第3話 取り柄のない人間より

「はあしんどい。今日も朝からだるいな。ああ仕事頑張らないといけないなんて無理だわ」

「おい、南。今日も給料分頑張ってもらうからその覚悟でいるんだぞ。きちんと働かずに給料だけをもらうのは許さないからな」

 会社に着く前からやる気を見せない南博に対し、上司の吉本司が声をかける。給料分だけの仕事をしなければクビだと脅すので、こちらも戦々恐々なのである。そんな感じで不自由な生活は続くのであった。

「そんな感じで言われてもこちらは安月給で頑張らないといけないのに……」

 1人でブツブツと呟きながら仕事を続ける南博は、仕事はそこそこで普通の人間であった。本当に何の取り柄もない普通の人間であったのである。

 そして夜まで仕事を頑張った南博は、仕事を終えとりあえずいつも通り帰路につこうとするのであった。

「お帰り博、今日も仕事を頑張ってきたんかね」

「ああ、今日もこなしてきた」

 南の家庭は両親が別居していて、父親と母親が別々に暮らしていた。

そして博は父親と同居していたのである。世間ではこどおじと罵られようが、独立する資金も惜しいので、1人暮らしは避けていた。




























やる気を見せない南博に









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