人に使って確認したほうが良い”と仰った、と申し上げたと思います。」
「ええ。」
「ジェイド騎士団長は…。その人、というのをリュード様にやっていただけばいいと仰ってるのです。」
「それは…。」
「言葉を選ばずに言うなら…。その試作品の実験台ということです…。」
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