アンクレット

アンクレット

落ちている椿を踏むの気持ちいい今日で振られて三月なのかよ

みずぎわのかよわいあぶくふちふちとつらねたようなアンクレット欲しい

切り傷のように冬風吹きつけて喧嘩別れの通学路急ぐ

この人のするセックスはどんなだろう 袖口が濡れて濃い木賊色

性愛を知らぬ生徒があくがるをああ焦がれると訳すのを正す

眠る人は最小の陸寝息立て潮汐のごと上下する胸

頬で雪が溶けているなと思いつつ三越の前で旧友を待つ

仏語かと思った 急にゆうべじょしゅせきにいた？と問われて ううん

美人から順に並べて殴りたい　いちごを裸足で踏む弾力よ

いつのまに挟んだのだろう桜から透けるhelloの綴りが明るい

寝そべれば鳥籠が浮かぶ痩身の君に飼われる雛として我

iPhoneには写らないのに川面だとしんと浮かぶ月 そういうことか

つらかった日の写真でも明彩を変えれば綺麗な絵のようにごみ

東京の一部になりたい のらねこの上に積もった花びらをはらう

海ひかる 返り血のように陽を浴びてわたしが一生わたしを守る