156 - 「マサト療養の裏では」


 礼拝堂から続くローズヘイムの地下、後家蜘蛛ゴケグモのアジト。


 黒光結晶ブラックライトが周囲を紫色に染めるその部屋で、耳の尖った二人――シュビラとネスが、マサトの状況について話し合っていた。



「マサト君の容態は、その後どうですか?」


「心配ないの。少し時間はかかったが、黒死病ペストは無事に治療できた。今は回復に向かっておる。薬学者アポセカリーの二人が頑張ってくれたようだからの」


「あの二人は相当に優秀なようだ。しかし、マサト君にはもう少し危機感を持って行動してもらいたいものです」


「ふっふっふ。そなたが言うと嘘に聞こえるの」


「それは誤解ですよ。私にも人並みに人を心配する時もあります」


「ふっ、そういうことにしておこう。して、そなたの研究は進んでおるかの?」


「少しずつではありますが、着実に前進している手応えはあります。その証拠に、私の里とローズヘイムを繋げる転移装置ポータルは完成しました。まだ人一人転移させるのに膨大な魔力マナを必要とするので、気軽に扱えるものではありませんが、これも改良の目処はついています。転移事故もほぼなくなりました。これでシュビラ様のゴブリンをこれ以上犠牲にしなくて済みます」


「ほぅ、それは凄い進歩だの」


「いえ、まだまだです。この程度では到底 "次元" を超えることはできません。それと、シュビラ様に一つお願いがあるのですが、よろしいですか?」



 ネスの唐突な要望の切り出しに対し、シュビラは内容を聞かず、ネスの依頼を言い当た。



「強力な魔石が追加で必要なのじゃな? 以前のような水晶の予備を、旦那さまがまだお持ちかは、われにも分からないが、後ほどちゃんと旦那さまに掛け合っておこう」



 その回答にネスが驚くも、すぐさまいつもの温和な表情に戻り、感謝の言葉を口にする。



「助かります」


「里の方はどうなっておる? 皆元気にやってるかの?」


「それはご自分の目で確かめられた方が良いのではないですか? シュビラ様であれば、転移装置ポータルをご自由に使っていただいて構いませんが」


「そうだの…… いや、やめておこう。今は蛙人フロッガー討伐と、公国への進軍準備で忙しいからの」



 シュビラのその言葉に、ネスが意味深に微笑むと、シュビラはそっぽを向いてはぐらかした。



「それは残念です。ネネが会いたがっていましたよ」


「はぁ…… あの黒耳か。落ち着いたら顔を出すと言伝を頼む」


「承知しました」



 了承するネスの顔は少し笑っていた。


 少しの沈黙の後、ネスが話題を戻す。



「ついに公国に対して動きますか。あのマサト君が、それを決意するとは。彼も変わりましたね」


「本来なら、旦那さまが変わらずとも、われらだけで全て解決できるのが理想なのだ。旦那さまが良い方向に変わってくれたのは嬉しいが、頼ってばかりはいられんの」


「そうですね。私の転移装置ポータルが完成すれば、他国への侵略も容易になるでしょう。そしてその暁には――」



 二人でほくそ笑む。



「ふっふっふ。われらは旦那さまの望みを叶えるだけよ。その後のことは、そなたの好きにすれば良い」


「くっくっく。はい、もちろんそうさせてもらうつもりです」



 床の隅に配置された黒光結晶ブラックライトが、笑い合う二人の顔を下から照らす。


 もしその場で不気味に照らされた二人の表情を目撃する者がいたのであれば、その者はきっとこう思ったに違いない――



 『二匹の悪魔が笑っている』と。




◇◇◇




 竜語りドラゴンスピーカーの館、応接の間。


 そこには、シュビラからマサトの状態と、今後の方針を聞いたトレンが、状況を共有するべく、竜語りドラゴンスピーカーの面々を召集していた。


 だが、ここに集まったのは熊の狩人ベアハンターのワーグ、マーレ、フェイス、パンと、財務大臣のトレン、トレンの使いパシリをやらされているマーチェ、それと、狐人のクズノハだけだった。



