第4話 強すぎた正義感

 看守長、この仕事に就いてからそう呼ばれるまではそう時間はかからなかった。


 「エメラナ!」「泣き虫エ〜メ〜!」

女っぽい名前から揶揄われる事が多く、付いたあだ名が〝泣き虫エメラナ〟

その頃から漠然と、強くてなる事を求めていたのかもしれない。


『あの人、君にだけじゃないね。

だから一人だけ無事なのか』

寄生し自我を奪われるのは個人的な憎しみや強い負のエネルギーのみ。目の前の看守は全ての悪に〝同等の憎しみ〟を持っている。


「その辺の雑魚とオレ様を同じにしてるのか。前々からムカついてたが、つくづくな野郎だ」



「…お前たちも赤に下るのか、だったら容赦はせん。仲間意識など捨て去るぞ?」

荒れ狂う警官達を次々と薙ぎ倒していく。

急所は首、それを熟知してか銃の類を仕舞い素手の一本で相対していく。


「無意味だったのか、お前たちを鍛え育て上げたこと。看守長として警備を万全に整えたつもりであったが....この恥晒し共めっ!!」

警官をまとめあげ、看守とは別に囚人の暴動を防ぐ特殊部隊を構築した。


「ありゃ間抜けか?

テメェの部下をぶん殴ってやがるぞ」


『今のうちに事を済まそう』


「だな、早くあいつらんとこ行くか」

最早こちらを見ていない。

ひたすらに追っていた筈の標的を無視して他の悪意に目を向ける事が出来る。あれではいくら真っ直ぐな正義でも、明確にはっきりとした〝寄生体〟にはならない。


『それだけど』 「あ、なんだよ?」


『知り合いに会いに行くらしいけど、やめた方がいいと思う。何故なら...』


「気にすんな、みんなオレのいいなりだ」

鋼鉄の引き戸を勢いよく開ける、その先には見慣れた牢獄の景色。中に敷き詰められた同じ格好の人々が、一斉にこちらを振り向く。


「久しいなテメェら!

喜べ、お前らを迎えに来てやったぞ!」


「……」  「どうしたテメェら?」

返事が無い、空間に鳴ったのは金属が解かれゆっくりと開く音。


「なんだ、鍵開いてんのかよ」


『…やっぱりそうなってたか、逃げるよ!』


「あぁ..?」

同じ穴のムジナというだけで仲間意識はない。それどころか主従させ、見下し脚にすら遣っていた下僕連中だ。


『残念だけど

みんな君に〝恨み〟があるらしい。』


「……ききぃ..‼︎」



「おいおい、テメェらもなのか?」

牢獄は最早なにも捕らえてはいない。


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