第2話 黒い球の部屋 管理業務と暇つぶし発見
いつものように、フヨフヨと管理室{黒い玉の部屋と命名}を徘徊していた。
宇宙管理者:新藤 改(しんどう あらた)です、よろしくお願いします。
暇つぶしに、挨拶しながらフヨフヨしている。
「ひ、ま、だ……」
と、いつものように一人でぼやいていて、ふと思い立った。
管理者になって半年くらいか。……地球はどうなっているかな?
突然死んでしまったから、家族も悲しんだだろうし……。
ふと、高笑いしている奥さんが頭に浮かんだ……。
保険と、退職金…… 結構な額になるな……。
ないない、そんなことは無い。悲しんだはずだ…… うん。
思い立ち、フヨフヨと、物理中心の省エネ宇宙方向に向かっていった。
初期に作成された宇宙は、多くのエネルギーが供給されており、クリスタルを挟んで反対側に向かうにつれて、徐々に供給されるエネルギー濃度が薄くなっている。
クリスタルからのエネルギーが少ないエリアだから、この辺りかな?
一つの宇宙を覗き込む。
これは…… 宇宙全体に生存域の広がった生命体反応があるから違うか、少し前まで2つに分かれて戦争していたみたいだが。
落ち着いたところで皇帝が亡くなって……。
民主化に移行していくところか、歴史のページが追加されている最中だねぇ。
うん、ロマンが広がる、星をつかんでくれ。
さて、クリスタルに近い方が、古い宇宙だから、もうちょっと外側か……。
ここは…… 居たところに近いけれど、地球の周りにコロニーがあるからちがうなぁ……。
周りの空間に宇宙船や小さなひと形の物も、高速で飛び回っているし。
何か、時間に干渉しているのもいるなぁ。
フレームに使われている精神波増幅器? で、クリスタルのエネルギーを変換して、未熟だけど魔法を使っているのか……。
ちょっと監視対象にしておこう。
フヨフヨともう少し外側に移動し、覗き込む。
ここかな?
「んー、これみたいだけど……」
天の川銀河以外に目を向けると、いくつか文明が発展しているなぁ。
一部では、クリスタルのエネルギーが利用されているみたいだし、前任の中に発展に手を出した人が居たのかも。
直接魔法として人間が使用できる濃度じゃなくても、実用できる程度には〈魔素〉があるのか。
まあ、クリスタルからのエネルギーは供給されているから当然か…… 生きていたときには知らなかったなぁ。
んー、うん? ……少し予測をすると3年後くらいに、日本の近くにある大国が軍事用コントロールシステムを誤動作させて、世界中の主要都市に核ミサイル打ち込む予測が96%位あるなぁ。
「さてどうしようか…… 私の家族や孫もいることだし、少し手助けしようかな」
干渉して単純に国をつぶしてもいいけど、それじゃあ面白くないし。
あれ?管理者が特定の宇宙に肩入れしても消滅はしないよね。
シュメール人やキリストとか絶対管理者だよねと、ぼやきながら目の前の宇宙に飛び込んだ。
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