「ベルさんは? まだ巡回中か?」



 トレンの言葉に、マーレが答える。



灰色の翼竜レネに乗って巡回中だよ。あの子、ちょっと大丈夫かね。サーズから帰ってから心ここにあらずな感じがして気が気じゃないさね」



 ベルを心配するマーレに、パンとフェイスも続いた。



「ベルさん、少し働き過ぎな気がします。いくら [状態異常無効] という適性があるから風邪を引かないのだとしても、過労で倒れないか心配になっちゃいます」


「確かに、いつもの元気はなかったなぁ。野暮な詮索はしない主義だが、おれっちも心配になるね」



 皆が唸る。



「こればかりは考えても仕方ないな。とりあえず後で本人に事情を聞くとしよう。で、三葉虫トリロバイトの三人はどうした?」



 その質問には、パンが控えめに手を挙げながら答えた。



「あ、わたしが知ってます。セファロさんに声をかけたんですが、養蜂作業で忙しいから後でまとめて教えてくれって言って去って行きました。恐らく、いつもの場所です」



 その内容に、マーレが片眉を上げて唸る。



「あいつら〜。養蜂が上手くいったからって調子に乗ってんじゃないだろうね。可哀想だから大黒虫ゴキムシの件を言わないでやったのに。ったく」


「まぁまぁ姐さん落ち着いて。セファロの奴も、あれで内心はかなり負い目を感じてんだ。それを一心不乱に働くことで少しでも取り戻そうと頑張ってるだけだって」


「なんだいフェイス。あんたやけにセファロの肩を持つじゃないのさ。怪しいねぇ」


「ちょっ! なんも怪しいことなんか……」


「まさか次はジディを狙ってんのかい?」


「いやいや、ジティちゃんは確かに美人だけど違……」



 マーレの鋭い眼光に、フェイスがたじろぐと、パンが口を挟んだ。



「きっとフェイスさんは、三人から融通して貰った蜂蜜を、誰かに横流ししてるんです」


「ち、ちょっ! パンちゃん!?」



 助け船を出してくれたのかと思いきや、息の根を止めるべく背中を刺しに来たパンに、フェイスが顔を引きつらせていると、意外なところからトドメの一撃が放たれた。



「あーっ! あたい見たことある! フェイスさんが、瓶に入った蜂蜜をレティセさんへ渡してデレデレしてるとこ!」


「「「なにぃ!?」」」



 皆の叫びが一致する。



「フェイス、あんたまた性懲りもなく…… はぁ、呆れて物も言えないさね」


「フェイス、お主まさか支給順番を守らなかったのか? 儂も楽しみに待っとったというのに」



 マーレとワーグが呆れた視線を向けると、フェイスがたじろぐ。



「マ、マーチェちゃん!? そ、それは誤解っていうか、レティセさんがスイーツ好きだと聞いて差し入れに行っただけで…… って、なんでそこにマーチェちゃんが!?」



 マーチェがフェイスの反応を見てニヤニヤと笑っていると、トレンが溜息とともに事情を説明し始めた。



「マーチェには、女王陛下との伝達係として旧領主館を行き来してもらってる。マーチェは人に取り入るのが得意だからな。おれより適任だ」


「まっ、早い話がトレンの使いパシリだよねー。あたいは女王陛下とその周辺の人達に顔を覚えてもらえる利点があるから、大して気にしてないけど」


「運が悪かったな」


「そ、そう。い、いや、別に見られて困るもんじゃ……」


「ああ、そうそう。養蜂で得た蜂蜜は国の所有物だから、フェイスが横流しした分は、給料からしっかりと天引きしておく。まだ蜂蜜は貴重品だからな。結構値は張るが、頑張って働けば生活に困るほどではないだろう」


「ま、まじっすか…… ち、因みに、いくらくらい?」


「物流を止められているローズヘイムには、蜂蜜などの嗜好品が流れてこなくなって大分経つ。つまり、需要過多な状況にあるわけだ。更にあの蜂蜜は、他に出回っている蜂蜜と比べものにならない程に良品だと噂にもなっている。蜂蜜は保存がきくからな。ローズヘイムに残った商人達が我先にと買い求めてきているせいで、値がかなり高騰している」


「で、で…… い、いくら……」



 フェイスがこぐりと唾を飲み込む。



「スプーン一杯で、金貨一枚ってところだな」


「いっ!? スプーン一杯で金貨一枚ぃっ!? そ、それじゃ……」


「瓶がどのくらいの大きさかにもよるが……」


「中瓶くらいでした!」


「パ、パンちゃん!?」


「それなら500gくらいか。結構な量だな。金額にして、金貨100枚――約100万Gといったところか」


「ぶっ!? ひゃっ、ひゃくまんっ!? あれで!?」


「かっかっか! フェイス、さてはあのつり目女に上手く使われたね? 自業自得だよ。これに懲りたら悪い女に捕まるんじゃないよ! 今回のことは諦めてしっかりと働きな!」


「うむ。これは自業自得じゃな」


「は、はは、はぃー……」



 フェイスががっくりと肩を落としたのに一瞬笑いが起きるも、トレンがすぐに話を戻した。



「ここにいないメンバーへの情報共有はフェイスに任せるとして、本題だ」



 皆の視線がトレンへと集まる。



「ボスの治療が無事に終わった。後数日で復帰できるらしい」


「「「おおおお!」」」



 パンが「良かったぁ」と両手を合わせて涙ぐみ、パンの服の端を掴んでいたクズノハが「あんちゃん、げんきになる?」と質問すると、歓喜余ったパンに「うん! 後数日で戻ってくるよ! クズノハちゃん良かったね!」と説明されながら抱きしめられていた。


 マーレとワーグは豪快に笑って喜び、フェイスはやれやれといった表情で肩を竦めた。


 マーチェは事前にトレンから話を聞いていたため、ニンマリ顔で皆の反応を楽しんでいる。


 すると、ソファーに足を組んで深く腰掛けていたマーレが、溜息を吐きながらトレンへ投げかけた。



「しっかし、うちのボスも毎回瀕死になってやしないかい? 本当に大丈夫なんだろうね?」


「大丈夫か、そうでないかと言えば、大丈夫な訳がないな。毎回瀕死の状態で帰還する王など、本来であれば外に出したら駄目だろう。これが王国なら、側近の首が飛ぶんじゃないか?」



 その言葉には、皆が苦笑した。


 トレンは続ける。



「だが、この国はまだまだボス頼みなのも事実。ボスの動きを制限しても滅びの道を歩むだけだ。それなら、ボスが死ぬほどの危険な目に合う前に、おれたちでどうにかするしかない。そうだろ?」



 挑発的な表情で聞き返したトレンに、皆が強く頷く。



「まぁ、具体的にどうするという案もないんだけどな」


「ないのかい!」



 そうとぼけるトレンに、マーレが盛大に突っ込む。



「ボスはマジックイーターだぞ? 真似は無理だ。凡人のおれたちができることは限られている。だが、やれることはある。今はそれを地道に積み重ねるしかないな」


「結局は、いつも通りってことかい」


「そう。いつも通り。ボスが動いたことによる余波、変化を最大限利用して、ボスのサポートをする。それが今後に繋がるはずだ」


「うむ。儂にも手伝えることがあればどんどん依頼してくれ」


「何言ってんだいワーグ。あんたとあたしには、新米冒険者達の訓練やら討伐指南の予定がみっしり詰まってるだろ。この国に高ランクの冒険者は数えるほどしかいないんだ。他の手伝いをしてる暇なんてないよ」


「う、うむ。そうだったな。すまんかった」



 半目で睨むマーレに突っ込まれ、小さくなる巨体のワーグ。


 そんなワーグに苦笑しつつ、トレンは続ける。



「苦労かけてすまない。サーズから運ばれてきた大量の素材を捌くのに冒険者ギルドが総出で取り掛かってるんだが、量が量だけになかなか片付かなくてな。もう少しかかる」



 サーズから空を喰らう大木ドオバブだけでなく、大量の火蟻ヒアリと、巨人の盾甲虫ゴライアスオオツノの亡骸が運ばれてきた時は、街中が大変なお祭り騒ぎになった。


 急遽、巨大な貯蔵庫が複数急造され、剥ぎ取った素材を保管していっているが、火蟻ヒアリ巨人の盾甲虫ゴライアスオオツノも素材自体が強固であったため、剥ぎ取り自体が難航した結果、未だに剥ぎ取りが終わらないといった問題に直面していた。


 幸い、火蟻ヒアリ巨人の盾甲虫ゴライアスオオツノも死後の素材劣化が緩やかなようで、素材自体に然程影響は出ていない。


 これらは、蠢く死体リィグルデッドの効果である [不死化] の影響が強く出ているためだが、トレン達が知る由はなかった。


 火蟻ヒアリ巨人の盾甲虫ゴライアスオオツノの素材が、市場には滅多に出回らない希少な素材であったのと、公国の交易路封鎖により商人間での情報共有が即座にできないという問題が、マサトの力によって素材が強化されているという状態に気が付けなかったという結果を招いていた。


 希少素材レアだと思っていた素材が、実は二度と入手が不可能な固有素材ユニークだったのだ。


 それを知るのは、また別の話。


 後に、今回の素材が、ローズヘイムの財政を劇的に潤すことに繋がる。



「あの素材のお陰で、町は活気を取り戻しつつあるが、交易路が封鎖されていなければ、どれほどの相乗効果が期待できたか…… 本当に悔やまれる…… いや、まだ希望はあるか」



 トレンがぶつぶつと一人で話し始めると、マーチェが声をあげた。



「ちょっとトレン! また勝手に自分の世界に入ってる! 本題! 本題がまだ残ってるよ!」


「あ、ああ、そうだったな。悪い、つい」


「まだ何かあるのかい?」


「ある。これはボス自身が決めたことだが――」



 再び皆の視線がトレンへと集まる。



「北端の禿山から、北東の蛙人フロッガーの地へ攻め込むことになった」


「そ、それは本当かい!? 公国が睨みを利かせているこの状況で蛙人フロッガー討伐!?」


「うーむ、北東の地…… アローガンス王国の総力をもってしても攻略しきれなかった蛙人フロッガーの住処、フログ湿地帯か」


「攻める? 本当にマサトっちが決断を?」


「攻めこむなんて…… だ、大丈夫なんでしょうか?」


「あんちゃん、どうなっちゃうの?」


「あ、クズノハちゃん…… うん、マサトお兄ちゃんは大丈夫だよ! 大丈夫!」



 皆がマサトの決定とは思えない決断に騒つく中、不安になったクズノハを安心させようとパンが必死に慰める。


 不安がるクズノハに、トレンが少し困ったような表情を浮かべながらも、話しを続けた。



蛙人フロッガー討伐には、ボスが新たに支配下へ加えた禿山に生息するゴブリン約30万と、土蛙人ゲノーモス・トードが向かうらしい。陣頭指揮は、ボスが新たに召喚したゴブリンの王がとるとのことだ。ボスは前線に出る訳じゃないから、また瀕死になるようなことにはならないと思うが……」


