第6話 井戸端会議

翌日の事である 朝からマックをムシャムシャと食べるレイ 


母涼子が昨日のお礼に買ってきたのである 


お母さん作るの面倒だから今日はこれ食べてなさい 


ムシャムシャと食べながら声も出さず頷くレイ  


あとそれから今日は屋敷の拝み(地鎮祭のように家周辺を祈る儀式)があるけどあんたもついてく? 


ムシャムシャをピタっと止め目を輝かせうん!と、今度は声を出して返事するレイ 


普段は地鎮祭やちょっとした霊的案件や相談に乗るのが日課であった 


とある集落にZで向かうレイと涼子 


今日は車内でBO¢WYのB•BLUEを聴いている♪ 


晴れた日はこの曲がノルらしい 


何か道悪いわね〜と言いながらもシャコタンのZを器用に扱う涼子 


すると、斜め左の付きあたりに作業着を着たおじさんが手を挙げてる 


着いたわよ 


適当に止めて今日は二人とも巫女さん風の格好したまま降りる 


作業着のおじさんが先に頭を下げる、あ、一人だと伺ってたんですがお弟子さんもいらっしゃるのですね? 


涼子が頷くと隣にいる女か男かわからない生命体が不敵に笑う 


それじゃ、始めようかしら、レイ、袋持ってきた? 


女男は線香と塩とお酒と果物の餅を用意した 


どうやらその土地、建物は元々ありリフォームをするという事であった 


新居ならわかるがリフォームだとやらない家主や業者さんもいるし、それは決して駄目とかではない 


宗教上の違いや神主さんにお願いしたりしなかったり様々だ 


しかし屋敷の拝みをしてる時になぜ呼ばれたかを知ることになる 


屋敷の四隅を回るのだが3箇所周り4箇所目角に着こうとすると畑側に井戸があった 


屋敷から完全に離れてはいない 


本土でもそうだろうが井戸は雑には扱えない


長らくその家には誰も住んで居らず、売りに出されていたがようやく買い手が見つかったとの事であった 



井戸があると皆どうしていいかわからないので着手出来なかったのであろう 


作業着のおじさんはその物件を管理する不動産の人間であった


井戸を発見するやいなや、これもついでに拝んでもらおうとしてるわけね 


別料金だわ!と母涼子は膨れ顔であった 


まあ、いいわ、簡単に済ませましょ、と井戸前まで来ると只ならぬ気配を感じた 


あ〜怒ってるわ水神様が。 


し〜らないっと。 


一応手順通り拝みをするが、どうやらこの井戸は長らく手付かずで線香もあげなければただただ放置されていたものであった 


そもそも定期的な拝みや周囲の清掃と感謝が必要なのだが放置してたが故の有り様であった 


周囲は草木が無造作に生えて木の蓋は壊れかけ、縁には苔も生えていた 



業務的に拝みを終え帰ろうとすると業者のおじさんの車が後から搬入したトラックにぶつけられペシャンコになっていた 


ほらね 



フゥ〜とため息をついて、おばあちゃん呼ぶわ と言って祖母見栄に電話を入れた 


電話に出るなり、アンタ何処にいるの?と怒り狂った祖母がいた 


話を説明する前に着信音が鳴った時点で事の事情がわかったらしい 


不動産のおじさんに散々怒鳴りつけたあとおじさんはこのあとさらに怒られる 


急いで祖母を迎えて祖母見栄が車が到着、車から150センチにも満たないちっこいおばあちゃんが降りるなり、アンタね!ガミガミガミガミと怒鳴り不動産のおじさんはタジタジだった 


祖母見栄は生粋のカミンチュ(神人)であった 


それも本人いわく他人に決して口外するなという事であった 


なので知らない人が本人に聞いてもカミンチュさんですか?と聞いてもしらばっくれる 


見栄いわくまだまだらしい。



結局、その日は涼子とレイが見栄の助手に回り無事拝み(祈祷)は終了した 



帰りの車で帰宅中レイはすっかり寝ていたが涼子は龍が上がる雲を見た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る