5 入間人間の迷走と併走した感想のようなもの
ハッキリ言って、入間人間はある時期からある時期までかなり長いこと迷走し続けていた。
かなり初期からだって、“売れ線”要素盛り込もうと頑張ってたかもしくはねじこまれていたかそういう感じはあったけど、それは仕方ないし、そういった話ではなく。
ヒット作を作り出そうと、やたらとシリーズものを乱発していた時期の話だ。
ちなみに『トカゲの王』はイラストレーターのブリキ氏の諸事情から刊行が止まったらしく、そのままシリーズとしての勢いを失って続きが出なくなったので、今回メインで話したい『迷走』とはまた別の話になる。
入間人間はある時期『続きを前提としたシリーズ物』を複数スタートさせて、そして、抱えていた。
わたしは当然のように新刊全部発売日に買いながら続きを待っていた。
こちらとしては待つことしかできないのだ。買って読んだらもうファンレターを書くくらいしかやることがない。
(ネットに感想を書く趣味を辞めることがあるいはプラスに働いたかもしれないけど、そこは許してほしかった)
そんなある日、続刊についての質問への回答として、以下の発言が出てきた。
“正直に話すと、続きを出しても売れそうもないものは出ないかもしれません。出せないほど売れていないものも実はない、という微妙な立ち位置ではあるのですが。そこから脱却しようと色々あがいていたら随分と増えてしまいました、お待たせして申し訳ありません。完璧に応えることはできないかもしれませんが、可能な限りのことはさせて頂こうと思います。”
(引用元URL: http://irumahitoma.jp/special/q_a/index9.html /参照日時2016/04/12)
これを読んだときの気持ちは忘れ難い。少々偽悪的な発言が目立つことは存じ上げていたが、それにしたって、いくらなんでもあんまりで。
これまで大きくヒットした二作品は『単発のはずが人気が出てシリーズ化した作品』だったというのを誰も指摘しなかったんだろうか……とすら思う。
2016年4月時点、入間人間が抱えていた未完作品は以下だ。(*印のものは掲載媒体自体が途切れてしまったもの)
・強くないままニューゲーム
・おともだちロボ チョコ
・美少女とは、斬る事と見つけたり
・クラゲ島の永遠*
・ちょっと無敵、だいたい子ども。*
更に、ある程度話としてのまとまりは持っているものの、続き物として書かれたと言われているものとして以下がある。
・神のゴミ箱
・ふわふわさんがふる
・バカが全裸でやってくる
(※『バカが全裸でやってくる』に限っては続編は2012年6月10日発売の電撃文庫MAGAZINE Vol.26『バカが全裸でやってくる 五年前 五年後 五年間』で仄めかされたのみで、2014年3月25日発売の『エウロパの底から』本編の記述で間接的に予定のたち消えがわかるようになっている)
そして、続刊が順調に出ているものや4月以降には完結編したものとして以下が追加される。
・安達としまむら
・いもーとらいふ
・お隣さん交流記
あとがきに以下のように書かれていた小説も含め、多くは見事に打ち切られた。
“よほど売れ行きが酷くなければ次巻に続きます。”
(入間人間著『美少女とは、斬ることと見つけたり』P268 L3)
この後更に『光を断つ』というシリーズが雑誌内で連載開始し、上と中まで書かれてそのまま終わっているがそれは別のお話。
余談はさておき、固定ファンがやる所謂『作家買い』をするだけで頭が疲れる続き物の本数している。
ちなみに、サイト掲載のみの続き物やノベライズ担当だった作品の存在がない点で引っかかる有識者(?)に向けて書くと、いくらなんでもそこまで列挙するのはただの意地悪だと思うので流石に省いている。え、媒体の都合で途切れたものを書いているだけでも充分意地悪? それはそう。
ずっとこんな調子だったものだから、わたしも頭というか、心というか、だいぶ疲れてしまっていた。
ヒットを飛ばすために色々なことに挑戦するのはきっといいことだし、そうして本を出すことが許されるほど人気があるのはきっといいことだ。
だけど、きっと売り上げの目算の数字『1』として数えられるであろうこっちの手元には、いつまでも続きが出ない本と、諦めることはあっても満たされることは絶対にない期待だけが積み上がっていく。
いや、これはただの妄想で、その辺の作家買いとか考慮しなくても出版くらいされるのかもしれない。こんなの事情のじの字も知らない素人考えだ。
なのに当時のわたしは何だかもう、足蹴にされながら甘えられている気分で、多分ヒモ飼うより実りがない心情だった。
「勝手に感じている気分から覚えた感情だし」と内省に持っていこうにも、上記に引用した「出せないほど売れていないものも実はない」が引っ掛かって頓挫。気分は最悪だ。
このときには入間人間の作品を読むことが大分きらいになっていたように思う。
それでも好きで、だからこまっていた。
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