料理の達人サトシwith(自称)森の中で一番可愛いうさぎ
家に帰ったうさぎは、集会所から持ってきたパソコンを眺めていた。
「今日は、山菜の天ぷらです!まず、用意するものは、、、」
動画の中で元気よく喋るサトシを観ながらうさぎは目を潤ませる。
巻き寿司を作らないと、、巻き寿司を作らないといけないのに、うさぎにはもう力が残っていなかった。
パンダがもう一回人間になって、良い方法を教えてくれるかもしれない。
パンダなら大丈夫だ。そうだ、パンダに任せれば良いのだ。今日はもう眠ってしまおう、、。
うさぎはそう思って、寝床についたのだった。
目が覚めるとうさぎは白いモワモワとした空間の中に居たのだ。
あれ??目が覚めたと思ったけど、これは現実なのだろうか?
うさぎが当たりをきょろきょろと見渡すと、キッチンが見えてきた。綺麗な白いキッチンだ。
「じゃじゃーん!!料理の達人サトシのお兄さんでぇーす!!」
なんとキッチンから手を広げて出てきたのは、うさぎが大好きなサトシのお兄さんだったのだ。
「きゃー!!サトシのお兄さん?!なんで!なんで?!」
「今日はうさぎちゃんの為にやってきました!うさぎちゃんと、皆んなの巻き寿司を頑張って知ろうとする姿を見ていたら、僕は我慢できなくなって来てしまったよ。一緒に巻き寿司を作ろう!」
うさぎは信じられない出来事にとてもビックリしていた。
うさぎがポカンと口を空けていると、流石の料理の達人サトシ。流れるような動作で準備を進めていく。
「まず、ご飯を作る前に!美味しくなーれの魔法をかけます!これは最後にかけるより、最初にかけることが大事です。」
「はい!分かりました!!」
「まず、胸に手を当てて、食べてくれる人の事を考えます。その人が美味しく食べてくれたら良いなという気持ちをグッと手に込めます。もしその人が大好きなな人だったら、その人の笑顔も思い浮かべましょう。」
「はい!!」
うさぎはお姉ちゃんうさぎの事を考えて手に力を込める。あれ?この巻き寿司はもしかしてサトシのお兄さんも食べるのかな?そう思い、サトシの事も思い浮かべる。
「「美味しくなーれ!!美味しくなーれ!!」」
手順①2人で食材に向かって魔法をかける。
「次は、温かいご飯と寿司酢を混ぜ合わせます。」
「はーい!!」
これはパンダが言っていた事と同じだ!
「ご飯は切るように混ぜ合わせましょう!」
「はい!!」
手順②温かいご飯と寿司酢を混ぜ合わせる
「ご飯を冷ましている間に次は、具材を作ります!」
「はい!!」
手順③具材を作る
「今日使う具材は、きゅうり、大葉、、、、、、、、、、、」
あれ?視界がだんだん歪んできた。
あれ??!サトシがぐるぐる回ってる。
あれ??料理を作っていたのに、意識が段々とふわふわしていく。
あ!巻き寿司が完成してる!!凄く美味しそうな巻き寿司だ!!
サトシとうさぎが一緒に巻き寿司を食べている。
その様子がうさぎにぼんやりと映っている。
「美味しーい!!美味しい!!美味しい!この巻き寿司なら、お姉ちゃんの結婚式でも絶対に大丈夫!!この巻き寿司を作りたい!」
うさぎは目を見開いて、興奮している。
「うん!やっぱりこれは美味しい!!」
サトシもとっても美味しそうに巻き寿司を食べている。
巻き寿司は、あっという間になくなってしまった。
サトシがうさぎに何か話している。
「うさぎちゃん、僕はもう行かなくてはいけないんだ。」
「嫌だよ!嫌!もっと一緒に料理を作ろうよ!」
「ごめんね、うさぎちゃん。一緒に巻き寿司を作れて楽しかったよ。」
うさぎは駄々を捏ねて中々サトシを離そうとしない。
「うさぎちゃん、君に使命を与える!」
「使命?」
うさぎはポカンとした。
「僕の考えた料理をうさぎちゃんが作る。それはとっても素晴らしい事だ。嬉しい事だ。
君がその料理を作って、誰かが幸せになってくれる。これもとっても素晴らしい事だ。
君には僕の料理を沢山作って、周りにいる人たちを幸せにする使命を与える!
うさぎちゃん、これを全うしてくれるかな?」
うさぎはうるうると涙を浮かべながら頷いた。うさぎにも分かっていた。別れがきているということを。
「うさぎね、大好きな皆んなの為に美味しいご飯を作る!使命だもんね!!」
うさぎの目が覚めると、いつもの見慣れたうさぎの家だった。
さっきのは何だったのだろうか。夢だろうか。いや、確かにサトシと一緒に料理をしたのだ。でも記憶が確かではない。やり方が分からない。手順③までしか覚えていない。
せっかくサトシが教えてくれたのに、これでは最高に美味しい巻き寿司が作れないではないか。
でも、うさぎはもう唯のうさぎではない。
うさぎは、サトシから使命を貰ったうさぎだ。うさぎはこれからその使命を全うし続けるのだ。
パソコンを見ると、新しいレシピが更新されていた。
タイトルは、
祝い事にもってこい。絶対食べたい至高の巻き寿司
森の中の動物たちwith料理の達人サトシ @tomico
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます