50 -「ラミアのミア」
「俺の名はマサト。見ての通り、俺も人間とはまたちょっと違うんだよね。それに、そこの言葉のキツイお姉さんはダークエルフだよ。でも、根は優しい人だから安心して」
「え…… う、うん……」
俺の説明にレイアが口を尖らせた。
可愛いリアクションだ。
「で、こっちの髪の毛の白い子も、普通の人間とはちょっと違う感じ。少しは親近感湧いた?」
「ベルっていいます! よろしくね!」
「う、うん…… よろしく?」
「君は名はなんていうんだい?」
「名前? あたしの…… 名前……」
「そう、君の名前は?」
「あたしは、ミア。ラミアのミア」
「そっか。じゃあミア、改めて宜しくね」
俺は手を差し出した。
恐る恐るミアも手を出す。
それを強引に掴んで握手する。
「ダークエルフのお姉さんはレイアっていう名だよ」
「……うん」
ミアはまだなんとなく不安気だ。
それも仕方ないだろう。
少しずつ理解してもらえばそれでいい。
ミアと会話していると、
《マナ喰らいの紋章 Lv7 解放》
《マナ喰らいの紋章 Lv8 解放》
ここへきてまさかの二段階解放!
まぁ虫大量に倒したからね……
「!?」「マサト!?」「……きれい」
レイアとベルは目を丸くしている。
レイアは少し仰け反り気味に、ベルは口に手を当てながら。
ミアはぼーっとこちらを眺めている。
<ステータス>
Lv6→8
ライフ 40→42
攻撃力 76
防御力 4
マナ : (虹×3)(緑×122)
装備 :
召喚マナ限界突破7
マナ喰らいの紋章「心臓」の加護
自身の初期ライフ2倍、+1/+1の修整
どうやらLvアップのボーナスとして(虹)マナが入手できたらしい。
ライフの上限も2上がった。
後は
・[C] ガルドラの
魔法無敵
魔法が効かない硬い虫。
体にくっつけたら強い鎧代わりになりそうだ。
さて……
それよりも、この子をどう匿うかが問題だな……
するとレイアが、
「農場の方が騒がしい……。はぐれた魔物が流れた可能性があるぞ」
「まじか! ひとまず農場まで戻ろう!」
「ミアはどうするの!? ここに置いてっちゃうの!?」
さすがに農場まで連れていって人目についたら、余計に騒ぎが大きくなってしまうから連れていけない。
かといって、ここに一人置いていく訳には……
「あたしなら大丈夫。気にしないで……」
「そんなん放っておけないだろ…… 必ずここへ戻ってきて君を助けるから、ここで待ってられるかい?」
「……うん」
本当に大丈夫だろうか……
いっそのこと護衛として何か召喚するべきか。
監視っぽくなっちゃうけど、不安なら対策しておくことにこしたことはないな。
よし!
「
緑の淡い粒子が、地面に向けて差し出した手の先に集まる。
光が丸い形状を形どり、霧散すると、そこには体長1mはありそうな巨大なダンゴ虫…… ならぬ、
「でかっ!!」
突然、魔物を召喚したその光景に、ベルとミアが息を飲んだ。
「す、すごいすごい! マサトって召喚もできるんだね!」
「………………」
この一連の光景を見た効果か、ミアの目に光が戻ったように見えた。
ベルは純粋な感動から目を輝かせているっぽいが、ミアの目に戻った光は、ベルとはまた違う意味を持っている雰囲気を感じる。
「えーっと、
「キシキシ」
俺が敬称を与えると、俺の身体から更にマナが抜けていくのを感じた。
そしてスッチーが緑色に輝く。
(……げ、まさか)
スッチー 1/4 (固有名強化+1/+1)
<ステータス>
Lv8
ライフ 42
攻撃力 77
防御力 4
マナ : (虹×3)(緑×116)
装備 :
召喚マナ限界突破7
マナ喰らいの紋章「心臓」の加護
自身の初期ライフ2倍、+1/+1の修整
召喚に(緑x3)マナ、固有名強化に更に召喚分消費か……
(ま、まぁマナ潤沢にあるうちはいいか……)
「マサト! 手遅れになってもしらんぞ!」
「そ、そうだった。じゃあミア、ここで待ってて! ベルも行くよ!」
「うん!」
俺は全力ダッシュで農場まで走った。
時速70~80kmは出てたと思う。
人類最速が時速40kmちょいくらいだったと思うから、それこそ未知の領域だ。
あまりの速度と風を切る快感に、レイアとベルを置いてきぼりにしてきたことに気付かなかった程だ。
農場の家には何やらデカい蛇が見える。
というより、蛇っぽい尻尾が家のドアからはみ出している。
正確には、ドアをぶち破って家の中に顔を突っ込んでいる緑色のでかい蛇が見える!
周囲を犬たちが吠えまわっているが、蛇は意に介さず器用に尻尾を振り回して犬を牽制している。
「あれは…… まずいだろ」
俺はすかさず蛇の尻尾に抱き付くと、全力で家から引き抜いた。
「うぉおおおおおお!」
家の中で何かが壊れる音が鳴り響くが気にしない。
ドア付近のレンガがごりごり削れて崩れていくが気にしない。
とにかく全力で引き抜く!
すると、家から引き抜かれて怒ったのか、目が6つもある巨大な蛇がこちらに向き直り、牙を剥いてきた。
「キシャァァアアアア!!」
一瞬、こいつ蛇ならミアと話が通じるのでは?
と思って躊躇したのがいけなかった。
目にもとまらぬ速さで大蛇の口が迫る。
俺はほぼ条件反射で上体を反らした。
両腕で大蛇の尻尾を抱えていたお蔭で、大蛇が噛み付こうとしてきた軌道も浅かったのが助かった。
危うく頭を噛みつかれる寸前で回避に成功する。
「あっぶねぇ!?」
俺は大蛇の尻尾を片手で抱えたまま、宝剣を取り出し、目の前の尻尾を両断した。
「キィシャァアヤャャヤヤヤッ!?」
大量の涎を撒き散らしながらのたうち回る大蛇。
そのうちに少し距離をとる。
「マサト! そいつは
レイアの叫びが届く。
(こいつ再生すんのか……)
暴れるのを止めた
俺は
土を蹴る音とともに前方に飛び出したのと、
上から迫ってくる
俺は前傾姿勢のまま強引に身体を捻り、
そのまま
ドサッドサ……
「マサト!?」「マサトーーー!!」
レイアとベルの叫ぶ声が聞こえる。
俺はすぐさま立ち上がると、上顎を無くして暴れる
目の前に迫る
そして、動きの弱った
「ふぅ…… これでさすがに倒したよね?」
『
の表示が薄らと見えた。
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