手紙:シロネグサ
拝啓 働くか引きこもるかの二択が過ぎて梅も見ることなく冬を過ごしている今日この頃、そちらでも今頃梅は咲いているでしょうか。
わたしも香りくらいは嗅ぎにいきたいものだけど、どこへ行けば咲いているのかも知らないし、調べる余力もありません。
さて、最近は小説を読むことからも書くことからも遠ざかってしまっています。
正確にいえば、インターネットで軽く文章を頂くことはあるのですが、紙の本でしっかり読もうと思うと、なかなか……。
少し前に買った小説も全然読み進められなくて、もったいないことをしてしまいました。
本を前にするとなんだか拒食症患者になったような心地でため息ばかりついてしまうんです。
映画も殆ど見られなくなってしまったから、単に歳くって体力がなくなってしまっただけかもしれないんだけど。
最後に読了した本はなんだったか……あまり文字数の多くないものだった気はするけど、それ以外はあまり覚えていません。
最後の読書を思い出そうとしても、読了しないときめて取っておいている本が頭をもたげて出てきません。
だから事実はどうあれ、わたしの中では2017年2月25日発売の『少女妄想中。』が最後の本になりそうです。
購入してすぐに読み始めて、すぐに読み通さないことにきめた本です。
すごくすごく、いい小説でした。先輩が書いた小説の中でも五本の指に入れたくなるくらいの。
人にも勧めたい本です。入間人間っていう作家のいいところがたくさんつまっていると思う。
芹が自分とよく似ていると思えるのもあって、思いいれも深いです。
でもだからこそ、わたしは絶対に読み終えたくないと思いました。
わたしはすごく人の感情に影響を受けやすいので、あれを読んでしまったら、自分も前に進んでしまいそう。
関西に引っ越してきて今更何を、って感じかもしれないけど、わたしは一生立ち止まっていたいと思ったから。
今日は夢を見られるといいと思います。
では、お互いいい夢を見られることを願って。
敬具
令和四年二月二十日
片手羽いえな
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