第2章 宇宙開発黎明期
第1話 管理者 地球へ
さあ、地球へ帰ってきました、死んでから半年……。
あれ?この体って、感覚が……周辺状況を理解するイメージで熱いとか寒いとかそいう感じじゃないんだね。
まあそうでなけりゃ、さっき宇宙空間通ったときに死んでいるよね。
このすべてを理解できる感覚。全能感ってこういう感覚を言うのかな? 今、空に浮かんでいるだけなのに……この地球上で起こっている細かな事まで分かる。いや解るかな?
うんどこかで一度、自分の能力の把握をしないと……この感覚、魔王になれる気がする。
多分ちょっと間違えただけで、宇宙くらい簡単に消滅をしそう。管理室にいるときにはこんな感じは全然ないのに、不思議だ……。
面白がって、地球3周くらいしてしまった。
ちっ、地球の周り飛んでいる人工衛星こんど適当に消滅させよう。この体実体はないから痛くはないけどデブリ含めて何回かぶつかってしまった。
いやー、それにしても生きているときには知らなかったことが、沢山あるなぁ~人生楽しー。
妙にテンションが高いまま、家に向けて移動……がその途中から不安になってくる、もし受け入れてもらえなかったらとか、死んでから半年再婚とかしていたらとか……。
少し、ふらつきながら、マンションはもう解約しているはずだから、実家だよなとそちら方面へ……。
大丈夫かなーとか、くよくよしながら実家へ向かう。さっきは数秒で地球3周もしたのに15分経ってもたどり着いていない。
そうしている内ふと周りを見ると、暗雲が立ち込め雷まで鳴っていた……。
やばい、自分の気持ちが天候にまで影響するのか……これは恥ずかしい……。
それに、雷雲を背中に背負って家に帰れば間違いなく魔王ルート一直線になる。
何とかしないと、え~と水魔法で散らせばいいのか、水分を拡散させるように意識して……これで、どうだ……うん、できた。
は~ぁ、仕方ない。どうなるにしても帰ろう。
やっと、家に到着。車はあるから誰かはいるな? とりあえず玄関のチャイムを押す
「ピンポーン!」
はーいと返事が、ドキドキしながら、
〈おれだ……〉
返事がない、ただの無音だ……。
あっ、声ってどうやって出すんだ意識を空気の振動に変えてこうか?
「おれだ……」
出せた!
「色々あったけど帰って来た」
家の奥から、足音が聞こえる……。
でっ出てきた・・奥さんの姿を見てあまり変わっていない良かった、と思っているとキョロキョロしている、あっ、しまった姿を作らないと……自分てどんな顔していたっけ?
まあいいや、こんな感じか、適当に思い出し体を映像として構築する、こんな感じで良いか?
「久しぶり、ただいま」
なんとか姿を出すと……、
「…………」
「なんで若くなっているの……」
と半分泣き顔……半分笑顔で飛びついてきたが、実体は無いので突き抜けた……。
締まらない再会になってしまったなと思いながら……。
「……申し訳ない……体は無いんだ」
奥さんは少し絶句していたが……。
「幽霊なの?今まだ昼間だよ、大丈夫?」
「幽霊と言えばそうかな?」
「どちらかと言えば、高位のエネルギー体?」
「昔なんかで読んだか見たかで説明していた、人間の進化として正しいのは肉体を捨て高位の精神体となるのが正しい進化とか……そんな感じ?」
「進化したの?」
「いや、勝手にさせられた」
「こんなこともできる」
と、上に雲を集めた。
「え~……50年経っていないのに神様になったの?」
「近いかな?まだ自分でもよく分からない」
「……」
「とりあえず、中に入ってゆっくり説明するよ、分かる所だけだけど」
「うん」
「とりあえず、塩まいていい?」
と笑顔で質問されたが……。
「悪霊じゃない!!」
「ほんとにまかないよね……」
塩まかれても効かないよね……効くのかな?
真面目に考えながら、やっと家の中に入り……。
「……」
仏壇の中に自分の写真とお供えを見て、少し泣けてしまった。
少し落ち着いたところで、取りあえず、苦しんだところは飛ばして、目が覚めたところから説明を始めたが……禁忌とかないよねとドキドキしながら説明した。
クリスタルからエネルギーが来ているとか、魔法が使える世界があるとか同じような宇宙が並んでいるとかずいぶん長いこと話し、逆に俺が死んでからどんなことがあったと聞いたら、思い切り怒られた。
普段通らない道を通るから発見が遅れたとか、いろんな手続きが面倒くさかったとか、こんなに早く死ぬるなら3年前の保険の更新時に死亡給付を減らして、3大疾病と入院給付や介護を増やしたのは間違いだったとか、死んだのが3月だから住民税がやって来て馬鹿みたいに高かったとか……。まあ、色々だ……本人曰く仏壇に向かって毎日いろいろ言っていたらしいが、なんで聞いていないんだと。文句を言われても知らんがな。
それからしばらく、定年になったらやろうとしていた草刈機のグリスアップ用にグリスガンを使えるようにネジをニップルに変えてとか、田んぼへの給水用の揚水ポンプのメンテナンスとかして、1か月ほどゴロゴロしていた。
すると、天からの一言、生き返って来てくれたのはうれしけれど、家でゴロゴロするなと……。
定年後の離婚が増える理由が、よく分かると叱られてしまった。
せっかく、力を貰ったのだから世のために何かできないかと言われ、少し便利そうな道具を作ってみることにした。
こんな感じだが、なんだか日常が帰ってきて、うれしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます