『パティスリーのんしゃらん』
《パティスリーのんしゃらん》。
この一風変わった名前のお店では、一風変わったお客様を一風変わったオーナー夫人が出迎えてくれます。
「悪事に加担する」「厳つい男」「藤原」は「罪悪感と恐怖感を薄めるため」にここ「パティスリーのんしゃらん」に通っています。
「パティスリーのんしゃらん」の甘く美しいスイーツはなんだか不可思議に重い世界を支えているようです。
そんな「藤原」を目撃した「客がこちらを一瞥して、異様なものを目撃した風な反応を示す。」のですが、「文句があるなら言ってみろ。返答次第では、いくらでも殴り飛ばす用意がある」と当の「藤原」はすがすがしい。
オーナー夫人にからかわれつつ「藤原」は今日も「チョコレート・スフレ」「紅茶」の「ジャスミンティー」を注文します。
「藤原」は淡々と口に運んでいるように見えますがその実、オーナー夫人に言わせると「一皿に盛り込まれた味を全部、僅かでも逃さないように神経を研ぎ澄まして」味わっているのです。
「目を閉じて歓喜の吐息を漏らしたいところ」を「グッと堪え」る「藤原」なのでした。
強面の「藤原」と対極の甘いスイーツ。
この組み合わせも興味深いのですが、ここに美しくも恐ろしい?「お嬢さん」が加わると、それはもう混沌。
「藤原」の心労も偲ばれるというもの。
僅か中学生にして「藤原」を翻弄する凄腕の「お嬢さん」。
この「お嬢さん」もとても魅力的なキャラクターです。
つたない小烏の筆ではうまく伝えきれませんので、作品の最後に登場するスイーツ・「グラタン・オ・フリュイ」への感想をお借りして作品紹介といたしましょう。
「甘味と酸味もさることながら、口の中で表面の熱さと内側の冷たさが重なり合って、快感にゾックリ鳥肌が立」つ、まさにそういうお話しでした。
◇ ◇ ◇
深川夏眠様作
『パティスリーのしゃらん』
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