第20話
(※クレイグ視点)
とりあえず、任務が完遂したことを、家にいるみんなに知らせなければならない。
バッグはここへ置いておくことになっている。
どうせ中身は、この店で使うからだ。
僕は皆に報告するため、店を出ようと思って、扉の方に向かった。
しかしそこで、足を止めた。
なんとなく、嫌な予感がする……。
一瞬、とんでもない想像をしてしまった。
慌ててその想像をかき消そうとしたが、一度生まれた疑念は、なかなか消えない。
そんなこと、あるはずがないと思っているのに……。
僕は、店のカウンターの方を見た。
そうだ……、店に侵入した時と同じことだ。
入念な準備が大切である。
不測の事態なんて起こらない方がいいし、僕が想像してしまったことにはならないと思っているが、準備しておくに越したことはない。
準備したものが不発に終わっても、べつにかまわない。
一応準備をしておけば、このモヤモヤとした気持ちも、きっと消えてくれる。
僕は店を出て、カギを閉めた。
そして、みんなが待つ家に向かった。
とにかく、任務は果たした。
これで、リズも、みんなも喜んでくれる。
さっきまでの不安も消えていた。
僕は軽い足取りで歩き、みんなの待つ家に到着した。
そして、みんなと顔を合わせ、頼まれたことをやり遂げたと報告した。
みんな、大喜びだった。
僕もそれを見て、笑顔になっていた。
さっそく、その成果を見てみたい。
そして、新たな商売のための実験がしたいということになり、僕たちは店に向かうことになった。
僕はきっとそうなるだろうと思っていた。
「さて、それじゃあ、行きましょう」
リズが元気よく言うと、僕たちは皆で店に向かった。
これから新しく始まる商売を、みんな楽しみにしている様子だった。
しばらく歩いて、店に到着した。
僕たちは、店の中に入った。
僕はカウンターの中に入って、床に置いていたバッグをカウンターの上に置いた。
そこでバッグを広げて中身を見せると、みんなが一斉に笑顔になった。
「さすが私の見込んだ男だ! 君ならやり遂げられると思っていたよ! マーガレットも驚くだろうな!」
「あぁ、これで、ようやく商売が始められるわ! リズはこんな素敵な人に愛されているなんて、幸せものね!」
「ありがとう、クレイグ! あなたのおかげで、私たちは、新たなスタートを切ることができるわ。お姉さまも商品がなくったことに気付けば、驚くでしょうね! その顔を見られないのが、残念だわ」
僕たちは笑っていた。
新たな人生の始まりに、心を躍らせていた。
さっそく、実験を開始した。
そして、その実験は見事に成功した。
思っていた通りだ。
これなら、新たな商売が始められる。
僕たちは家に帰って、祝杯を挙げることにした。
*
私は憲兵の駐屯所に行って、いろいろと事情を説明していた。
すぐにこちらの事情を理解してくれて、話はスムーズに進行した。
そして、これから私は、憲兵の人たちと共にクレイグのところへ向かうことになった。
「今頃、上機嫌になっているんでしょうけれど、忘れ物を届けに行ってあげますよ……」
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