第17話
リズたちが処分を受けてから、一年ほどが過ぎた。
私は相変わらず、ポーショソを売っている。
リズのお店が営業停止になったので、私のお店には、たくさんのお客様が来るようになった。
彼女との勝負に負けたので、宣伝の看板を出すことは禁止されているし、立地も悪いけれど、唯一の販売店だから、客が集まるのは当然のことである。
「それにしても、リズがあそこまでするなんて……」
あの時はまさか、あんなことになるなんて思っていなかった。
リズたちは、ポーションの在庫がなくなり、利益を得る方法がなくなった。
そこからまさか、新たにポーションを作ろうとするなんて……。
あまり頭が良くないと思っていたけれど、あそこまでとは思わなかった。
そんなことしたって、うまくいくはずがないのに……。
普通は、ポーションを売って得た利益を投資して、別の商売を始めようと発想すると思うけれど、そんな簡単なことすら考えなかったのかしら……。
それとも、新しい商売を始めるくらいなら、知名度を利用して、何とかポーションを売る方がいいと思ったのかしら。
そんなことしたって、うまくいくはずがないのに……。
そのことすら予測できなかったから、あんなことになった。
幸い死者や重症者は出なかったけれど、軽症とはいえ、たくさんの人が被害に遭った。
そろそろリズの店は営業再開できるけれど、一度ついたマイナスのイメージは、なかなか払拭できない。
まあ、それでも、ある程度の客は来るだろう。
ただしそれは、商品があればの話だ。
彼女のお店にあるポーションは、すべて押収された。
新たにポーションを作れない以上、商売はできない。
いったいリズたちは、どうするつもりなのかしら……。
*
(※リズ視点)
私たちは、今後の商売はどうするのか、そのことについて話し合っていた。
そしてお父様は、そこである提案をした。
そのことで、クレイグに一つ、ある頼みごとをした。
「どうだ? 君になら、できるはずだ。リズのためだと思って、頼まれてくれないか?」
お父様が真剣な表情をして、クレイグに言った。
「ええ、もちろんやりますよ。彼女の助けになるのなら、僕は何でもする覚悟ができていますから。それくらい、お安い御用です」
クレイグも真剣な表情をして、お父様に答えた。
「さすがだわ。やっぱり、あなたがリズのことを思う気持ちは、本物のようね」
お母様が、彼の返答に感心していた。
「嬉しいわ、クレイグ。私のために、ここまでしてくれるなんて……」
私も彼の言葉を聞いて、嬉しくなっていた。
彼が私を思う気持ちが伝わってきて、少し頬が熱くなるのを感じた。
「さて……、それではさっそく、行ってきます」
彼は意気込んで、家から出て行った。
お父様もお母様も、期待の表情を浮かべている。
私もクレイグのことを信じて待っていた。
私たちの商売がうまくいくかどうかは、彼次第であるが、はたして……。
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