「なんだい…… あんたも人が悪いね。それを先に言ってくれればいいのに。一瞬でもリーダーの頭がイカれちまったのかと疑っちまったじゃないかい」



 そう言いながら、マーレは起こした身体を再びソファーへ埋め、脱力した。



「話は最後まで聞け。まだ話は終わってない」


「あいよ、話の腰を折って悪かったね」



 トレンに注意を受けたマーレが、片手をひらひらと振って適当に謝罪。


 そんなマーレにトレンは「はぁ」と軽く溜息を吐きつつも話を続けた。



「ボスは、公国へ交渉しに行くつもりらしい」


「はぁあああ!?」



 皆が驚く。


 唯一、驚きの声をあげたマーレがそのまま疑問を口にする。



「どういうことだい!? まさか降伏じゃないだろうね!?」


「違う。交易路の封鎖を止めさせる交渉に行くと聞いているが、どういう計画かまでは知らされていない」


「そ、そうかい。そうならいいんだけどさ。でも、交渉にリーダーを行かせて大丈夫なのかい?」


「本来なら大丈夫じゃないが、ボス以外に適任がいない。仮に破談になったとしても、ボスなら単騎でも帰還できる力があるが、他の者は人質になって終わりだ。とはいえ、人質になってもいい程度の人物を送り込んでも、交渉にすらならないだろうしな」



 皆が唸る中、パンが両手を胸の前で祈るように握りしめながら声をあげた。



「で、でも! やっぱり危険です! マサトさん一人で行かせるなんて! わたしは反対です!」



 パンが突然反対し始めたことに、皆が驚く。


 すると、パンの主張を感心したような表情に変わったマーレが口を開いた。



「パン、あんたも言うようになったね。その意見は直接リーダーに言ってあげな」


「えっ!? あ、あの、いや、それは、ちょっと、恥ずかしいというか、なんというか……」



 急に顔を真っ赤にしてまごまごし始めたパンに、マーレの目がジト目に、表情は呆れ顔へと変わっていく。



「はぁ。うちのメンバーはポンコツばっかりかい。トレン、他に重要な話はあるのかい?」


「いや、話は以上だ」


「そうかい。じゃ、あたしはこのポンコツどもを連れて久しぶりに訓練でもしようかね」


「ちょっ!? 姐さん!?」


「えっ!? わ、わたしもですか!?」


「そうだよ! 他に誰がいるってんだい! さっ、ぐずぐずしてないでいくよ! ほら、行った行った!」



 動揺する二人の尻を引っ叩きながら、マーレがフェイスとパンを部屋の外へと追い出す。



「ワーグ! あんたも来るんだよ!」


「う、うむ」



 ワーグも連れて行かれる。


 部屋には、トレンとマーチェ、それとクズノハだけが残った。



「マーチェ、クズノハを頼む。ボスへの面会はもうできるはずだから、連れて行ってやるといい」


「おっけー! クズノハちゃん、良かったね! あんちゃんに会いに行けるって!」


「は、はい! あんちゃんに、あいたいです!」



 クズノハの顔がパァっと明るくなる。



「うきゃー! 可愛いっ!!」



 そのクズノハに頬ずりするマーチェ。



「じゃ、行こっか!」


「うん!」


「トレンじゃ〜ね〜」



 マーチェとクズノハも部屋から退出していく。


 部屋に一人残ったトレンは、軽く息を吐き出すと、おもむろに腕を組み、自分の世界に入り始めた。



「ボスが動くということは、流通も元に戻る可能性が高いな…… 早急に輸出リストをまとめておこう…… 火蟻ヒアリ巨人の盾甲虫ゴライアスオオツノの素材は高く売れるはず…… 後は薬学者アポセカリー達が量産に成功した上級回復薬ハイポーションも少し流通させてもいい…… 黒死病ペストの特効薬を出すのもありだな…… 相当な値がつきそうだ…… 後はケロりんの香水に、ドラゴン達の鱗や抜け落ちた牙…… それに…… 土蛙人ゲノーモス・トードとの大戦後に量産された魔結石マテリアル…… は、シュビラ様が買い占めたから除外か…… それなら…… ここでは消費用途のない鉱石類も、一度全てまとめ直した方がいいな…… 後は…… シュビラ様が考案された、空を喰らう大木ドオバブで作った新作のパンか…… 確か…… フランスパンという名前だったか…… 由来はボスの住んでいた世界の地名だったか? まぁいいか…… あれにはグルメ家や料理人達が血眼になって殺到するだろうな…… レシピが盗まれないよう対策も必要だな…… 後は……」



 それから暫くの間、部屋にはトレンの独り言が響いていた。

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