あたしの半身
静野 ふゆ
第1話
月明かりが射し込む部屋で
ふたり、寄り添って眠りにつく
貴方の腕の中に抱き留められて
背中に触れている手が温かくて
頬に触れたままの手も温かくて
触れ合ったところから
“好き”が染み込んでゆく
互いに
骨にまで届きそうなくらいに
深く深く染み込んでゆく
ぬくもりと共に
たとえ
これが最初で最後の夜でも
それでもいい
あたしはあなたの半分で
あなたはあたしが失くした半分だったんだ
だから、今夜はひとつに
今夜だけでもひとつに
*****
あたしと彼は、同じ会社に勤めていた。
といっても、それぞれの部署に接点はあまり無く、通常であれば口をきくこともほとんどない。
彼は、あたしが入社してすぐの頃に付きっきりで仕事を教えてくれた先輩がよく飲みに行くグループの中の一人だった。
あたしもその先輩に誘われて参加した飲み会で、彼と顔見知りになった。
何度かの飲み会の後、さらにその中の数人で食事に行くようになっていって。
そうして、あたし達はいつしか二人で会うようになったのだ。
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