第25話 お寺3
二人は千本ゑんま堂の境内を歩いた。高校の修学旅行で来たのだろうか。境内では、学生服を着た男女数人の高校生のグループがにぎやかに写真を撮っていた。
このお寺も見どころが多い。本堂には本尊の閻魔王坐像がある。閻魔法王像は高さ2mを超える大きさだ。閻魔様をご本尊とするお寺はめずらしい。閻魔王坐像の両脇には
千本ゑんま堂の行事も有名だ。毎年、5月には千本ゑんま堂狂言が行われる。 京都で三大念仏狂言の一つに数えられる狂言だ。また、8月のお盆の時期には、精霊を迎える迎え鐘が終日鳴らされることでも知られている。
蒼汰と明日香はお寺の人に断って、本堂に上がらせてもらった。鎮座する閻魔法王像はものすごい迫力だ。蒼汰は閻魔法王像を見て、閻魔の前に引き出された罪人のように気持ちが委縮するのを感じた。
本堂のご本尊の閻魔法王像を見上げながら、明日香が蒼汰に説明した。
「
蒼汰と明日香は本堂からもう一度境内に戻った。蒼汰は明日香の話を整理してみた。
「すると、
「そうなの。
「この千本ゑんま堂も、僕らの不思議な体験と何か関係があるのだろうか?」
「さあ、そこまでは、はっきりとはわからないわ。でもね、あのろくろ首の女将の旅館で、私たちを襲ったのは妖怪といっていいような怪物だったでしょう。まさに地獄の生き物といった、不気味な怪物だったよね。
明日香の言葉を聞いて、蒼汰の頭が目まぐるしく回転した。
さっき行った
初秋の明るい光の中で、蒼汰は明日香の顔を見ながら、ごくりと唾を飲み込んだ。
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