第10話

 (※リズ視点)


 お姉さまとの勝負が終わるまで、残り二週間になった。


 現在のところは、私の圧勝である。

 私に抵抗して二十四時間働こうとしたお姉さまは、体調を崩して一日休む事態になった。

 そのことで、さらに差は広がった。

 そしてお姉さまは、翌日になって仕事に復帰したが、ここである行動に出た。


 それは、二週間限定の、九割セールである。


 私はもう、笑うしかなかった。

 やけにもほどがある。

 お姉さまも、相当焦っているようね。


「そんなことをしても、無駄なのよ。お姉さまも、諦めが悪いわね……」


 確かにそうすれば、売れ行きはかなり良くなるだろう。

 しかし、私の店も、同じようにすればいいだけである。

 私も二週間限定の九割セールをすることで、お姉さまの方に客は流れなかった。

 むしろ、この機会に買いだめしておこうという人たちが殺到して、さらに売れ行きは良くなった。


 お姉さま、無理をせずに、もっと寝ていたらよかったのに……。

 全然頭が回っていないようね。

 見苦しい悪あがきをしても、無駄なのよ。

 もうお姉さまは、どうやっても私には勝てない。

 いい加減、そのことに気付いたかしら……。


 そもそも、最初から勝負にならないのよ……。

 条件は、こちらの方が圧倒的に有利だったのに、そのことに気付かなかった時点で、初めから私の勝ちは確定していた。

 いくら小細工をしても、私も同じようにすれば、好条件のこちらの店の方に客が集まるのは自明なのよ。

 それに、こちらには奥の手である二十四時間営業もあった。


 お姉さまとは、頭の出来が違うのよ。


 この勝負で、完全に格付けができた。

 お姉さまよりも、私の方が優れている。

 勝負の前には生意気な口をきいていたお姉さまだけれど、これで実力の差を理解できたでしょうね。


「お姉さまの方が無能で、私の方が有能なのよ。今回の勝負は、そのことを証明するのに、ちょうどいい機会だったわ……」


 勝負が終わるまで、残り一週間になった。

 状況は、以前として変わりはない。

 もうお姉さまも、打つ手がなくなったのだろう。

 いくら奇抜な手を打っても、こちらはそれをまねすることができる。

 でも、私の方法は、お姉さまにはまねをすることができない。

 

 こんなにも実力の差が浮き彫りになって、お姉さまは今頃絶望しているでしょうね……。


 そしてついに、勝負が終わった。

 私はお姉さまのお店へ向かった。

 勝負の結果は、そこでルーカス様が発表する。

 でも、結果なんて聞くまでもない。

 私の勝利は確実である。

 私は軽い足取りで、お店へ向かった。


 いよいよ、どちらが多く売ったのか発表されることになったが、その結果は……。

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