うさぎ、乗り越え難い現実
うさぎはお姉ちゃんうさぎの事を思い出していた。
お姉ちゃんとうさぎの2人姉妹で、喧嘩もした事はあったが優しい姉だった。
その優しい姉だけがうさぎの唯一の心を開ける相手だった。
お姉ちゃん子だったうさぎは、物心がついた時からお姉ちゃんうさぎ意外の動物と関わる事を嫌った。
そんなうさぎを心配したお姉ちゃんうさぎが、くまやパンダと仲良くなりそこから今の状態に至ったのである。
今となっては人見知りせず森の動物達のランチも作るうさぎだが、そうなるまでには時間がかかったのだ。
お姉ちゃんうさぎが大好きなうさぎは、結婚式での料理のメニューを考えていた。
「巻き寿司、お吸い物、くるみの素揚げ、ぜんまいとふきのとうの天ぷら、ポテトサラダ、ワカメの酢の物、、、。」
とにかく豪華にする為に当日に向けての下準備はしっかりとする必要がある。
うさぎは森の動物達を集めてグループ分けした。
「くまグループは式の前の日に魚を沢山取ってきてちょうだい!巻き寿司には魚が必要なの!」
「モグラ達はお芋を沢山取ってきてね!」
「リス達はくるみを!」
「キツネ達は山菜を取ってきてね!」
「「「「はーい!!!」」」」
皆んなの力を合わせれば、うさぎ1人でやったら何日もかかってしまうような事でも容易いのだ。
「うさぎさん、ええ米が取れましたよ。」
パンダの父がお米を持ってきてくれた。
「パンダのお父さん、パンダの調子はどうですか?」
「今日な、やっと人間になれたみたいでな、早い方が良いって言うんでスタスターっと山を降りて、町の方に降りて行ったんだよ。」
パンダのお父さんは自分の息子が重大な任務を任されたこと、無事人間になれた事が嬉しい様子だった。
うさぎはパンダのお父さんと話をしていて、ある事に気付いたのである。
パンダが人間になった、、、。
あのおっちょこちょいのパンダが。あのいつもアニメの話ばかりしているパンダが。
うさぎは一筋の光を見つけたのである。
私も、人間になれるかも!そしたら、料理の達人サトシと結婚出来る!
よし!私も人間になろう!
うさぎは駆け足で狸千人の元へ向かった。
「あっ!うさぎ!」
道の途中で出会ったくまが、何だか気まずそうな顔をしながらうさぎを見ている。
「どうしたの??」
「あっ、、、いや、、その、、サトシが、、。」
「サトシがどうしたの??」
「いや、いつもはあんまり観ないんだけどさ、今日たまたまパソコンで、一番上の位置にあるサトシの動画を観たんだよ。そしたらさ、、。」
くまの顔が若干青ざめている。俺の口からはとても言えない。とでもいうような顔をしている。
「え!どうしたの!そんな顔して!」
「うさぎ、大丈夫だ。落ち込むなよ。うさぎ、君には俺もいるし、パンダもいる。サトシよりももっともっと、、、。」
くまはそこで言葉をやめて何と言おうか考えている。
気になったうさぎは、パソコンを見る為に進路を変え、早足で集会所に向かった。
サトシの新着動画は一番上にくるのだ。それをクリックする。くまは何を見たのか。
「どうもー!料理の達人、サトシのお兄さんでーす!!」
いつも通り、うさぎが何回も見てきたかっこいいサトシのお兄さんだ。
「えー、、、。今日は!皆さんに、大事なお知らせがあります。僕、実は!昨日結婚しました!えー、実は僕には一年程お付き合いしている女性がいまして、昨日ゴールイン致しました。彼女は僕より一つ年下の一般女性で、、、、、、」
恋、敗れたり。
うさぎの中でその言葉だけが、頭に浮かんだ。
うさぎの夢はサトシのお兄さんと結婚する事だった。パンダともよくその事について話をした。
パンダは言った。人魚姫という物語りがあると。人魚でも人間の王子と結婚が出来たのだ。うさぎにだって出来る筈だと。
うさぎはガクンとその場から崩れ落ちた。
「うさぎ、、。」
駆けつけたくまはうさぎを励ます言葉を探す。
「私、人間になる事が出来ても、もうサトシと結婚する事は出来ないのよ。」
「うさぎ、、、、。」
「大丈夫、心配しないで。お姉ちゃんの為に美味しい巻き寿司を作るんだから!落ち込んではいられないわ!!」
うさぎは何とか力を振り絞って立ち上がった。
明らかに強がっているが、くまはそんなうさぎを見て、うさぎ、成長したなあと思うのだった。
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