第16話
(※リズ視点)
どうして、こんなことになったの……。
こんなはずじゃなかったのに……。
新しくポーションも作って、これから儲けるはずだったのに……。
まさか、こんなことになるなんて……。
私が新しく作ったポーションは、粗悪品と判断された。
客から罵声を浴びせられる中、近くで騒ぎを聞きつけたお姉さまとルーカス様がやってきた。
お姉さまたちがその場を預かり、客たちは二人に任せて退いて行った。
そして、私の作ったポーションは検査されることになった。
その結果、私のポーションは粗悪品と判断されたというわけである。
そのせいで、私たちは大打撃を受けた。
まず、粗悪品であってもなくても、そもそも資格のない私がポーションを作ったこと自体が、だめだったみたいだ。
今までは売るだけだったから、問題はなかった。
しかし、製造したことで、法に触れてしまったらしい。
まさか、こんなことになるなんて、思わなかった……。
私たちは、一年間の営業停止処分を受けてしまった。
さらに、ポーションの在庫はすべて押収された。
これでは、一年後に営業を再開したとしても、売る商品がない。
さらに、多額の賠償金まで払う羽目になってしまった。
そして、それだけではなく、さらに最悪なことになった。
なんと、貴族の権利まで、剥奪されてしまったのだ。
こんな仕打ち、あんまりだわ……。
私がそんなに、悪いことをした?
どうして私が、こんな目に遭わなければいけないのよ……。
「こんなのおかしい! 私たちはただ、人々のためになる商品を作って、売っていただけだ!」
私たちに対する処分が決定した時、お父様は必死になって声をあげて抵抗した。
「そうよ! 私たちは何も、悪いことなんてしていないわ!」
お母様も、あまりにも厳しい処分に反対の異を唱えた。
「そうだ! こんなの間違っている! リズが善意でやった行動に対して、あまりにも酷い仕打ちだ!」
クレイグも私のために、必死に声をあげてくれた。
「こんなの、おかしいです! どうか、貴族の権利だけは、剥奪しないでください!」
私も必死に抵抗した。
しかし、私たちの必死の声も虚しく、下された判決は覆らなかった。
こうして私たちは、たくさんのものを、失ったのである。
*
(※クレイグ視点)
処分が下されてから、一年が過ぎた。
営業停止の間も、僕はずっと、リズを励ましてきた。
彼女は間違ってなんかいない。
間違っているのは、世間の方だ。
そして、ついに営業停止も解けた。
賠償金を払わなければいけなかったので、店の利益は消えてしまった。
これからは、今まで以上に働かなければならない。
しかし、営業を再開しても、売るための商品がなかった。
僕たちは悩んだ。
このままでは、そのうち生活もできない状態になってしまう。
周りからの援助は期待できない。
自分たちで、何とかするしかない。
これからどうするのか、みんなで相談していた時、お義父様が僕にある提案をした。
「君に一つ、頼みたいことがある」
お義父さまは、不敵な笑みを浮かべていた……。
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